ロード・エルメロイII世の事件簿 1巻 感想 ネタバレ あらすじ

ロード・エルメロイII世の事件簿 1巻』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

『ロード・エルメロイII世の事件簿』シリーズは全巻よんでいたのですが、感想を全く上げていませんでした。

ですが、シリーズ完結巻となる『ロード・エルメロイII世の事件簿 10巻』が2019年5月17日に発売決定という事なのでそれまでに既刊分の感想をあげようと思います。

ということでシリーズの最読になるのですが、最新刊まで読んだ後に読み直すと色々と人間関係の変化がみられて面白いですね。

事件自体の真相や流れは覚えているのですが、細かいところは意外と忘れていたので新鮮な気持ちで読むことが出来ました。

あらすじ

『時計塔』。それは魔術世界の中心。貴い神秘を蔵する魔術協会の総本山。この『時計塔』において現代魔術科の君主(ロード)であるエルメロイII世は、とある事情から剥離城アドラでの遺産相続に巻き込まれる。城中に鏤められた数多の天使、そして招待者たちそれぞれに与えられた〈天使名〉の謎を解いた者だけが、剥離城アドラの『遺産』を引き継げるというのだ。だが、それはけして単なる謎解きではなく、『時計塔』に所属する高位の魔術師たちにとってすら、あまりにも幻想的で悲愴な事件のはじまりであった──。魔術と神秘、幻想と謎が交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』、いざ開幕。

ネタバレなしの感想

第四次聖杯戦争を舞台にしたFate派生作品である『Fate/Zero』の人気キャラクターであるウェイバー・ベルベットを主役としたFate派生作品です。

第四次聖杯戦争から時は経過し、まもなく第五次聖杯戦争の幕が上がる時間帯が舞台となっています。

Fate派生作品ではありますので、正編である『Fate/stay night』にそのままつながる物語ではありませんが、正編に近い世界観の物語となっているようです。

第四次聖杯戦争から時間が経過したことを表すようにウェイバーも成長し、時計塔のロードとなり名前もエルメロイⅡ世を名乗って登場しています。

『Fate/Zero』のころのコメディリリーフな姿は鳴りを潜め、師匠として弟子を導く大人となっています。

ですが、『Fate/Zero』のころの面影を残すかのように可愛い一面や、イスカンダルへの思慕が根幹に残っていますので『Fate/Zero』のウェイバーが好きだった人なら、今のエルメロイⅡ世ことも変わらずに好きになれるはずです。

今巻は、そんなエルメロイⅡ世が義妹ライネスの代わりに剥離城アドラを訪れたことで殺人事件に遭遇し、その事件を解決する羽目になるという物語です。

遺産を得るために必要とされる暗号、事件関係者が全員魔術師である連続殺人事件と推理小説風味の作品となっています。

ただし、魔術の存在する世界での殺人事件ですので魔術を使った偽装や犯行が可能であり、あくまで推理小説風味に留まったFate派生作品であります。

ですので、読者も一緒に推理するというよりはエルメロイⅡ世が真相に近づいていく様と、解決パートでのカタルシスを楽しむのが良いかと思います。

今巻は『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』シリーズの第一巻ということで、世界観の説明と主要キャラクターの説明が多くなっています。

エルメロイⅡ世とはどんな人物なのか?

エルメロイⅡ世の内弟子となっているグレイとはどんな人物なのか?

エルメロイⅡ世とグレイという主要キャラクターの能力と役割は?

という点が今巻で起こた事件を解決していく中で描かれています。

魔術的知識が豊富で事件の探偵役であるエルメロイⅡ世と、探偵助手であり事件の聞き手であり読者への解説役でもある語り手のグレイ。

倒すべき敵の存在を浮かび上がらせる頭脳担当のエルメロイⅡ世と、その敵を倒す腕力担当のグレイ。

という感じで主要二人の関係はうまくかみ合っており、双方の活躍を楽しむことが出来るようになっています。

推理パートでエルメロイⅡ世が魔術的知識を語るところは、魔術的知識のない読者の私も薀蓄を楽しむことが出来ましたし、エルメロイⅡ世の凄みを感じることが出来ました。

また、戦闘パートではTypeMoon世界らしく強大な敵に対峙する緊張感と、その敵を撃破するカタルシスを味わうこともできました。

宝具発動時のグレイの台詞を読んだときは興奮しましたよ!

主要登場人物以外のキャラクターも他のFate作品に登場したキャラクターであったりと読者へのサービスも満点な内容となっています。

真面目に魔術を使う強キャラなルヴィアの姿とか初めて見られたかもですよ。

一癖も二癖もある魅力的なキャラクターが活躍するFate派生作品として、続刊も楽しんで読んでいこうと思います。

間もなく始まる第五次聖杯戦争に因んだキャラクターや事件も発生していくでしょうし、今後の展開も期待大です。

ネタバレありの感想

ここから下は『ロード・エルメロイII世の事件簿 1巻』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

エルメロイ二世について

魔術師としての腕前は二流ではありますが、魔術に関わる研究者としては超一流に成長していますね。

魔術の腕前から侮られながらも、魔術の本質を見抜くものとして数々の登場人物に一目置かれるエルメロイⅡ世の姿に、読者として喜びを感じてしまいますよ。

なんといいますか魔術師として大成するウェイバーは彼らしくはなく感じ、だからといって侮られるのはウェイバーが好きな読者として許せないなという複雑なファン心理からくるものかもしれないですね。

