『
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
“アルター王国三巨頭”誕生秘話
かつてアルター王国を襲った災害、
【三極竜グローリア】。そのモンスターに近づけば死があふれ、遠くからの攻撃は効かず、打つ手をなくしたプレイヤーやティアンたちに暗雲が立ち込めていた。
そんな中、それぞれの闘う理由を胸に3人の超級が立ち上がる。<月世界>、<無限連鎖><正体不明>。
3人の超級が、“アルター王国三巨頭”と呼ばれるきっかけとなった史上最大の事件が今始まる。大人気VRMMOバトルファンタジー超激熱の第11巻!!
ネタバレなしの感想
2020年1月アニメ版放送開始
『インフィニット・デンドログラム』シリーズ最新刊である11巻となります。
上記の通りアニメ化直前の最新刊な訳ですが、凄い事に本編主人公のレイ君の活躍場面どころか登場シーンもありません。
アニメ化で本作品を知った読者が「最新刊の展開はどうなっているのか?」と確認したら本編主人公不在とか驚くんじゃないかな。
といった感じで今巻はレイ君とネメシスの出番はありません。
レイ君が大学受験を終えインフィニットデンドログラムを始める前の物語であり、本編前日譚になります。
本編でも何度か話題に上がっていた王国が誇る超級“アルター王国三巨頭”誕生秘話です。
アルター王国を襲った災害、
本当に三極竜グローリアの強さが極悪なんですよ。
レベルが足りないと近寄られるだけで殺されますし、近寄る資格を持つものですら瞬殺可能な攻撃、その攻撃を掻い潜りダメージを与えることができたとしても更なる絶望が対戦者に降りかかるとか本当に極悪すぎる、、、
こんな大量殺りく兵器としか言えぬ物体を王国にもたらした存在達って、本当にティアン達にしてみたら悪魔としか言えませんよ。
だからこそ、そんな理不尽な災害といえるグローリアを相手に勝算の低い戦いを挑んだマスターたちの姿が輝いて見えます。
グローリアに挑み敗れてしまったとはフォルテスラとバビロニア戦闘団の死闘は讃えられてしかるべきでしょうね。
彼らが挑みグローリアを傷つけたことが、グローリアとの戦いで得た情報を広めたことが、“アルター王国三巨頭”の勝利に結びついたのですから。
ただ、そんな賞賛や名誉はフォルテスラにとっては慰めにはならないのでしょうね、、、
三極竜グローリアと“アルター王国三巨頭”の戦いは、劇場版アニメかとも思える激闘が続き、大いに盛り上がっています。
各々が自らが誇るスキルを活かしてグローリアと戦い、超級エンブリオのスキルを活用して一人ずつグローリアの首を落としていくとか盛り上がらないわけないですよ。
シュウやフィガロが桁違いの強さを持っていることは本編でもたびたび書かれていますが、超級として同格以上の敵と戦い相手を圧倒するさまは、今巻が初披露なんじゃないかな。
シュウたちの圧倒的な強さが描かれ戦闘が熱くなるのは、敵であるグローリアも尋常な強さではないからなんでしょうね。
王国にもたらした被害の大きさや人に残した悲しみを考えるとグローリアを素直に讃えにくいですが、シュウとグローリアの最終決戦の様は、圧倒的な強者同士の意地と覚悟のぶつかり合いで本当に熱くて良かったです!
