将国のアルタイル 22巻 感想 ネタバレ あらすじ

将国のアルタイル 22巻』のネタバレありの感想になります。

未読の方はネタバレにご注意ください。

1年ぶりの将国の新刊です。

最終決戦に突入し、両軍兵士を書き込まないといけないため掲載ペースがどうしても落ちてしまっているようです。

だから連載ペース、刊行ペースが遅くなっちゃうのは理解できるのですが、読者の我儘でどうしても先を読みたくなっちゃうんですよね。

単行本で読むと絵の書き込みや内容でそのことを理解できるのですが、連載分を読んでいるとついつい忘れてしまいます。

続きをすぐにでも読みたいのは確かなのですが、カトウ コトノ先生には先生が納得できる質で書き続けて貰いたいです。

あらすじ

四将国軍を打ち破ったレレデリクはトルキエ将国の首都・金色の町(アルトゥン)に迫る。金色の町は城壁も低く、防衛戦には不向きな地。中でも高さが2メートルにも満たない木造の城壁・古門(エスキカプ)はトルキエのアキレス腱。その門の指揮を任されたのは犬鷲の将軍・マフムート。帝国は、その古門に四将国軍を打ち破った立役者であるディルク・ヴィヒターを差し向ける! 更にザガノス将軍の城壁の町(ミュール)攻略も大詰め。トルキエとバルトラインーーールメリアナ大陸より、その名が消えるのはどちらだ!?

ネタバレありの感想

トルキエ将国とバルトライン帝国の互いの存亡をかけた戦争もクライマックスに突入。

ザガノス将軍により帝国の首都である城壁の町の攻防戦が繰り広げられる一方で、

レレデリク公の鬼手「トルキエ将国逆侵攻」により将国の首都 金色の町でも攻防戦が始まる。

マフムートはレレデリク公の攻撃を退け、ザガノスは帝国の防御を叩き割ることが出来るのか?

といった形で長きに渡ったバルトライン帝国との戦争の趨勢をきめる首都 金色の町攻防戦の開幕です。

将国、帝国共に有能な人材が采配を振るい、互いの戦術の読み合いや潰し合いを行うところ大変に面白かったです。

特に古門で行われたマフムートとヴィヒターという将国と帝国がそれぞれ誇る若き有能な将軍の読み合いは見ごたえありました。

開戦までの短い間に多数の罠を用意したマフムート側も流石ですし、その罠を見破りあわやという侵攻を行ったヴィヒターも流石です。

金色の町を巡る最初の攻防はマフムート側有利で進みましたが、レレデリク側もまだ切り札であるグララットと山岳兵を残してあります。

前巻『将国のアルタイル 21巻』の感想で、私は地の利があり時間も味方となるマフムート達が優位としていました。

ですが、とある事情により時間はトルキエ側だけに味方するものではなくなりました。

持久戦で時間を稼げば問題なかった時とは違い、トルキエ将国が、マフムートが勝利するためにはレレデリク公の軍勢を壊滅させる必要がでてきました。

数的に劣勢であり、質でもレレデリク公側に劣るマフムートが、レレデリク公の軍勢をどのように壊滅させるのかが気になりますね。

四将国軍の残存兵力をどのように活用するのかがカギを握るのじゃないかなと思います。

レレデリクがグララットの配置を転換したことが、この金色の町攻防戦のターニングポイントになるんじゃないだろうか。

一方、バルトライン帝国に侵攻したザガノス将軍率いる軍勢は、城壁の町へ最終決戦を挑みます。

ザガノス将軍たちによる侵攻も見ごたえがありました。

犠牲を恐れず一気に城壁の町を抜けようとする駱駝の将軍を先頭にした進撃を行いつつ、搦め手として敵本拠地への直接侵入と打てるだけの手を用いて一気に敵首都陥落を行いました。