そんな魔術師としては異端ながらもロード・エルメロイII世として成長した姿と、でも根幹にはイスカンダルへの想いが変わらずに残っている点が本当に魅力的なキャラクターでした。

作中で述べた「自分のしたいことも、できることも分かっている」というエルメロイⅡ世の台詞には、自分の才能の限界を把握してもなお諦めきれない夢への思慕が見られて、本当にイスカンダルと過ごした時間が、出会えたことが彼の人生を変えたのだなと理解させられます。

イスカンダルにもう一度会いたい、成長してイスカンダルの臣下としてふさわしくなった自分を見せたいというエルメロイⅡ世の願いがかなってほしくもありますね。

でも、実際に再会できてしてしまうのはなんか違う気がするしな。

栄華はすでに受けているからと、夢は夢のままでいいと心の中で折り合いをつける方が個人的には好みです。

グレイについて

聖槍、抜錨

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド!)

クライマックスの戦闘シーン、このセリフが出た時の興奮とカタルシスは半端ないですわ。

ですが、なんでグレイがロンゴミニアドを所持しているのか?使用できるのか?

なんでセイバー顔をしているのか?

といった点は本作品の根幹をなしている要素であり、シリーズが進むにつれ真相が明らかにされることでしょう。

第四次聖杯戦争が勃発したころからグレイの顔がアーサー王に似てきたという点を考慮すると、グレイもエルメロイⅡ世と同様に第四次聖杯戦争に因縁がある人物ともいえますね。

第五次聖杯戦争の終結、大聖杯解体が行われることでグレイのお顔も元に戻るのかな?

戻らないとグレイは第四次聖杯戦争に囚われたままともいえるし、ぜひ最終巻ではグレイの元々の顔が見られることを望みますよ。

まあ、戻ったとしてもアーサー王に瓜二つではないだけでセイバー顔の系譜であることは変わらないとは思いますが。

あと、久々に今巻を読み返したことで感じましたが、グレイとエルメロイⅡ世の間にまだ絆や信頼関係が薄くて驚きましたよ。

冠位事件まで読み進めて二人の絆や、グレイからエルメロイⅡ世への思慕を知っているだけに余計にそう感じましたね。

今後、幾多の事件や危機を共に乗り越えたことで、グレイとエルメロイⅡ世の間に厚い絆が生まれていったんだなあ。

その厚い絆が生れることになった切っ掛けは、今巻でエルメロイⅡ世がグレイに頼ったことでしょうね。

自分は何もできないと、自分はダメな存在と思っていたグレイにとって、そんな自分を頼ってくれたエルメロイⅡ世の言葉は何よりも大切な言葉におもえたことでしょう。

ダメな自分を信頼してくれる師匠に応えたいと思えた気持ちがあればこそ、ダメなまま名自分ではいられないと成長にもつながった気がします。

『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』シリーズは、グレイの成長譚としても楽しめる名作ですね。

事件についてのちょっとした疑問点

最初の被害者として殺されていたと思っていた化野菱理ですが、エピローグでエルメロイⅡ世の前に姿を現しました。

なぜ化野菱理は自身の死を偽装していたのかという点が疑問なのですよね。

殺人事件が起きたことで、剥離城アドラに招待された魔術師間で不穏な気配が生じましたが、だからと言って即座に残りの人物間で殺し合いが発生するわけでは無いでしょうし。

法政科に不都合な魔術師たちを抹殺するために事件を起こしたとしても、エルメロイⅡ世を抹殺する理由も特にないんですよね。

という感じで化野菱理の目的が思いつかず、読後にちょっと考えてしまったのですよ。

そうして考えて辿り着いた結論は、化野菱理はエルメロイⅡ世のことを試すために事件を起こしたんじゃないかなということでした。

事件を起こし、その事件にエルメロイⅡ世を巻き込むことでエルメロイⅡ世の本質や根幹を確かめたかったのじゃないかと考えました。

ターゲットがエルメロイⅡ世であったからこそエピローグで化野菱理は彼の前に姿を現したのではないでしょうか。

エルメロイⅡ世は自分に似た存在であると告げたのは、エルメロイⅡ世が化野菱理の試験に合格したからなのかなと思えました。

ただ、そうだとすると化野菱理がエルメロイⅡ世を巻き込もうとしている事は何なのかなという点が更に気になります。

その辺はシリーズ最終巻で判明するのかなと考えています。

シリーズ感想の索引

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 1巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 2巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 3巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 4巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 5巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 6巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 7巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 8巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 9巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 10巻 感想

お勧めの作品

今回のお勧めは当然ながらシリーズ最新刊であり最終巻であるこちらです。

ロード・エルメロイII世の事件簿10 case.冠位決議(下)【書籍】

ハートレスの目的はなんなのか?

エルメロイ二世はイスカンダル王に再会することはできるのか?

冬木で行われている第五次聖杯戦争の終了後の場面が描かれるのか?

といろいろ気になる部分があり読めるのが楽しみです。

ロード・エルメロイII世の事件簿 10巻の発売日は2019年5月17日です。

発売日に読んでその週末には感想あげたいな!(フラグ)

ロード・エルメロイII世の事件簿10 case.冠位決議(下)【書籍】
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