グランクレスト戦記 9巻 決戦の刻 感想 ネタバレ あらすじ




テオの説得によって覚醒し、芸術的な采配で勝利を収めた連合盟主アレクシス。同盟の勢いを止め、愛するマリーネを救うために戦乱の中に身をおいた彼に迫るのは、ノルドの君主エーリクだった。海洋王とも謳われる猛者に対し、アレクシスは圧倒的に不利なはずの海上での戦いを選び!?近づく、条約、同盟、連合の激突。その先には皇帝聖印誕生への道が開かれると誰もが予感していた。しかし―「三勢力が鼎立する今の状況は、本当の敵を利するだけだ」秩序に満ちた世を望まない者たちが暗躍を始めていた―一大戦記ファンタジー、最大の決戦にして新たな展開を迎える!

グランクレスト戦記 9巻 決戦の刻』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

明けましておめでとうございます。

私のサイトを見に来てくださる方々にとって良い年になることを願っています。

そして今年も面白い作品をたくさん読めることも願っております。

2018年最初の感想は『グランクレスト戦記 9巻 決戦の刻』の感想になります。

アニメ開始前に最新刊まで読めてよかったです。

サブタイトルにもある通り物語も決着に向けて最後の刻を迎えて盛り上がってきました。




ネタバレなしの感想

アルトゥーク条約、大工房同盟、幻想詩連合の三つ巴の戦いが決着に向かう

アレクシスとエーリクによる一大海戦が勃発し、

その海戦の決着を受けテオとマリーネによる雌雄を決する会戦も行われる。

君主たちによる皇帝聖印を巡った戦いに決着のときが訪れた際に、世界の未来をかけた決戦が始まりを告げるといったお話です。

3勢力による争いの結末は、アレクシスとマリーネの恋愛感情と、戦乱時代の幕開けが二人の結婚式における暗殺劇にあったっと思えば収まるところに収まった感がありますね。
ただ、当初目指していた二人の結婚による皇帝聖印誕生という結末といささかのずれが生じているのは、戦乱の時代に生まれた『テオ』という英雄の存在があるからこそなのでしょう。

『テオ』の存在が無ければ、紆余曲折の末に生じた君主側での大団円は生まれず混沌の時代が続き、魔法師協会の望む現状が維持されていたことでしょう。

そう考えると『テオ』と『シールカ』が出会ったことが、時代を変えるターニングポイントだったんですね。

君主間の争いに決着が付き、世界に平和が訪れたと思われた際に発生した新たな動乱。

これまで不穏な空気を出して北アの組織のことですから、何事も無く終わらせることは無いだろうと思っていましたが、思った以上に直接的な行動に出てきましたね。

彼らの行動も世界を維持するためという大義名分があるようですが、その真意が全て明らかになったわけではありません。

次巻『グランクレスト戦記 10巻』で彼らの組織の存在理由と、今回の行動の真意が明らかにされることをまとうと思います。

この争いが収まったとき、秩序が確立されるのか混沌の時代が続くのかとても気になります。

ただ、争いの果てに団結した君主たちや、君主たちの理想のために戦ってきた民や兵がいる限り、真相を隠し裏で暗躍していた一部特権階級集団のような組織が勝つことは無いであろうと思います。

『テオ』が『シルーカ』が苦闘してきた結果が無になることはきっとないでしょう。




ネタバレありの感想

ここから下は『グランクレスト戦記 9巻 決戦の刻』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

プレトランド沖海戦について

三つ巴の戦いが終結に向かった決め手

『アレクシス』対『エーリク』の戦いは、前巻での予想のとおり鉄甲船が勝利の鍵でしたね。

あからさまに出てきていましたし、大多数の読者が予想していたとは思いますが。

兵器の性能が選挙区を左右した大きな要因ではありましたが、その兵器が有効に使える戦法を生み出し、戦場を用意できた『アレクシス』側が有能であったということですね。

『エーリク』たちノルド陣営の海戦で負けるはずが無いという驕りが敗因であったともいえます。

形勢の不利を認識していたのですから、『エーリク』は玉砕の突撃をかけることをせず撤退して建て直しを図るべきでしたが、国是的に失政者への寛恕がない国柄故の特攻だったのかもしれないですね。

ですが、『エーリク』が玉砕を選んだことでノルド陣営自体に多大な被害が発生したわけですから、この玉砕は無能以外の評価が下せないですよ。

これまで力で支配してきたノルドから力が失われたわけですから、この後のノルド陣営の建て直しは辛苦を極めるんじゃないでしょうか。

死をもって敗戦の罪を償うのであったり、死をかけて突撃をかけるなら、自分ひとりで行えよって話ですね。狂戦士とさせられ道連れのように死亡した兵士たちには哀惜の念を覚えましたよ。