ただ、レレデリク公によるトルキエ将国侵攻を知っているだけに時間をかけての侵攻が出来なかったのが痛かった。

ザガノス将軍の軍勢にでた犠牲はあまりに大きく、再度の侵攻を行うだけの余力はなくなった模様です。

常に余裕のある表情をしていたザガノス将軍に浮かんだ焦りの色は、侵攻軍の先行きに暗雲が立ち込めたようにも思えます。

なぜ、ザガノス将軍がここまでバルトライン帝国壊滅に拘るのかは、いずれ過去の話として描かれるのでしょうね。

帝国と将国、互いの存亡をかけた戦争の勝敗の帰趨は金色の町攻防戦の結果によって決まります。

数々のトルキエ将国の危機を救ってきた希望の星 マフムートは、今回も将国の危機を救うことが出来るのか?

次巻『将国のアルタイル 23巻』で金色の町攻防戦の決着がつくはずです。

連載された分はすべて単行本に収録済みですし、『将国のアルタイル 23巻』が出るのはちょっと先になりそうですね。

掲載誌である『月刊少年シリウス』を追っていくか、単行本でまとまってから読むか悩ましい。。。

金色の町攻防戦

数々の罠を用意し、レレデリク公の軍勢に痛撃を与えようとしたマフムートですが、壊滅できたのは新貴族の軍勢のみでした。

新貴族はヴィヒターの直属の部隊ではないためヴィヒターの命令に従わないのも仕方ないのですが、これは帝国軍の構造上の問題といえます。

新貴族はなんというかやられ役ですし、良い所が全くないですね。

新貴族は戦争終結後に帝国からも将国からも白い目で見られるんじゃないかな?

地の利を活かし用意した数々の罠と侵攻ルートの誘導を見破る敵将ヴィヒターの有能さは、マフムートが倒してきた南領軍の将軍たちによる薫香の賜物ですね。

有能な敵が活躍する作品を読むのは楽しいし、その有能な敵のさらに上を行く主人公の描写とか大好物なので大満足ですよ。

ただ、数々の罠をつかってしまったことで同じ手段で侵攻を防ぐことはできなくなったし、別の罠を用意する時間的猶予はないし、次の侵攻に対抗する手段があるのかは気になります。

