『Fate/strange Fake 5巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
それは神々の戦か、あるいは地獄か。二百体を超える悪魔と化した『バーサーカー』ジャック・ザ・リッパーの能力すら奪い去り、『真アーチャー』――変質した大英雄の暴威――。
病院に眠る一人の少女を屠り去ろうとする『真アーチャー』に立ちはだかり、疑似宝具の力によって奮闘するクラン・カラティンたち。その絶望的な戦いに逆転の一手を投じたのは、戦場に初めて姿をあらわした警察陣営の『キャスター』による切り札だった。
一方、病院前の戦場に駆けつけた『セイバー』は、遥か格上の英霊ギルガメッシュとの一騎打ちに挑み……。
ネタバレなしの感想
2年ぶりの新刊になりますが待った甲斐のある面白さでした。
魅力あふれる英霊たちによる死闘は読んでいて心躍りますし、その英霊たちに挑む人々の覚悟有る行動には心打たれました。
色々仕込まれたFate関連の情報やキャラクター、考察の元となる数々のネタと情報量が多く読みごたえも十分あります。
Fateといえば英霊同士の戦闘シーンが面白さの一つですが、今巻での戦闘シーンの目玉は、アルケイデス対二十八人の怪物とギルガメッシュ対獅子心王リチャードですね
ギルガメッシュやアルケイデスは今巻でも大いにその力と魅力を発揮していますが、それ以上に輝いていたのはジョンとデュマであったと私は思います。
アルケイデスの圧倒的な暴力を理解しながらも一歩も引かなかったジョンは、今時代の人間の凄みを神代の英雄に理解させるという偉業を成し遂げてました。
そのジョンの覚悟に応え、英霊を殺すための武器を与えたデュマも輝いていました。
ただ、デュマについてはアルケイデスへ対抗するための力を人間たちに与えた以上に気になる場面があったんですよね。
元々、デュマといえば岩窟王、岩窟王といえばFGOでも人気のキャラクターでもあり、本シリーズにも岩窟王がサービスシーン的な登場をするのかとおもっていました。
ですが、思った以上にしっかりと本編に絡む形で登場して驚きましたよ。
まだ岩窟王が描かれた理由は不明ではありますが、きっと次巻で岩窟王が描かれた理由が分かるものと期待しています。
そして、もう一つの目玉であるギルガメッシュ対獅子心王リチャード。
こちらは殺し合いではなく、ギルガメッシュによるリチャードの選定でした。
油断も慢心もしていないギルガメッシュの強さ偉大さも凄かったですし、そのギルガメッシュに一目置かせたリチャードの実力も大したものでありました。
ギルガメッシュがどの様な選定をリチャードに下すのかとても興味を惹かれました。
戦闘の内容からすると、リチャードの実力はそれなりに評価しそうではありますが、リチャードの心根の部分をどう評するかはとても気になりましたよ。
アルケイデス対二十八人の怪物、ギルガメッシュ対獅子心王リチャードの戦闘が終結したタイミングで発生した第三の戦闘。
この戦闘の結果、偽りの聖杯戦争で脱落する英霊が初めて現れます。
その英霊が脱落するのは驚きでもありましたし、脱落させるならこの形にするしかないよなという納得感もありました。
脱落者もでてきたことで、聖杯戦争がやっと始まったのだという期待が湧きあがります。
今巻を読んだばかりだというのに、次巻『Fate/strange Fake 6巻』の発売が待ち遠しいですよ。
次巻は繰丘椿を中心として、ジェスター・カルトゥーレ対偽アサシン&シグマが物語のメインになるのかしら?
