『ゴブリンスレイヤー 3巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
今回の感想記事は私の旧ブログ(読書感想記)からの移転記事になります。
移転元の感想を基にして変更を加えたものとなっております。
あらすじ
「ところで、ほら、えと、明後日、収穫祭が、あるじゃないですか――予定、空いてますか?」
「……ゴブリン」
「あ、ゴブリン以外です」秋、辺境の街は収穫祭を間近に控えていた。
そんな中、神殿の仕事で忙しそうな女神官、ある出来事で拗ねる妖精弓手、祭の準備に参加する鉱人道士、蜥蜴僧侶と、それぞれの日常を過ごす冒険者たち。
そしてゴブリンスレイヤーもまた“日常”を過ごしていたのだが……。依頼の減るゴブリン退治、現れる三人の来訪者、祭の裏で暗躍する計画とは!?
「素人め、教育してやる」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第3弾!
ネタバレなしの感想
今巻はゴブリンスレイヤーたちが本拠地としている辺境の街で収穫祭が行われます。
その収穫祭の中でゴブリンスレイヤーと牛飼い娘や受付嬢、女神官とのちょっと甘い交流や、パーティーの仲間たちや冒険者たちの過ごし方が描かれています。
ゴブリン退治や迷宮の探索といった冒険の依頼は無く、辺境の街を舞台にした日常回が楽しめます。
日常回の中で行われる交流を通して、ゴブリンスレイヤーさんの対人関係の成長が見て取れます。
ゴブリンスレイヤーさんの周辺にいる女性陣とのデートや、冒険者たちとの交流なんて『ゴブリンスレイヤー 1巻』のころでは考えられない状態です。
相変わらず朴念仁で不器用で、ゴブリンを殺戮することの優先順位が最上位ではありますが、それでも周囲の人たちに気を遣う姿に、ゴブリンスレイヤーさんの人間味が感じられますね。
といった感じで日常回の部分では、本作に似つかわしくないようなほのぼのとした雰囲気で少し甘いデート光景を楽しむことができますよ。
もちろん、本作は『ゴブリンスレイヤー』シリーズですので当然といえば当然にゴブリンたちは出てきますし、ゴブリンたちとの戦いも用意されています。
冒頭でのゴブリンたちとの戦闘も、クライマックスでのゴブリンとの戦闘も、ゴブリンスレイヤーさんの用意周到な手口と作戦が光りましたね。
偶然の介在する要素を極力減らすゴブリンスレイヤーさんのやり口は、運命のいたずらに左右されない強さを感じます。
収穫祭の最中でもゴブリンとの戦いを念頭に置くというゴブリンスレイヤーさんの特異性があればこそ、襲撃された辺境の街にも大きな悲劇が起きなかったのでしょうね。
良く言えば高潔な仕事人であり、悪く言えば祭りの雰囲気に流されない朴念仁なんでしょうが、ゴブリンスレイヤーさんの境遇を考えれば、今巻の彼は十分以上に祭りの雰囲気に気を遣っていましたし、彼も祭りを楽しんでいたと思えます。
ゴブリンスレイヤーさんは、1巻、2巻、そして今巻とゴブリンたちと戦ってきました。
これからもゴブリンたちと戦い、ゴブリンに苦しめられる人々の救世主としてゴブリンスレイヤーさんの活躍が描かれ続けるのかな?
流石に毎巻ゴブリンと戦っているだけだとマンネリ感もでてきそうですが、今後の展開はどうなるのでしょうね。
個人的には、マンネリ感があるからと言ってゴブリンスレイヤーさんが世界の危機の救う活躍をするよりも、辺境の村々で人知れず救世主と呼ばれる方が好きですね。
次巻以降、どのような展開になるかも楽しみにしていこうと思います。
個人的な評価
これまでと変わらず面白く楽しめることができました。
徐々に人間味を取り戻していくようなゴブリンスレイヤーさんの姿も良かったですし、彼に好意を抱く女性陣の姿も良かったです。
ただ、ゴブリンと戦い続けることでマンネリ化が心配ですね。
1巻のころはゴブリンスレイヤーさんの仲間とは言えど安心できない雰囲気がありました。
ですが、仲間たちや周辺の人々の掘り下げが行われた分、親しい人たちは危機に陥ることはあれども命は無事だろうなと感じてしまいますね。
ネタバレありの感想
ここから下は『ゴブリンスレイヤー 3巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
ゴブリンスレイヤーさんについて
『ゴブリンスレイヤー 2巻』でも仲間に対して不器用ながらも気遣いをみせていたゴブリンスレイヤーさんですが、今巻でも彼が以前とは変わってきているなとより感じました。
パーティーの仲間の力量を信頼して相手に頼ることを覚えたゴブリンスレイヤーさんの姿がえがかれていました。
また、助けてもらえたことに対して不器用そうにお返しをしようとするゴブリンスレイヤーさんの姿もありました。
ゴブリンスレイヤーさんが変わってきたのは仲間とともにパーティーとしてゴブリン退治をしてきたのが大きいのでしょう。
そして仲間たちの人柄がとてもよい人たちだからなんでしょうね。
ゴブリンスレイヤーさんと仲間たちは、仕事的なつながりだけではなく、人として信頼し合える関係になっているのだと思います。
だからこそ、ゴブリン退治の話だけではなく普通の冒険に誘ったり、収穫祭をともに楽しもうと誘ってくるのでしょうね。
