ゴブリンスレイヤー 11巻 感想 ネタバレ あらすじ

ゴブリンスレイヤー 11巻』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

あらすじ

ゴブリンスレイヤー、砂漠《ゲヘナ》へ! !

「ゴブリン退治はもう飽きたっ!」
「なんじゃい、そんなら竜退治にでも行くんか?」
 夏、妖精弓手や鉱人道士が騒がしいギルドの酒場に、女商人が訪れた。
「お願いしたい冒険があるのです」
 砂漠の広がる東の国境にゴブリンが増えているらしい――。女商人は東国に商談に向かう護衛として、彼ら一党に同行して欲しいという。
「やはりゴブリンか。いつ出発する? 俺も行こう」
 文化の異なる砂漠の隣国、そこで待ち受ける残虐な罠、たまさか出会う砂漠の民、交錯する仕掛人。紅砂の先、彼らは邪悪な企みを知る――。
 蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第11弾!

ネタバレなしの感想

ゴブリンスレイヤーさん一党が女商人の依頼を受けて砂漠に赴き、冒険したりいつもの通りゴブリンを倒すお話です。

あらすじに「ゴブリン退治はもう飽きたっ!」とありますが、この作品でゴブリンを退治しないお話になる訳ないですし、出落ち感が半端ないですね。

ただ、このあらすじは『ゴブリンスレイヤー 11巻』を読み終えた後に見返すとなるほど確かにと思える秀逸な内容でした。

それと表紙の妖精弓手の砂漠仕様がめちゃくちゃ可愛くて最高です。

本編でも天真爛漫な明るさで一党のムードメーカとしても大活躍です。

妖精弓手、女神官と女商人で三姉妹の様な仲睦まじさも良かったですよ。

ゴブリンスレイヤーさん一党が遂にホームを飛び出し国外での冒険に挑みます。

砂漠という普段とはちがう過酷な環境、度重なる思いがけない出来事に普段と勝手が違うのか、リーダーとしての役割をこなせているか悩むゴブリンスレイヤーさんの姿が新鮮でした。

ゴブリンスレイヤーさん、ゴブリン退治に関しては迷いなく動きますし、事前に悩むことになるであろう種を潰すように周到な準備をしていますからね。

それだけ砂漠という環境がゴブリンスレイヤーさんにとって未知の領域であったということかな。

ゴブリンスレイヤーさんにとってすら未知の領域である砂漠の恐ろしさ、凄さが『ゴブリンスレイヤー 11巻』では描かれていたと思います。

そんな珍しくも悩めるゴブリンスレイヤーさんが悩みを吹っ切るきっかけとなった助言を与えた存在、この方は外伝に出ていたあの方なのかしら?

共通点はいくつかあるけれども、共通の人物と明示しないやり方が本作品らしくていいですね。

どっちとも取れる書き方で読者の読み方に任せる想像の余地を残すところが楽しさや面白さを増す要素になっていると思います。

ちょっとだけ確定情報が欲しいなと思ったり、ゴブリンスレイヤーさんが係わらない部分の掘り下げをして欲しいなと思うところもありますがね(笑)

もう一人の主人公といえる女神官は今巻でも活躍していました。

女商人への接し方は冒険者の先輩としても立派でしたし、仲の良い姉役にもみえて微笑ましいものでした。

女神官は毎巻で成長を感じさせてくれますね。

ただ、女神官のゴブリンスレイヤーに対する信奉ぶりもさらに高まっていますね。

女神官周辺の人物たちは彼女がゴブリンスレイヤーさんに毒されているなと思っていますが、女神官はまったくそのことにむとんちゃくです。

もし毒されていると指摘されたとしても苦笑いを浮かべはするでしょうが、毒されるというか影響を受けることが正しいとか思っていそうな信頼っぷりです。

女神官の奇跡の使い方はルールの穴をつくような正攻法とは言えない使い方ですが、その機転が一党を救っているわけですし、ゴブリンスレイヤーさんの悪影響とはいえないかな。