トルキエ将国の希望の星 マフムートの配置された場所が古門であることを知ったレレデリク公は、自身が持つ最強の切り札であるグララットを古門に配置しました。

マフムートは兵数で劣る上に多数の罠をヴィヒターに見破られた状態でグララットという圧倒的な武勇の持ち主が率いる軍勢と戦う訳です。

アビリガというマフムートが持つ個の武勇で最強の存在も金色の町にはありません。

普通に考えてマフムートが金色の町の防衛に成功することは難しいでしょうし、ましてやレレデリク公の軍勢を撃退や壊滅させることなど不可能に思ます。

この遥かに劣勢な状況を打破するためには、四将国軍の軍勢を遊ばせたままにせず活用させる必要があるのではと考えます。

金色の町攻防戦の緒戦、四将国軍は水門城壁でグララットの軍勢と対峙していたため、マフムートの援軍に赴くことが出来ませんでした。

ですが、レレデリク公がグララットをマフムートがいる古門に配置を変えたため、四将国軍も配置場所を変えることができるようになりました。

四将国軍は敗残兵ではありますが、アイシェの演説により士気を取り戻しています。

レレデリク公への雪辱に、将王バヤジットの仇討に奮起する四将国軍の軍勢の力があれば反攻作戦も可能になるのではと期待してしまいます。

泉の町での会戦では四将国軍の戦術をグララットという武勇が粉砕しましたが、

今度はグララットという武勇を四将国軍が戦術を用いて粉砕するという意趣返しが行われるのではないでしょうか。

グララットという個人武勇に対抗できる可能施肥を秘めたアビリガが不在なのも、個人武勇を戦術で粉砕するという演出をするためなんじゃないかとも思えます。

果たして金色の町攻防戦の第二幕、そして終幕がどう演出されるかとても興味深いです。

苦闘、死闘となるでしょうが、マフムートがレレデリク公に負ける展開は想像できないですね。

物語的な都合として後のない戦いにマフムートが負けないだろうというメタ的な予想ではなく、

希望の星たるマフムートが雌雄を決する相手としてはレレデリク公でも力不足であり、

絶望の星であるルイ大臣こそがマフムートの最終決戦の相手として相応しいと思うからです。

そう考えると最終決戦はマフムート率いる軍勢による聖ミヒャエル攻略になりそうだな。

かつてバルトライン帝国との戦争を回避しようと動いていたマフムート、そんな彼がこんな苛烈な言葉を発することになるとは。

トルキエ将国にとっての希望の星であるマフムートは、バルトライン帝国にとっては絶望の星とも言えますね。

城壁の町、聖ミヒャエル攻防戦

前巻『将国のアルタイル 21巻』の感想に、10日後に城壁の町を落とすというザガノス将軍の発言がフラグになるんじゃないのという危惧を書きましたが、やっぱりフラグになりましたね。

レレデリク公のトルキエ将国逆侵攻という鬼手によって、ザガノス将軍はトルキエ将国首都金色の町が落ちる前に城壁の町を突破し、聖ミヒャエルを攻略する必要が出ました。

強行により生じる自軍への被害すら受け入れた乾坤一擲の大勝負でしたが、ルイ大臣が自国への被害も甘受した上での一手によって敗れてしまいました。

足場崩しとかは土台崩壊とか予想しろって方が無理ですけどね。

野戦陣地で作成した船をヴェネディック水軍が用いて水上からの奇襲によるに聖ミヒャエル上陸作戦。

駱駝の将軍率いる軍勢による犠牲を恐れぬ強襲軍

城塞内の兵力を無力化するため、管制官を通して広めた毒薬戦法

バルトライン軍捕虜に舌を抜き逃げられないようにしたうえで敵の殺しの間へ突撃させる非情の戦術

それぞれの作戦はうまくいき聖ミヒャエル攻略まであと一歩と迫っていただけに、ルイ大臣がうった一手の効果がとても大きくなっています。

ザガノス軍自体が壊滅するということはありませんが、聖ミヒャエルを巡る戦いは完全な膠着状態となりました。

聖ミヒャエルに架かる橋が落ちたため、占領するための兵力を送ることができなくなったからです。

それにしてもルイ大臣復権が描かれたシーンは印象に残る演出です。

ルイ大臣の復権は帝国にとっては救世であり将国にとっては災厄ですから、その事を表すルイ大臣登場時の白と黒のコンストラストは印象に残りますね。

監禁されていたルイ大臣は、戦場を見ずしてザガノス将軍の繰り出した作戦を読み切っていた訳ですし、

時間さえあればルイ大臣に手を読まれても問題のない正攻法、「警告の鐘」で完全に防御側の施設を潰したうえで、トルキエ将国の騎馬とヴェネディック水軍を活かした攻撃ができたんだけどなあ。

レレデリク公を使うというルイ大臣、単純に救援に来ずにトルキエ将国へ逆侵攻したレレデリク公が上手であったということか。

ザガノス軍がこのまま聖ミヒャエルを攻略するのは難しいですし、攻略失敗後の軍勢を維持するのも厳しそうです。

トルキエ将国に従った住民も攻略のとん挫で矛をさかしまにする可能性もあります。

状況を打破するにはマフムートが金色の町攻防戦に勝利し、後顧の憂いのない状態でザガノス将軍への援軍としてくるしかないでしょう。

果たして、金色の町で旧知の状態を凌ぎ続けるマフムートとトルキエ将国軍に援軍を出す余裕が生じるのだろうか?

反帝同盟が今以上に援軍を出せるのどうかもあるかな。

でも、私が他の反帝国同盟国の一員だったら帝国と将国には延々と消耗戦してもらいたいと考えるし、反帝同盟からの援軍はなさそうだな。

シリーズ感想の索引

将国のアルタイル 20巻 感想
将国のアルタイル 21巻 感想
将国のアルタイル 22巻 感想

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