妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル 感想 ネタバレ あらすじ

妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

あらすじ

大正十三年、春。少年、椚雪緒は、上京した先の夜鳴川邸にて美しき白蛇に出会う。
彼女は父である八頭八尾の大蛇、「十六夜」の決めた縁談から逃れるため、妖相手に商売をする「化猫堂」へ助力を求めに来たと云う。
化猫堂の店主、夜鳴川夜霧と猫のミタマ様に連れられて、雪緒は妖達の住まう「常夜之町」へ乗り込むが、そこは人の世の常識が通じぬ異境だった――!
関東大震災後の横浜を舞台に、人と妖の縁を紡ぐ大正伝奇ロマン。

ネタバレなしの感想

関東大震災後、大正時代の横浜を舞台として妖たちとの交流を描いたコメディ作品です。

妖達を相手に商売をする「化猫堂」に下宿し、その商売を手伝うこととなった雪緒。

親が決めた婚姻が嫌で家出してきた白蛇の姫が「化猫堂」に押しかけてきたことから始まる騒動を解決していくというお話です。

図らずも事件に巻き込まれた雪緒の姿と、人と妖の交流を楽しむ作品ですね。

特に人からも妖からもずれた雪緒の言動は面白いですし、作中に流れる温かい雰囲気を終始味わうことが出来ました。

人とは違う常識、ルールをもつ妖を相手にした交流や商売の見せ方も秀逸です。

常識の違う人と妖が交流する中で、人とも妖ともずれた常識をみせる主人公の椚雪緒のキャラクターが面白かったです。

冷静沈着の様に泰然とした姿ながら実態は天然でマイペース、状況に流されているように思えるが実際は自分の流れに相手を巻き込む傍若無人ともいえるところ不思議な魅力があります。

人の考える常識や妖たちの思惑を、人からも妖怪からもちょっとだけずれた雪緒がかき乱す様は、読んでいて楽しかったですよ。

次は雪緒がどんな行動を起こすのか、雪緒の行動の結果によって事態がどう動くのかが気になってしまいますね。

人とも妖ともずれた性格の理由、妖たちに対抗しうる体術といった雪緒自身の抱える謎もありますし魅力的なキャラクターです。

終盤明らかになる雪緒の体術の強さの根幹を読むと、不思議なまでに腑に落ちること間違いなしです。

流石、あの理由ならば常識がずれているのも強いのも納得せざるを得ません。

主人公の雪緒も素敵なキャラクターですが、他のキャラクターも負けずに魅力的で物語を面白くしてくれます。

ヒロインである白蛇の姫様は心根が純粋ですし、雪緒の裏表のない態度と言葉に好意を抱くところも可愛いですね。

渡瀬先生作品のヒロインらしくヤン、、、じゃなかった愛情が深い素敵なヒロイン像を踏襲しているところも良かったです。

主人公の活躍を見守るだけではなく、むしろ雪緒の窮地を救おうと率先して動くところ大好きです。

雪緒をサポートする大人の男性キャラクターたちも良かったです。

場をかき回すことを楽しんでいるように見えて、なんだかんだ面倒見のいい蜂月様もいいキャラクターしてましたし、

重度のみたま様信奉家の夜霧さんも出来ること出来ないことを踏まえたうえで行動するいい大人キャラクターでした。

糸締さんも短い登場ながらも恐ろしさと魅力を印象付ける強力なキャラクターをしていました。

私は糸締さんの様な親しみやすさを表しながらも芯に恐ろしさを持つ人外キャラクター大好きです。

そして渡瀬作品で忘れてはならないお猫のみたまさまです。

私は犬派なんですが、たまさまの可愛さと頼りがい有るところにメロメロです。

みたま様はきっと事態をすべて理解した上で動いていた作中最強のお猫様なんだろうな

挿絵で黒猫としてえがかれているし、同じ猫キャラクターのアルカインさんを思い出しました。

魅力的な主人公、ヒロイン、そして舞台設定の紹介を意識しつつ、一巻完結の物語として楽しめる内容でした。

雪緒と姫様のラブコメなところももっと見たいですし、人と妖の交流から発生する事件を雪緒が掻き回す様ももっと見たいです。

渡瀬先生の作品に流れる雰囲気が好きだし、是非続刊を期待したいです。

ちなみに続刊が出たら幼なじみ系ヒロインの登場はあるのかしら?

