亡びの国の征服者 1巻 ~魔王は世界を征服するようです~ 感想 ネタバレ あらすじ

亡びの国の征服者 1巻 ~魔王は世界を征服するようです~』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

私が『小説家になろう』で連載を楽しみにしている作品の書籍化です。

戦記物作品に飢えていた時に本作『亡びの国の征服者~魔王は世界を征服するようです~』のことを知り試しに読んだところハマって一気に読んだ覚えがあります。

一時連載が中断というか、第一部完的な切りのいい部分まで掲載されて更新がとまった時はショックを受けましたよ。

それが今年に入り連載が再開し、書籍化も決定と朗報が続けざまにやってきましたよ。

本当に面白い作品なのでWeb版も書籍もちゃんとした完結まで続くことを願っていますし、多くの人に読んで欲しいなと個人的に思っています。

あらすじ

家族の愛を知らぬまま死に、異世界に転生した少年ユーリ。両親の愛を一身に受けながら新たな人生を歩むユーリだったが、彼の住む国家群は“もう一つの人類”の侵略によって亡びの危機に瀕していた。槍を振るい鳥を駆る王国の剣―騎士家。そんな騎士家の頭領だった叔父の戦死は、ユーリとその家族を戦乱の運命へと巻き込んでいき…!?「小説家になろう」で話題の超本格戦記譚、ついに開幕!

ネタバレなしの感想

親からの愛を知らぬまま死亡した主人公が異世界へ前世の記憶を持ったままユーリという名前の子供に生まれ変わります。

前世のときとは違い父と母からの愛情に恵まれ育てら異世界に順応していきますが、その平穏で愛情あふれるユーリの世界に戦争の気配が近づいてきます。

ユーリたちを始めとしたシャン人は、クラ人という人種に種族的に追い込まれつつあり、、、

愛情を知らずに死んだ青年が生まれ変わり、愛情で包んでくれた人たちを救うために戦う異世界ファンタジー戦記作品となります。

ただ、本作品が他の異世界ファンタジー作品と違う点は、転生した異世界に魔法やスキルと言った超常的なものが存在しないということです。

そのため、主人公ユーリの活躍は自身が持つ圧倒的な力とかではなく、前世の記憶から用いる知識や技術になります。

主人公がもつ現代知識を用いて相手より一歩も二歩も進んだ技術で優勢な敵を倒すというジャイアントキリング展開は個人的に大好きです。

ただし、全くファンタジー要素が無いのかというとそうではありません。

人を乗せて飛ぶことができる巨大な鳥「王鷲」や、馬のように人を乗せて走る「駆鳥」という存在が異世界感を構成しておりわくわくさせてくれます。

特に人を乗せて飛ぶことができる王鷲の存在は軍事的に相当な優位になりますし、劣勢側の逆転の切り札として優秀に思えます。

今巻ではハイリスクハイリターンの首狩り戦術に用いられていましたが、現代知識をもち空軍の優位性を理解しているであろうユーリならもっとうまく活用できそうで、今後の展開が楽しみです。

ファンタジー戦記物作品としてお勧めの本作品ですが、『亡びの国の征服者 1巻』時点では、まだ戦記らしい軍勢同士のぶつかり合いは描かれておりません。

Web連載されている原作『亡びの国の征服者~魔王は世界を征服するようです~』を読むと分かりますが、主人公のユーリが戦争に直接かかわってくるのはまだまだ先です。

今巻ではユーリと彼を取り巻く人々の姿と、転生した異世界の世界観が丁寧に描かれています。

両親であるルークとスズカがいかにユーリのことを大切に想い愛情を注いでいるのかも伝わってきますし、それを感じてユーリの側も両親を大切にするところも伝わってきました。

両者の愛情が通じ合っているからこそ、騎士院に入学し両親から離れなくてはならない時のスズカとユーリの通じ合いは胸に来るものがありましたよ。

私は原作を読んでハマっているという点はありますが、ユーリの感情や気持ちが丁寧に描かれているからこそ、彼の行動に違和感を覚えず作品世界に嵌っていけたのではないかなと感じています。

タイトルになっている『亡びの国の征服者』にユーリが至っていく過程を読んでいるのだなと感じさせてくれましたよ。

今巻では騎士院に入学するまで、原作Web版でいうと「第三章 騎士院編」までの週録ですね

大筋はWeb版と同一の展開となっていますが、将家継承の時の展開が異なる事とクライマックスでのキャロルとの冒険譚が追加・加筆されています。

このキャロルとの冒険譚はとても良かったです。

ユーリとキャロルの2人の距離が縮まるイベントとしても良かったですし、ユーリがみせた機転と勇気はキャロルがユーリを認めるきっかけとしても素敵でした。

ただ、少年少女の冒険にしては思った以上に剣呑な内容でしたし、亡びゆく国の影も感じました。

そんな斜陽な亡びゆく国を舞台に、主人公のユーリが今後どのような活躍をして、亡びゆく国の救っていくのかがとても楽しみです。

「亡びの国の救世主」ではなく「亡びの国の征服者」とされている点からもユーリの生涯は戦火に彩られていくんだろうなと期待してしまいます。

ネタバレありの感想

ここから下は『亡びの国の征服者 1巻 ~魔王は世界を征服するようです~』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

転生した異世界について

この巻での一番の驚きポイントは転生した世界が異世界と思いきや、実は異世界ではなく地球ではないかということが判明した場面でした。

ユーリの従兄弟である天才少女のシャムと天体観測を行った際に、異世界で見た星座が地球で見た星座と等しいことに気づきます。

その後、疑問に思ったユーリが異世界の地図を確認し、地形がほぼ同一であったことから確信に至っています。

異世界と思いきや地球だったという点は大きな驚きでありますが、単なるサプライズにはとどまりません。

前世の記憶があるユーリにとってみれば、多少の差異はあれど大凡地球と一致するという事は、自身の持つ知識や技術が転生後の世界でも大いに活かすことができることになりますから。

例えば、前世の知識にある天然資源の埋蔵場所や食物の生息地域が分かるのって大きなストロングポイントとなります。

また地球と同じ環境ならユーリが前世で学んだ物理法則や科学知識を活かすことも可能です。

魔法やスキルではなく知識や技術で活躍するには、その前提として持っている知識や技術が活かせる世界であることが必須ですから。

そう考えれば異世界だと思った場所が地球あるいは地球とニアイコールであったという設定は、単純なサプライズではなく作品にとって必要な設定だったと言えますね。

でも、全く現実の地球と地理が一致しなかったりするところに深い意味があるのかしら?

ユーリが前世の知識技術を活かそうと思ったら、その一致しなかった部分で足を引っ張られる展開とかあったりとかあるのかな。

いや、一部現実の地球と一致しない部分があるからこそ、本作品の独自要素である王鷲などが存在してもおかしくないよねという裏付けになってたりするのかもですね。

とても丁寧に作品世界を作っている気がしますので、差異の部分にも何か重要な意味があるんじゃないかと考えてしまいます。

シリーズ感想の索引

亡びの国の征服者 1巻 感想

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