そして、ゴブリンスレイヤーさんがゴブリンを殺すだけの機械から人間性を取り戻してきたからこそ、他の冒険者たちもゴブリンスレイヤーさんを同業者として仲間として受け入れたのだと思います。
1巻のころでは陰口をたたかれていたゴブリンスレイヤーさんでしたが、今巻ではさげすまれることもなく普通に会話をし、共に収穫祭を楽しむ姿が見ることができて良かったです。
といった感じで大きく変わってきたゴブリンスレイヤーさんに感心しましたが、全く変わっていない部分もありましたね。
ゴブリンを退治するための準備を黙々と行うところは、人に戻りつつありながらもゴブリンを殺すことへの執念の衰えは感じませんでした。
「ゴブリンスレイヤーの朝は早い」という表現とともに早朝からゴブリンを殺すための準備をするゴブリンスレイヤーさんの姿は、なんというか真面目なんでしょうけどコメディにしか見えなかったです。
まあ、こういった準備や用意周到さが描かれているからこそ、ゴブリンスレイヤーさんが苦戦はすれども負けないことを、チートやご都合主義とは思わない理由があるのでしょうね。
ゴブスレさんのデートについて
今巻の感想を書くとすると触れないわけがないゴブリンスレイヤーさんのデートについてです。
普段の冒険に付いて行けない牛飼娘と受付嬢にスポットライトが当たる話でもありました。
昔を知る牛飼娘と共にいると、かつてのゴブリンスレイヤーさんの姿を浮かび上がらせますし、ゴブリンスレイヤーさんの方もゴブリンを殺す機会になる前の姿を見せるように思えます。
収穫祭でゲームに興じる姿や、子供からのおっさん呼ばわりに不機嫌になる姿は、冒険中のゴブリンスレイヤーさんからは想像もできなかったです。
どれだけゴブリンスレイヤーが少年時代から変わってしまったとしても、牛飼娘からすると昔と変わらず近所に住んでいた幼馴染の少年のままなのかもしれないですね。
だからこそ、牛飼娘はゴブリンスレイヤーのことが気にかかるのかもしれないです。
牛飼娘がかつてのゴブリンスレイヤーさんを浮かび上がらせる存在とすると、受付嬢は今のゴブリンスレイヤーさんを浮かび上がらせる存在なのかもしれないです。
受付嬢は、ゴブリンを殺す機械となっていたゴブリンスレイヤーさんと知り合い、それから5年間は変わらなかったゴブリンスレイヤーさんを見てきたわけです。
5年もの間、機械のようであったゴブリンスレイヤーさんが今では人間味を取り戻し、気を遣うようになった姿を目の当たりにしたわけです。
このゴブリンスレイヤーさんが変わっていったことを受付嬢がどの様にとらえているのかは、とても気になりますね。
好きだった人が人間味を取り戻して喜ばしいのか、変わってしまったことに寂しさを覚えているのか?
私としては受付嬢の気持ちは前者にあるんじゃないかなって思います。
元々、ストイックにゴブリン退治を行い不器用な優しさを見せてくれたところが受付嬢にとって好感度が高かったと思いますからね。
それにしても恋愛面で積極的なようで尻込みしている姿や、デート中にゴブリンスレイヤーの行動を理解して後押ししてあげる受付嬢さんがとてもいぢらしくて大好きです。
それにしても収穫祭の午前と午後で相手を変えてデートをするとか、ゴブリンスレイヤーさんモテモテで羨ましいですね。
でも、妬む気になれないのはゴブリンスレイヤーさんがデートに浮かれるだけではなく、ゴブリンに備えてもろもろの努力を人知れず行っていることをしっているからなんでしょうね。
ただ、デートの時にでもいつもの装備を脱がないゴブリンスレイヤーさんの姿にはちょっと。
牛飼娘や受付嬢といったゴブリンスレイヤーのことをよく知っている面々じゃなかったら、会った瞬間にデートが終わっていた可能性がありますよ。
ただ、そんな常在戦場のゴブリンスレイヤーさんだったからこそ、街で襲撃を受けた際も死なずにすんだわけですからね。
やっぱり凄いわ、ゴブリンスレイヤーさんは(笑)
シリーズ感想の索引
ゴブリンスレイヤー 1巻 感想
ゴブリンスレイヤー 2巻 感想
ゴブリンスレイヤー 3巻 感想
ゴブリンスレイヤー 4巻 感想
ゴブリンスレイヤー 5巻 感想
ゴブリンスレイヤー 6巻 感想
ゴブリンスレイヤー 7巻 感想
ゴブリンスレイヤー 8巻 感想
ゴブリンスレイヤー 9巻 感想
ゴブリンスレイヤー 10巻 感想
ゴブリンスレイヤー 11巻 感想
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 1巻 感想
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 2巻 感想
ゴブリンスレイヤー 外伝2 鍔鳴の太刀 上 感想
お勧めの作品
ゴブリンスレイヤーの最新刊『ゴブリンスレイヤー 8巻』の発売日は2018年10月15日です。
アニメ版ゴブリンスレイヤーは2018年10月開始ですので、アニメ放映時期に合わせての新刊のようですね。
アニメで知名度と人気が上がり、売れ行きが加速するんじゃないでしょうか。
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