あの介入者たちが余計な事をしなければ本当に強者同士の戦いで済みましたし、無駄な被害は減っていたと思いますよ。
エピローグには今後の展開でレイ君やシュウたちの前に立ち塞がるであろう敵の姿がいくつも出てきますが、一番の敵は管理AIなんではなかろうか。
少なくともティアンをゲームのキャラクターと捉えず、自らと同じ人間であると認識しているレイ君からしたらティアンへの被害を考慮せずにすすめる管理AIは許せない存在だと思うのですよ。
レイ君たちマスター対管理AIの戦いがいずれは描かれるのかなと気になりますね。
マスター対管理AIの戦いならレイ君に協力するティアン側勢力もありそうですが、そこまで物語として描かれるのかな。
ネタバレありの感想
ここから下は『
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
対グローリアと書いて無理ゲー
正しくは王国の超級4人の手によって三極竜グローリアは滅ぼされています。
なんですかあの無茶苦茶な4つ目のスキルの存在は、、、
グローリアの尻尾はバックアップであり、頭にある3つのコアが壊されると尻尾からグローリアが再生されるとか事前情報なしじゃ無理げー過ぎるよ。
“アルター王国三巨頭”が激闘を繰り広げている裏側でゼクスが暗躍していなかったら、シュウが相打ち覚悟の攻撃でグローリア三つ目の首を落とした後にあっさり復活して王国を蹂躙していたじゃないですか、無理だー
ゼクスが大罪を犯すことに使命を見出していなかったら、どんだけ恐ろしい惨事が王国で起こっていたのやら。
いや本当によくもこんな無理ゲーを“アルター王国三巨頭”とゼクスは攻略できたものですよ。
ネタバレなしの感想でも書きましたがフォルテスラたちの死闘は無駄ではなかったのです。
ただ、そんな賛辞を受けてもフォルテスラの心は救われず、悔恨は残ってしまうのでしょうが。
そんな無理ゲーであるグローリアに挑むための理由が、四社四様で皆違うところが個性が感じられて面白かったです。
だれも王国を守りたいと動いたわけでは無いと気付いたとき、マスターにとって愛国心とかないし、戦争に積極的に参加しない訳だわと納得しました。
最初に挑んだフィガロの動機は、もう二度と戦えないかもしれないフォルテスラとのケジメをつけるためや、友であるフォルテスラの仇討でしょう。
戦闘前、戦闘中、戦闘後と常にフォルテスラへの想いはありましたが、ティアンや王国への言及がないところが王国に対するドライさを感じさせてくれます。
逆に月夜の方は自らの教団の為ではありますが、王国への被害が出ないようシュウに託しているわけですよ。
王国やそこに住むティアンにとっては月夜の方が頼りになるんじゃないかしら。
月夜さんは見返りは求めていましたが、無償で王国や人々を守れという方が厚かましいし、王国上層部以外に見返りを与えることへの損害はでないからな。
シュウとフィガロが王国に見返りを求めていなかったので、相対的に月夜の評価が下がって損している気がしますね。
逆に言えばシュウとフィガロは王国が報いるための術や交渉材料にできるものが無いともいえるので、王国上層部が彼らを戦力として計算することが難しいといえます。
交渉が出来て戦力として計算することができる月夜とその教団は表面上は友好関係を結び、手綱を握った方が得策なんじゃないかな。
って話が脱線しすぎた。
シュウがグローリアに挑んだ動機はまさにレイ君不在時の主人公に相応しい内容でしたね!
何も望まないすべてを諦観したような少女を自らの勝手な意思で守るため、何も告げずに戦いの場へ赴くとかまさに熱い展開です。
シュウの考えは決して正当な正義の味方ではありませんが、シュウ自身の心が臨むままに動くことで多数の無辜の人々が救われているわけですよ。
シュウはそんなつもりでは無いでしょうが英雄といえる人間の行動に思えます。
多くの人たちを守りたいと考えるまっとうな正義の味方であるレイ君、自らの心の欲求に従い縛られずに行動するシュウ
形は違えど主人公としてどちらも魅力的な二人ですね。
ゼクスの参戦理由も大罪を犯したいというゼクス自身の欲求もありましたが、王国が消えると自らが犯した罪が消えてしまうという面白い理由もありました。
王国を守ろうとしたのが月夜とゼクスという王国から忌避されている2人だというのが本当に面白いですわ。
ゼクスが自らのエンブリオのスキルでバルドル最終形態に変身していましたが、ゼクスはシュウに負けて監獄に落ちた訳ですよね?
といことはシュウ対ゼクスの決戦は巨大ロボットバトルになるってことなのか。
ゼクスは巨大ロボットと形態で天才的な格闘技を使うシュウとほぼ相打ちまで持っていったってことです。
格闘技で負けている分の弱みを何か別のもので埋めたとすると、ゼクスにはまだ更なる奥の手があるのか。
前日譚として描かれたグローリア戦も面白かったし、いずれはシュウ対ゼクスの決戦も読んでみたいな。
フォルテスラ
間違いなくマスターの中で最もグローリアによる被害を受けた人物ですね。
ティアンと違い死ぬことで終わりではなく復活することはできますが、復活しても大切な存在は失われております。
大切な存在を守れなかったことを考えると、グローリアを自らの手で倒したとしてもフォルテスラの喪失感は一生埋まらない気がします。
管理AIへの復讐は困難を極めるでしょうし、達成できる確率はほぼ無いと思います。
でも、もしそんなほぼ無理なことを達成できたとしても、フォルテスラの抱える損失は埋まらないんじゃないかな。
フォルテスラの心の欠損が埋まるとしたら、大切な存在に再会し許して貰えたらじゃないかなと思いますよ。
死者の復活が出来る存在か、死者と言葉を交わすことが出来る存在がフォルテスラの前に現れたとしたら、そんな救済があるかもしれないです。
超級エンブリオの中にはそんな能力を秘めた存在があってもおかしくない気はします。
そもそもゲームへのログインができないフォルテスラとどうやって接触するのかという問題もあるのか。
でも、フォルテスラの心の傷が癒えて、グローリアとの戦いは無駄じゃなかったと報われる展開が来てほしいな。
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