ノルドの法による支配では私のような一般人は生きにくいことこの上ないでしょうから『アレクシス』が勝って本当に良かったです。
人の痛みを知り、命の尊さを知る『アレクシス』の支配下なら無益な死を共用されることは無いんじゃないかと思います。

魔法師協会について

やっぱり出てきた動乱の黒幕。これも予想通り魔法師協会でした。

「世界に秩序の時代が訪れ混沌の時代が終わると、この世界も終わる」

この言葉に従い皇帝聖印誕生による秩序の時代を防ぐため、君主たちへ表立っての反抗を実施しました。

3勢力による君主連合軍を相手にして正面から抵抗するとは魔法師協会の勢力の強さに驚きを禁じえないですね。

正面から圧倒できる力があるのなら、君主たちに実権を渡さず魔法師たちによる賢人政治でも良かったのではと考えてしまいますが、実権を君主側で握っている状態にも何らかの事情があるのかもしれないですね。

それがファースト・ロード『レオン』による秩序回復による何らかの弊害が発生し、それに対抗するための組織として魔法師協会が設立されたのかしら?

秩序でも混沌でもないバランスの取れた世界が訪れると世界が崩壊するというのは、バランスの取れた世界での停滞を恐れ、この世界を破壊する存在が生まれるということなのかもしれないですね。

世界を破壊する存在の誕生を防ぐため、秩序の世界を防ぐというのなら魔法師協会の理念にも一理あるように思えます。

選ばれた一部の人々の勢力である魔法師協会が世界を守るための理想を持って動いているとしても、その地で暮らしている人々が戦乱や混沌勢力に苦しみ倒れている現状を受け入れることを強いているわけですから、人々からすれば納得がいくものじゃないでしょう。
戦乱の世界で暮らすか、世界が滅びるかもしれないが秩序ある世界で生きるか、その問いかけを『テオ』たちが人々に公開したとき、魔法師協会は敗北するのかもしれません。

人々が自信の意志で未来を決め戦う、それこそが『テオ』の掲げる理想に最も近いように思えます。

聖印教会について

君主連合と魔法師協会の戦い、その中で第三勢力として力を持つのが聖印教会ではないでしょうか。

これまでの君主や魔法師に比べ目だっていませんでしたが、ここにきて聖杯の存在が語られましたし、『プリシラ』の能力についても焦点が当たっています。

聖印教会側は秩序ある世界を目指しているため、君主側の勢力に見受けられます。

ですが、実現を目指す目標が聖杯に聖印を満たし、新たなる世界を見守る創造神を生み出すこととしている点が不安点になりますね。

新たな世界の創造神という存在は、現在の世界を破壊し新たな世界を生み出すという意味で破壊神ともいえますから。

そうなると魔法師教会が秩序ある世界にしない理由こそが、聖印教会が生み出そうとしている新たなる創造神の誕生の阻止なのかもしれないです。

君主連合と魔法師協会の戦いで教会がどう動くのかも注目すべき点になりますね。




シリーズ感想

グランクレスト戦記 1巻 感想
グランクレスト戦記 8巻 感想
グランクレスト戦記 9巻 感想
グランクレスト戦記 10巻 感想

お勧めの作品

今回のお勧めは『グランクレスト戦記 10 始祖皇帝テオ (ファンタジア文庫)』です。

遂に最終巻の発売日とあらすじが公開されましたね。

グランクレスト戦記 10巻 始祖皇帝テオ (ファンタジア文庫)』は、3月20日発売です!あと一月後ですね。

グランクレスト戦記 10巻 始祖皇帝テオ (ファンタジア文庫)』あらすじはこちらですが、まだ詳細は明らかになっていないのでそのうち置き換わる気がします。

タイトルからして、テオが皇帝となり戦乱を沈めて秩序の時代が始まるといった感じでしょうか。

皇帝聖印誕生へ、最後の決戦! 混沌の世のゆく末は!?

条約、連合、同盟の和睦が成立し皇帝になったテオ。しかし暗躍していた魔法師協会のパンドラが牙を剥き、最終決戦が始まる。世に混沌を望むパンドラの真意とは? そしてテオとシルーカが手にする未来とは!?

グランクレスト戦記 10 始祖皇帝テオ (ファンタジア文庫)
水野 良
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