ネタバレありの感想

ここから下は『妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

雪緒さんについて

数々の妖が出ているにもかかわらず、行動や考え方が一番わからない人物だったのが雪緒くんです。

ネタバレなしの感想にも書きましたが、本当に動じることが無くすべてを自分の中に受け入れたうえで流されず自分のペースに巻き込むところ不思議な魅力がありました。

本当、次にいったいどんな行動を起こすのか?

妖相手にどんな言葉を発するのか読めませんでいた。

雪緒くんが自分の思いや考えを偽らずにまっすぐ相手に伝えるからこそ、その言葉が人にも妖に深く届くのかなと思いました。

ただ、雪緒くん本人は自身の発した言葉の深い意味を理解できてないので、彼の言葉に影響を受けたり好意を抱くキャラクターが多々出てきそうです。

宵姫様も雪緒くんの言葉や態度にコロッとやられちゃったからな。

愛情がとてもいっぱいある宵姫様にわらわの夫になる雪緒といわれちゃうんだから、雪緒くんも幸せ者ですわ。

ちょっとだけ圧が強いし、拘束する力も強そうだけど宵姫様の好意を自覚した上で雪緒くん受け入れた訳だしね。

永遠に変わらぬ(幾久しく)愛を受け入れたんだし、実質もう結婚しているようなものですね。

これで雪緒くんの周りに他の女性がうろついたら宵姫さまが荒ぶりそうですわ。

糸締さまをはじめとした魅力的な妖や、故郷にいるであろう幼なじみ系ヒロインがきっと騒動を起こしてくれるはず!

その騒動に巻き込まれるであろう夜霧さんがちょっと可哀そうだな。きっとアルカインさんとお話が合うようになるのであろう。

そんな雪緒くんの特異性の根幹は忍術の天才であることでした。

故郷である忍びの郷で各技術をそれぞれのエキスパートに習い、生まれる時代を間違えた忍術の麒麟児です。

忍術の天才であるのなら彼が妖すら退ける体術の理由にも納得できましたよ。

なんというか忍者という存在には妖にも匹敵する存在感があるといえますね。

流石、日本を代表するNinjaの影響力の強さだ。

忍びの郷のなかでも類い稀な才能をもち、暴れ馬を投げ飛ばしツキノワグマを倒し、容姿も整っている雪緒くんなら故郷でもモテていたんじゃないでしょうか?

きっと故郷には雪緒くんに好意を持ち、彼の無自覚な口説き言葉が刺さった女の子がいるんじゃないかしら。

同じ故郷にいた幼なじみとか渡瀬先生の作品に必要不可欠な幼なじみ要素も満たしますし、きっと続刊で出演してくれるはずです。

宵姫様対幼なじみくノ一とか面白そうな事件の匂いしかしませんよ。

忍者に近しい存在ということでなぜか納得してしまった雪緒くんの特異さですが、麒麟児や天才では収まらない彼の能力にはまだまだ秘密がある気がします。

雪緒くんに贄としての適性があるのも含めて彼の生まれには何らかの秘密がありそうです。

雪緒くんの故郷の山にいる大きな白蛇である山神さまの血を幾分か雪緒くんにも流れているのかなとも考えましたが、妖の血が入っているなら宵姫様や蜂月様、糸締様が気づかないわけないしな。

雪緒くんの力の根幹が何なのかは続刊が出るまでお預けでしょうが気になる。

シリーズ感想の索引

妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル 感想

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