ロード・エルメロイII世の事件簿 2巻 感想 ネタバレ あらすじ

ロード・エルメロイII世の事件簿 2巻 case.双貌塔イゼルマ(上)』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

あらすじ

「我が師に問う。——魔術における究極の美とは何か、と」

双貌塔イゼルマに住まう、双子の姫。
至高の美を持つとされる黄金姫・白銀姫のお披露目に、エルメロイII世の義妹であるライネス・エルメロイ・アーチゾルテも参加することとなった。
時計塔の社交会となれば派閥抗争もありえると、ボディガードとしてグレイを連れて行ったライネスだが、そこで起こった事件は彼女の想像をも超えていた。
三大貴族。
冠位(グランド)の魔術師。
ロード・エルメロイII世は、『時計塔』に巣くう闇をいかにひもとくか。

魔術と美、幻想と陰謀とが交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』、第二幕開演。

ネタバレなしの感想

今回の事件は上下巻構成となっており、こちらは上巻ですので事件の導入部のお話となっています。

解決パートは下巻である『ロード・エルメロイII世の事件簿 3巻』に持ち越しです。

そのため、今回は事件の核心には触れられず、推理パートでいくつか気になる点が出てきているといった内容です。

ですが、それでは面白くなかったのかといえば決してそんなことはありません。

エルメロイⅡ世やグレイは前巻に引き続き魅力的に描かれていますし、魔術に関する薀蓄も前巻と同様に楽しめました。

また、今巻では時計塔内での派閥争いといった情報も出てきており、各派閥による権力闘争や利権誘導という点での面白さも加わっています。

そして何より興奮したのがType-Moon関連作品に登場する大物キャラクターがゲスト参戦していることです。

あの二人がこの事件でどのような役割を果たし、どの様な活躍をするのかはとても楽しみです。

さて、今回の事件の語り部はエルメロイⅡ世の義妹でありエルメロイⅡ世を生み出した存在といえるライネスです。

彼女の視点からみたエルメロイⅡ世やグレイの姿、そしてエルメロイ教室の面々の姿と違った視点から人物像が描かれたことで、主要キャラクターの魅力が深まったと思えます。

それにして、ライネスってエルメロイⅡ世のこと大好きな義妹ちゃんですね。

出てくる言葉は辛らつですし、前巻の事件の様にエルメロイⅡ世を窮地の場に追い込みますが、それもエルメロイⅡ世を信頼しているからなんだろうなと思わせてくれるモノローグを見せてくれましたよ。

いや、でもライネスがエルメロイⅡ世を信頼するのも本当に分かりますよ。

エルメロイⅡ世は傾きかけてたエルメロイ派閥をほぼ無私の奉公で支えていますし、ライネスの窮地にさっそうと現れるんですもの。

第二の殺人が発生し、ライネスが犯人として拘束されるかというあわやのところで登場するなんてね。

測ったように現れるところなんてエルメロイⅡ世は本当に探偵の素質十分ですな。

でも、さっそうと現れた割に疲労困憊で倒れそうなところが、本当にウェイバー君の要素を秘めていて大好きです。

今巻の事件についてですが、密室でのバラバラ殺人とミステリー好きには堪らないシチュエーションの事件です。

本格ミステリーでの密室は犯行が不可能であることや、自殺の偽装に使われることが多いトリックです。

ですが、この作品では魔術という概念が存在し通常では不可能な密室での殺人が可能であることから、密室にする意味は薄いんですよね。

そう考えると他殺に見せかけるために密室内で自殺したという線もありかなとも思えますが、犠牲者は自らの命を守るために亡命を企てていたのに自殺する理由有るかしらという点で行き詰りました。

被害者がバラバラに刻まれ死んだこと事態に何らかの意味があるのかもしれませんが、私の知識では分かりませんと諦めました(笑)

推理の方はエルメロイⅡ世に任せて、読者である私はどのように解決編でエルメロイⅡ世が活躍するかを楽しむことに注力を注ぎたいと思います。

あとは下巻ではグレイが活躍してもう一度、最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)の発動を見たいな。

