
混沌がすべてを支配する大陸。人々は混沌により生じる災害に怯え、それを鎮める力“聖印”を持つ者、君主に守られ生きてきた。だが、いつしか君主たちは「人々の守護」という理念を捨て、互いの聖印と領土を奪い合う戦乱へと突入していく―理念なき君主たちを軽蔑する孤高の魔法師シルーカと、故郷を圧政から解放するべく修練の旅を続ける放浪の騎士テオ。「わたしは騎士テオの聖印と契約し、永遠の忠誠を誓います」ふたりが交わした主従の誓いは、混沌と戦乱の大陸に変革の風をもたらすのか!?秩序の結晶である“皇帝聖印”を巡り繰り広げられる一大戦記ファンタジーが、いま始動する!!
『グランクレスト戦記 1巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
ブログ移転後最初の感想は『グランクレスト戦記』になりました。
既刊分は7巻まで読んでおりましたが感想を挙げていませんでした。2018年1月よりアニメ化という事を記念して再読と感想アップです。
アニメでは何巻分まで放送されるのでしょうね?
私の予想では『グランクレスト戦記 4巻 漆黒の公女』まで放送して1部完結。暫く期間をおいて2部開始でシリーズクライマックスまで放送かなって考えています。
果たして予想は当たるのか?というところも含めてアニメ放映を楽しみにしようと思います。
ネタバレなしの感想
『グランクレスト戦記』シリーズの第一巻ということで、この巻を読むことでこの世界の情勢、魔法や魔物、魔法について、そして物語の主要人物となる各キャラクターの概要が分かるようになっています。
そのため、この『グランクレスト戦記』の基となっている『グランクレストRPG』の設定を知らずとも、物語として楽しめるようになっています。
『グランクレストRPG』を広めるために『グランクレスト戦記』が書かれていると考えるのが妥当でしょうね。
物語は、アトランタ大陸と呼ばれる世界で統一がなされ世界に平和が訪れる寸前から一転、戦乱時代の幕を挙げるところから始まります。
その場に立ち会い運命を大きく変えた主人公の一人である虹の魔女『シルーカ』と、のちに彼女が契約することとなった放浪の君主『テオ』を中心として物語が進んでいきます。
この2人を中心に物語はテンポよく進んでいきますので、『グランクレストRPG』の設定を覚えるというより、物語を楽しむ中で自然と世界観が掴むことが出来ると思います。
この『シルーカ』と『テオ』のコンビがいいんですよ。物語を、そして世界を索引するのは『シルーカ』なのですが、本当に大事なところで狼狽えず正しい決断をできる『テオ』というキャラクターの器の大きさが本当に頼もしく見えるんですよね。
だからこそ、『テオ』が引っ張られるだけの頼りない人物に見えず、この2人が良いコンビであり、主従として互いを補い成長していけると思えるんですよね。
『テオ』と『シルーカ』の主従としての本当の絆と信頼関係が生まれ、頼りになる仲間たちが集い始めるという物語の開幕を告げるにふさわしい始まりだと思います。
将来的に大成する可能性を魅せてくれた『テオ』と『シルーカ』コンビの成長と躍進を楽しめると思うと、このシリーズ自体に期待が膨らみますね。
戦記物が好きな方にはお勧めの作品です!
ネタバレありの感想
ここから下は『グランクレスト戦記 1巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
テオとシールカ
ネタバレなしの感想にも書きましたが、『テオ』と『シルーカ』の主従関係が良いんですよね。
政戦略を練るのは『シルーカ』であり、普段の主導権を握っているのは彼女の方になっています。
ですが、その政戦略に従う決断をしているのは『テオ』であり、そのことを『テオ』自身も自覚しています。
そのため、『シルーカ』の政戦略によってもたらされた思わぬ窮地の際にも、『テオ』が狼狽えたり、『シルーカ』を責めたりしません。
そういったところに『テオ』自身の器のでかさ、君主として懐の広さを感じて、私は彼のことを好きになりましたよ。
それが顕著に表れたのは、大工房同盟への参加を拒否され、幻想詩連合への鞍替えも拒否されて、無縁の状態で大工房同盟に攻撃された窮地の時でしたね。
10倍以上という圧倒的な戦力差を前にして、悲壮な決意を固める『シルーカ』と、泰然とした『テオ』の姿は対照的でした。
『テオ』も決して楽天家と言う訳でも奇跡を信じるだけの夢想家でもないことは、後に窮地を脱する決め手となった『アルトゥーク伯』の援軍を見た時に「自分たちの味方というわけじゃな」語ったように、現実を見えている人物です。
そんな現実を見えている『テオ』が窮地の際にも『シルーカ』責めたりしなかったのは、『シルーカ』のことを自分の夢を叶えてくれる存在だと認識しているからなんでしょうね。
主従間の信頼関係の美しさが、私はとても気に入りましたよ。
『テオ』に『シルーカ』がついていれば、『テオ』は自身のもつ大きな夢以上の成果を上げることが出来ると思えます。
『シルーカ』に『テオ」がついていれば、『シルーカ』が構想する政戦略以上の成果を上げることが出来るのではと思えます。
この2人の主従を中心とした『テオ』陣営が、どこまで勢力を拡張するのかがとても楽しみです。
手に入れた領地と聖印は手放すこととなりましたが、『テオ』と『シルーカ』の信頼関係は深くなり、成し遂げたことでの名声は大きくなっています。
まさに強くなった状態でニューゲームともいえる出直しを、この2人がどう進めていくかはとても興味深く面白そうですね。
幻想詩連合と大工房同盟の戦い
『グランクレスト戦記 1巻』の内容で言えば、幻想詩連合と大工房同盟の戦いでは幻想詩連合の多きなプラスと思えます。
『テオ』という流浪の君主が躍動することで、幻想詩連合の『アルトゥーク伯』の勢力が拡張し、大工房同盟の勢力が縮小しましたから。
しかも大工房同盟の盟主である『マリーネ』の軍にも少なからず被害が出ておりますし、負けたことで盟主としての声望にも影響が出るでしょうからね。
結果論で言えば、『テオ』陣営にいくらかのペナルティを設けたうえで同盟に受け入れること正解だったんでしょう。
ただ、『テオ』達が受け入れられなかったことで、『アルトゥーク伯』の庇護を得たうえで『テオ』と『シルーカ』が君主として魔女として成長する機会が設けられたわけです。
『テオ』と『シルーカ』からすると窮地はあったけれども、都合のよろしい展開ともいえます。
これはご都合主義というよりは、時代の風は『テオ』と『シルーカ』の背を押しているという事なのでしょう。
大工房同盟がどう巻き返しを図るのかが楽しみですね。
シリーズ感想
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