ゴブリンスレイヤーさん一党が砂漠を冒険しゴブリンを倒しているをしている裏側で、

前巻にも登場した密偵たちが砂漠の国の政変に関わる冒険を行う姿も描かれています。

ゴブリンスレイヤーさん一党と密偵たち、直接的に交わりはしませんが間接的に相互に影響を与えているところも楽しかったです。

密偵たちの冒険の意図、互いの冒険の結果が回りまわって一方に影響を与えていたところ、クライマックスで二つの一等が行った冒険の成果が結びつくところはとても良かったです。

あの先の物語も興味深いですし読みたくなる内容ですが、ゴブリンスレイヤーさん一党とは関わることはないでしょうし、描かれることはないのだろうな。

ゴブリンスレイヤーさんと係わりのないところで国が動き、世界は変化して回っていきます。

全ての事象をゴブリンスレイヤーさんたちが解決するのではなく、色々なキャラクターがそれぞれの思惑で動き、

その結果として世界が変化していく方が物語的にも広がりが出るのでしょうね。

ネタバレありの感想

ここから下は『ゴブリンスレイヤー 11巻』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

牛飼い娘さん

この巻で一番印象に残っているのは、竜と対峙したことでも、砂漠の国の政変でもなく

ゴブリンスレイヤーさんの牛飼い娘に対する想いの強さですよ。

女性に対して朴念仁といえるゴブリンスレイヤーさんが、ここまで気にかけている相手って牛飼い娘さんしかいないんじゃないかしら?

竜の鱗を冒険の証にするでもなく牛飼い娘さんへのお土産にしたところもそうですし、

以前にお金をプレゼントした失敗体験をちゃんと覚えているところも、

牛飼い娘さんへの気遣いが特別な証にみえましたよ。

死を意識した竜との戦い、その戦いが終結し気力が尽きたそのときに休みたいと思える場所、帰りたいと思う場所

それが牛飼い娘のいる場所であり、彼女のシチューを味わってから休みたいと思ったわけですよ。

ゴブリンスレイヤーさんにとって牛飼い娘さんは本当に心を許せる相手なんだなと改めて認識できましたよ。

そしてゴブリンスレイヤーさんの帰りを待つ牛飼い娘さんの方も、ゴブリンスレイヤーさんが帰ってくることを信じていますし、彼がいつ帰ってきてもいいようにシチューを作って待っているわけですよ。

もう完全に互いの想いが通じているとしか言えませんね。

砂漠の国へ出発する前、背中合わせで座り合うゴブリンスレイヤーさんと牛飼い娘さんの姿もイラストで描かれていましたし、もうヒロインは牛飼い娘さんで確定の流れですね。

ゴブリンスレイヤーさんが冒険者引退したら牧場に就職するんだろうな。

ゴブリンスレイヤーさんが作ったチーズを蜥蜴僧侶が食べるとか想像しちゃいます。

ドラゴン

ゴブリン退治を終えたと思ったらドラゴンと戦うこととなった

ゴブリンからドラゴンという強さのインフレに驚きですわ。

まさかあらすじでネタにされていた「竜退治にでも行くんか?」のフラグがこんなにも早く回収されるとはね。

兵士長がゴブリンとは別に秘めていた切り札なんでしょうが、あの下種いだけで無能そうな兵士長がドラゴンを戦力に出来るほど有能とは思えないので、別の誰かが用意したのかな。

