『八男って、それはないでしょう! 1巻』のネタバレありの感想になります。
公式発売日から3ヶ月以上経過していますのでネタバレを考慮していない感想になっています。
全編ネタバレの感想ですので未読の方やネタバレを見たくない方はご注意ください。
アニメ化記念のためか、1巻から4巻の合本が88円だったので購入しました。
『八男って、それはないでしょう! 1巻』の発売日が2014年4月ということもあり、やはり時代を感じてしまいますね。
いわゆる異世界転生小説のテンプレートを網羅したかのような内容でした。
ですので、今から読むと目新しさが無くよく言えば王道、悪く言えばありきたりな展開のオンパレードですね。
これをアニメ化して人気出すのは大変なんじゃなかろうかと思ってしましますが、きっとアニメスタッフが面白くしてくれることでしょう!!
あらすじ
ある日の朝、目を覚ますと…平凡な若手商社マンである一宮信吾(25)は、僻地に領地を持つ貧乏貴族の八男ヴェンデリン(5)という存在意義さえ怪しい子供に憑依していた。信吾は、家門と領地継承もなく、内政無双の知識もないこの身と己に絶望するも、魔法の才能に恵まれたという一点を突破口に独立を目指す。この物語は、そんな若造が魔法で金を稼ぎ自由に生きる(もちろん世界なんて救わない)、当面は脱ボッチのお話である。それと、結局人の営みで発生する柵(しがらみ)からは逃れられない…という話でもある。
ネタバレありの感想
ここから下は『八男って、それはないでしょう! 1巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
タイトルの出落ち感がすべてと思ってしまいました。
主人公は貧乏貴族の八男ヴェンデリン(5才)に憑依したところから物語は始まります。
ですが、この貧乏貴族の八男というのが嘆くような境遇じゃないんですよね。
八男だからと虐げられている訳ではないですし、主人公自身も貧乏貴族の領地をつぐなんて面倒はゴメンだという立場ですから。
しかも、この異世界は貴族と平民の格差はしっかりあるわけで、八男でも貴族というステータスは貴重なんですよね。
更に言えば主人公は貴重な魔法の力を持っていますし、その魔法も歴代最強クラスにまで成長したわけだから余計に八男という立場はもはや関係ないじゃんとしか言えないですよ(笑)
貧乏領地のもめ事を避けるために冒険者予備校に入ったわけですが、魔法の師匠の遺産を引き継いでいるので最早働く必要擦らないですしね。
一体主人公は、なにをも「それはないでしょう!」と言っているのかこちらが理解できない話です。
むしろ憑依されて身体を乗っ取られたヴェンデリン(5才)が、憑依ってそれはないでしょ!!って嘆きたいと思いますよ。
それに物語を進行させるうえで受け入れてはいますが、他者の身体を乗っ取ったことも、
異世界に転移したことにも取り乱さない主人公の精神の異常者っぷりは凄いです。
といった感じで一通りタイトルについてツッコミしたところで、物語の内容についても触れますと
異世界人の幼児に憑依した主人公は新たな世界に普通に適応し、その持ち前の魔法の力をもって周囲を驚かし、称賛されるといった物語です。
主人公の成長速度はものすごく速いですし、今のところ苦戦するところもありません。
気の合う冒険者仲間の友人も出来ましたし、美少女の同級生二人とも知り合えましたし、えらい貴族からも認められるしと本当にストレスフリーに物語は進んでいきますね。
主人公のサクセスストーリーとして読めばサクサク成功していくので、楽しめるんじゃないかなと思います。
ただ、あまりにサクサクと成功していくので成功自体にさしたる感慨を抱けないことと、盛り上がりに欠けるというデメリットがあります。
この巻でいえばクライマックスで戦うドラゴンゾンビ戦が一番の山場になるはずですが、
特に苦戦することがなかったのと戦闘描写自体が淡々していたのとで私は気持ちが盛り上がりませんでした。
ぱっと出てきたドラゴンをあっさり倒すのではなく、ドラゴンの力と脅威を掘り下げてから倒す展開にするとかすればもう少し盛り上がったのかなとも思いました。
主人公Sugeeeをやるにも相手が強くみえないと、主人公が凄いと思えなくなっちゃいますね。
1巻にして気の合う仲間も、一勝クラスに困らない金銭も、ドラゴンスレイヤーという名声も手に入れてしまった主人公はこのあと一体何を目指すのか?という点も気になりますね。
そもそも主人公が冒険者を目指したのも後継者争いで揉めるのを避けるために故郷を離れたいというのが第一だったはずです。
もはや貧乏貴族の領地以上の価値を持つ金銭と、貧乏貴族の寄り親の辺境伯との知己を得た主人公が冒険者を目指す理由もないのです。
今後、主人公の行動の動機づけをどうするのか、そして同物語を進めるのかを楽しみに続刊を読んでいこうと思います。
少なくとも合本である4巻までは読むつもりですが、アニメの内容もこの辺までになるのかな。
一般的なライトノベルのアニメ化ですと、だいたい1クールで3巻程度の内容を放送するのが情報量的に限界かなって思います。
ですが、本作品は話がサクサク進むので1巻の内容は3話で納まるか余りそうな気がします(笑)