変わり始めたシグマも気になりますし、純粋狂信者可愛い偽アサシンの活躍も楽しみだな。
来年の4月か5月頃に新刊が出てくれると私的に嬉しいですが、成田先生の体調の問題もありますし、無理は言えないですね。
とても面白いと思う作品ですので、続刊が出るのを気長に待とうかと思います。
ネタバレありの感想
ここから下は『Fate/strange Fake 5巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
岩窟王
今巻の内容を語る上で触れないわけにはいかないキャラクターですね。
ネタバレなしの感想にも書きましたが、岩窟王はFGOで人気のキャラクターですからサービス的な登場はあるかなと思っていました。。
ですが、今巻で描かれた岩窟王とデュマの会話シーンの比重の大きさと、その会話シーンを二十八人の怪物メンバーにみせたことを考えると、思った以上にStrange/Fake本編での岩窟王のかかわりは大きそうです。
ジョンをはじめとした二十八人の怪物メンバーたちもジェスター・カルトゥーレの用意した結界に囚われたことを考えると、対ジェスタ―の戦力として岩窟王に縁の宝具が活用される展開になるんじゃないかと推測しています。
岩窟王は『英霊伝承異聞』で死徒であるタランテラを人の身で滅ぼした存在ですからね。
Strange/Fakeでの死徒であるジェスター・カルトゥーレを、人間である二十八人の怪物のメンバーを滅ぼすことを助力できる存在でもあるはずです。
モンテ・クリスト島の秘宝がデュマの手により更なる力が付与されて、二十八人の怪物のメンバーが死徒を倒す武器とするとか胸熱の展開ですよ。
二十八人の怪物のメンバー以外にもシグマや偽アサシン、ハンザ・セルバンテスやセイバーにアヤカも取り込まれていますし、これはジェスター・カルトゥーレは滅びるだろうなあ。
ジェスタ―は作中の悪として滅びるのは本望なんだけど、それに合わせて偽アサシンちゃんが居なくなるとすると悲しいな。
シグマの変化は偽アサシンからの感化という部分が大きいしなあ。
ジェスターは死ぬけど、偽アサシンちゃんはなんとなく残り続けるというミラクルを期待しますが無理ですよね。
シグマ
シグマが聖杯にかける願いはなく、シグマ自身の心のよりどころになる強い意志や覚悟は持たないのは変わっていません。
ですが、今巻のシグマの言動はこれまでの彼との比較で変化が顕著でありました。
自信を生き残ることを第一としているシグマ、そんな彼が自分の利益にならない繰丘椿を助ける偽アサシンに協力するというのは、何らかの変化がシグマの中に芽生えたことの証に思えます。
これは偽アサシンの行動にシグマが影響を受けているからなのかなと考えています。
偽アサシンにとって縁もゆかりもなく、助けることでのメリットも少ない繰丘椿を助けるという行為を、シグマ自身の境遇と合わせて受け入れたんじゃないかと思いました。
実際に救おうとしているのは繰丘椿ですが、その行為によってシグマも救われるのでしょう。
繰丘椿が救われるように、かつて誰にも救われなかった自分(シグマ)も救われる可能性があったと、誰にも救われなかった訳では無いと捉えることでできるのではないでしょうか。
繰丘椿がいる場所、シグマや偽アサシンたちが囚われた空間から脱出するためには繰丘椿を殺す必要があると、ジェスター・カルトゥーレは述べていました。
守るべき存在、救うべき対象である繰丘椿を殺す必要があると理解できたとき、シグマと偽アサシンの心がどう動き、どう行動するのかとても気になります。
ですが、シグマや偽アサシンが繰丘椿を殺すことだけは無いであろうと私は認識しています。
繰丘椿を救うのはシグマにとって自分を救うというのと同等の行為です。
そんなシグマが自らを殺すような行動を是とするわけがありません。
それに他にも命を懸けて病院を守った二十八人の怪物たち、英霊であるセイバーや偽アサシンがいるわけですからね。
悪であるジェスター・カルトゥーレの思惑通りに動くわけがありません。
英雄とは悪の思惑をぶち壊し、正義を成す存在ですから。
私はジェスタ―の思惑が破られ、読者としてカタルシスを存分に味わえる展開を待っていますよ。
ギルガメッシュ
エルキドゥが存在することにより慢心も油断もしない本気のギルガメッシュ。
そんな最強格の存在が最初の敗退者枠に収まるとか予想もしていませんでしたよ。
ギルガメッシュを殺そうとするアルケイデスとの戦闘の最中、イシュタルによる横やりが入り、霊基に致命傷を受けるという展開です。
一対一の戦闘でギルガメッシュが倒されるわけないよなとも、最強格の英霊を敗退させるのに気を遣った展開とも思え納得しました。
霊基に致命傷を負ったギルガメッシュが退場することは確定ですが、我らが愛するギルガメッシュがやられっぱなしで退場する訳もないので、イシュタルへの意趣返しを期待せざるを得ません。
※Fate HFルートでの何もせずに聖杯の泥に飲み込まれて退場した件は華麗にスルーです。
イシュタルに対抗するため、エルキドゥと手を組んで戦うメソポタミア大決戦が見られるのかしら?
エルキドゥが今巻の最後に出した「フワワ」は「フンババ」のことでもあり、こちらもメソポタミア神話の登場キャラクターですからね。
本物の神では無いとはいえイシュタルという破格の存在と対峙できるのはギルガメッシュとエルキドゥしかいないでしょうし、この戦いの決着も楽しみです。
そういや、真バーサーカーのマスターであるハルリ・ボルザークは何しているんだろ?
彼女の影が薄いから真バーサーカーのマスターはイシュタルが宿っているフィリアだと勘違いしてしまいましたよ。
シリーズ感想の索引
Fate/strange Fake 4巻 感想
Fate/strange Fake 5巻 感想
お勧めの作品
今回のお勧めは『Fate/Grand Order カルデアエース』です。
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