ゴブリンライダーがドラゴンライダーにもなったわけだし、砂漠の国の政変の裏側に大きな敵がいたようにも思えます。

ゴブリンスレイヤーさん一党も数々の冒険をこなす辺境最強クラスの銀等級冒険者ではありますが、ドラゴンを相手にするには力不足でありました。

それだけふぁんたじー世界におけるドラゴンの強さと恐ろしさが群を抜いているということなのでしょう。

倒すことの叶わぬ脅威であるドラゴンとの戦いは、久々に気が抜けぬ戦闘シーンとして盛り上がりましたよ。

単純な力押しや小細工が通じぬ相手に対峙した時こそ、ゴブリンスレイヤーさんの采配とそれに応えられる一党の本領発揮ともいえますね。

竜を倒すことはできませんが、眠らせて窮地を脱したことは一党にとって冒険の勲になったのではないかな。

竜には手を出さない、竜の財宝にもてをださないという現実的な考えこそが、ゴブリンスレイヤーさん一党が長生きできている秘訣なのかなと思いました。

作中でのドラゴンの強さが描かれたことで、あの赤毛の少年魔術師の夢であるドラゴンスレイヤーになることの困難さが分かりましたよ。

がんばれ少年魔術師と圃人剣士。

砂漠の国の政変

ゴブリンスレイヤーさん一党が直接かかわらなかった事件です。

一つの国を揺るがす事件なので一大キャンペーンになりうるシナリオといえます。

表舞台には出てこずに事件の裏側で行われたゴブリン退治が結果的に影響を与えるといったゴブリンスレイヤーさんのスタンスを考えれば、ゴブリンスレイヤーさんが直接かかわらなかったのもこれまでと同じ道理といえます。

囚われ幽閉される姫君、姫を幽閉し国を思うがままに動かさんとする悪大臣、姫を救わんとする若き英雄候補と正統派の冒険譚が楽しめそうなシナリオですね。

このシナリオに関わった密偵たちの活動は姫の従者二人を若き英雄候補に合わせるまでなのかしら?

若き英雄の活動を裏で支える密偵たちの冒険も読みたいですし、若き英雄候補が姫を救い候補の文字が取れるところも読みたいんだけどな。

ゴブリンスレイヤーさん一党の砂漠での冒険は完結しているし、とすると政変に関わることはないだろうし、描かれることはないんだろうな。

数巻後の幕間か、登場キャラクターが小話で政変が解決したとか会話することで補完されるといいな。

シリーズ感想の索引

ゴブリンスレイヤー 1巻 感想
ゴブリンスレイヤー 2巻 感想
ゴブリンスレイヤー 3巻 感想
ゴブリンスレイヤー 4巻 感想
ゴブリンスレイヤー 5巻 感想
ゴブリンスレイヤー 6巻 感想
ゴブリンスレイヤー 7巻 感想
ゴブリンスレイヤー 8巻 感想
ゴブリンスレイヤー 9巻 感想
ゴブリンスレイヤー 10巻 感想
ゴブリンスレイヤー 11巻 感想
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 1巻 感想
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 2巻 感想
ゴブリンスレイヤー 外伝2 鍔鳴の太刀 上 感想

お勧めの作品

次巻『ゴブリンスレイヤー12 ドラマCD&メタルフィギュア限定特装版 (GA文庫)』の発売日は2020年2月14日です。

今年はもう新刊がないことを嘆くよりも、既に新刊の発売日が定まっていることを喜ぶべきでしょうね。

ゴブリンスレイヤー12 ドラマCD&メタルフィギュア限定特装版 (GA文庫)
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コメント

  1. 匿名 より:

    ローグ達の役目は、冒頭の追っ手を振り切ってから、適当な所で従者達を降ろす所までですね。それ以降(人○○いや盗〇に捕まったり)は関与してません

    今回は小ネタ多かったですね。解っただけでも、アルゴニアンメイド、ジョジョ、シャドウラン、ドラゴンボール、スターウォーズ、はてしない物語、吸血鬼ハンターD、ゴジラ

    次回は短編集らしいので、受付嬢メインの話があればいいなあ

    • くじらさん より:

      匿名さん
      コメントありがとうございます!
      返事がかなり遅くなってしまい申し訳ございません。

      仰る通り、護衛のお仕事なので指定の場所まで連れていくところまでがお仕事で、その後は関与せずが正しいのでしょうね。
      計算高く人さらい経由で目的地に行ったのじゃとかは深読みしすぎになっちゃいますかね。

      今巻も小ネタが多いですよね。分かる人にはニヤリとできる部分がありながら、分からなくてもそれが物語を楽しむ支障にならないバランスは見事だと思えますね。

      ヒロインレースでは牛飼い娘さんが飛び抜けてしまっていますので、受付嬢さんが巻き返す様なお話を私も読みたいです。