ネタバレありの感想

ここから下は『ロード・エルメロイII世の事件簿 2巻 case.双貌塔イゼルマ(上)』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

グレイとライネスについて

靴磨きをしているグレイ可愛いし、ライネスに靴磨きの仕事を渡さないようなしぐさするグレイも可愛い。

何が言いたいかというと、とにかくグレイは可愛いなということですよ。

ライネス視点からグレイの姿を見ると、ずいぶんとエルメロイⅡ世の事を慕うようになったな思いました。

ライネスとの関係もぎこちない部分はありますが、友人として信頼している様にも見えますし、実に尊いですわ。

ライネスが武闘側ではなく研究方面に才能が伸びるように指導されているのは、戦闘からライネスを遠ざけるためのエルメロイⅡ世の配慮を感じますね。

過保護ともいえますが、率先して前線で戦わない様にとしての考えなのでしょう。

ライネスの気質的にやられたらやり返す側なので、戦う力があれば荒事も恐れなそうですし、その配慮は正しいといえます。

エルメロイ先生も荒事に挑まず時計塔で研究していれば無為に有為の才を散らすことなかったのになあ。

事件について

「ロード・エルメロイⅡ世として事件を預からせていただく」とエルメロイの名前にかけて宣言した以上、事件解決は約束された結末といえます。

今巻でいくつか出てきた要素を用いて、どの様にエルメロイⅡ世が事件を解決に導くのかが楽しみですよ。

でも、単純に黄金姫殺人犯をみつけることを事件関係者として望んでいるのがエルメロイ教室の面々以外いないというのも凄い展開ですわ。

最早、犯人がどうこうのお話ではなく、この事件によってどのような利益を得るかが関係者の目的になっていますもの。

エルメロイⅡ世の敵に回ると宣言していた蒼崎橙子や、スパイを送り込み襲撃する好機を伺っていたアトラムの動向が注目ですよ。

犯人を当ててもこの二人の武力を抑えないと事件解決にはならないですからね。

エルメロイⅡ世側の戦力はグレイとフラット、スヴィンの3人です。

最果てにて輝ける槍の力があるとはいえ蒼崎橙子を苦しめられるとも思えないし、どうなるのかとても気になります。

そしてエルメロイⅡ世の推理に任せて思考放棄した私ですが、事件の気になる点としていくつか注目しています。

その注目点が以下の内容です。

・密室殺人にした理由と黄金姫をバラバラにした理由
・ライネスの魔眼に反応した密室に落ちてい粉の正体
・イゼルマが入手した幻想種の血が混じった聖遺物

この三つの要素が事件の犯人当てに必要な要素と思えるんですけど、私ではまったく分からないな。

聖遺物を粉にして黄金姫にもちいて、彼女の死を偽装していたとかなのかしら?

でも、死を偽装する必要が思いつかないんだよな。

バラバラにして頭部だけ無いとなれば犠牲者の入れ替えトリックとかありますが、誰と入れ替えてという部分が分からないです。

生き残っている白銀姫が実は黄金姫で、死亡しているのが白銀姫だったとしても、黄金姫が白銀姫を殺す理由がいまのところないしなあ。

上巻の時点では犯行動機も証拠も揃っていないと思うので仕方ないのかもしれませんが、実は揃っていて推理できるのだとすると私の頭が足りないだけなんだよな。

色々と伏線が張られていることでしょうから、下巻での解決パートを読むと気付かなかったことに対して悔しく思うと同時にカタルシスを味わうことが出来るはずと期待して下巻も読みます。

シリーズ感想の索引

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 1巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 2巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 3巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 4巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 5巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 6巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 7巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 8巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 9巻 感想
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 10巻 感想

お勧めの作品

角川文庫からも出ておりますので、どちらかといえば私は角川文庫版がお勧めです。

お値段がこちらの方がお安いですから(笑)

ですが、いますぐ最終巻まで読みたい場合はTYPE-MOONBOOKS版一択です。

ロード・エルメロイII世の事件簿 2 「case.双貌塔イゼルマ(上)」 (角川文庫)

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