『賢者の孫 3巻 史上最強の魔法師集団』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
『アルティメット・マジシャンズ』、ついに魔人の軍団と激突――!!
クロード家の領地で夏合宿を行う究極魔法研究会。
皆が順調にレベルを上げる中、シンは立太子の儀式に出席するためオーグと共に王国へ戻る事に。
王太子オーグの誕生に沸くアールスハイド王国。
しかし時を同じくして世界征服を目論む魔人の集団が、スイード王国へ侵略を始めてしまう!!
その知らせを聞いたシンはシシリー達と一緒に急いでスイード王国に向かうのだが――。
新英雄シンの破天荒で型破りな大人気異世界ファンタジーライフ、第三弾登場!!
ネタバレなしの感想
今巻『賢者の孫 3巻』3つのエピソードから構成されています。
一つは、前巻『賢者の孫 2巻』でシシリーに告白して正式な恋人となったことを家族に報告したことから始まる、シンとシシリーの婚約に関するお話です
2つ目は、帝国を壊滅させた魔神側のお話であり、賢者の孫シリーズのラスボスになるであろうオリバー=シュトロームの過去話も描かれキャラクターの深掘りをしています。。
そして3つ目は、帝国だけではなくスイード王国へも侵略を始めた魔人を、シンと究極魔術研究会あらためアルティメットマジシャンズの活躍を描いたお話となっています。
シンとシシリーの婚約に関しては本当に展開が早いですね。
高等魔法学院の入学前に知り合ったと思ったら1年が経たないうちに既に婚約ですからね。
お互いひとめぼれ同士であり運命の出会いといえる二人なので、近づいたと思ったら離れたりすれ違ったりして読者にストレスを溜めさせるよりは、サッサとくっつけてフラストレーションを溜めさせないという事なんでしょうね!
お互いの感情が近づいていく甘酸っぱいドキドキが楽しめる恋愛シーンを描くより、結ばれた後の甘々な雰囲気をタップリ書こうという英断なんでしょうね。
恋心に鈍いタイプのシンがどんな風に甘々な恋愛をしていくのかが楽しみです。
婚約に関しての騒動といえば、シシリーの姉たちが急な婚約に心配して、シンのことを見定めに来たところのイベントは笑いました。
大事な妹のシシリーをどこの馬の骨かわからない男にはやれんと乗り込んできたのに、シンが大賢者マーリンの孫であると知った途端に手のひら返してシンを認めるところ本当に好きです。
シンの人柄がどうこうではなく偉大な賢者と親戚になれることを知り慶ぶところは、本当に妹の子と心配しているのかと姉たちの人間性のダメさ加減に笑ってしまいますよ。
シンの人柄を知る前に手放しで称賛するところはシンと賢者の人脈の凄さを描こうとしているとは分かるのですが、結果的にはシシリーの姉たちの人間性が疑われる描写になっていて面白かったな。
帝国を壊滅させたオリバー=シュトロームを始めとした魔人たちの脅威が描かれるかと思いましたが、シンとアルティメットマジシャンズにとって全然脅威じゃないところも面白かったです。
オリバー=シュトロームについては何故魔人になったのかや帝国を壊滅させた理由が描かれていましたが、その理由を知ってしまうとオリバー=シュトローム側への想い入れが産まれてしまいます。
決してオリバー=シュトロームの行動は善とは言えないのですが、余りに腐っている帝国の上層部と馬鹿しかいない帝国臣民の姿を見てしまうと、オリバー=シュトロームへの反感は薄れてしまいました。
帝国を壊滅させたオリバー=シュトロームにとって今後シンと敵対する理由が特にないというのも面白いですね!
『賢者の孫 1巻』からシンと敵対できる唯一の強敵として登場させたオリバー=シュトロームを、どうやってシンと敵対させるのかという不思議な楽しみ方がでてきましたよ。
オリバー=シュトロームが生み出した量産型魔人ではシンはおろか、アルティメットマジシャンズにすら敵わないんですからね。
量産型とはいえシンたち以外には対処が出来ず、国が滅亡するほどの危険がある魔人を全く苦戦もせずコミカルに倒してしまうアルティメットマジシャンズの面々をみてしまうと、今後の戦闘シーンも主人公陣営の無双が続きそうです。
賢者の孫シリーズは死闘や苦戦からの逆転と言ったカタルシスを味わうより、主人公陣営の無双による爽快感やストレスフリーの部分で楽しんでいくのが正しいのでしょうな。
周囲から隔絶した強さを持ったシンとアルティメットマジシャンズの次の活躍の舞台はどうなるのか楽しみが尽きないです。
ネタバレありの感想
ここから下は『賢者の孫 3巻 史上最強の魔法師集団』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
オリバー=シュトローム
既に帝国に対する復讐という目的を達成し、やることが無くなったラスボスのオリバー=シュトロームさんです。
いや本当にこのオリバー=シュトロームってキャラクター面白いですよ!
主人公たちと関わらないところで既に自身の目標達成していますし、主人公たちと戦う理由がもう何もないんですからね。
今後も量産型魔人を作るのならばシンたちもオリバー=シュトロームを打倒しないといけませんが、本当に何もしたいことないなって感じになっていますし、どうやって敵対させるまでもっていくのかしら?
産み出した量産型魔人によって生じた被害の着けを払わせるために芯たちが襲い掛かってくるという事なのかな?
オリバー=シュトロームに目的が無くなったことを心配した腹心たちがなぜかシンと戦わせる方向にもっていこうとしているのが本当に訳が分からないですわ。
作品の都合としてシンと敵対させようとしている様にしか見えないのですが、それはきっと私の読み込みが浅いことからくる誤認識なんでしょうね。
きっとシンとオリバー=シュトロームが敵対する必然的な理由や運命が今後描かれるのでしょう。
じゃないと本当に何で二人が戦わなくちゃいけないの?って読んでいる方が戦うシーンで盛り上がり切れませんからね。
オリバー=シュトロームという目標を達成して隠遁したラスボスという面白い存在が誕生したのですから、そんな面白いキャラクターを活かすお話を期待します。
アルティメットマジシャンズ
ドストレートにダサい名前です。
名付け親でもあるシン本人も恥ずかしがっていますが、とっさに出てしまった名前でもあるのでシンも重度の厨二病を患っていることの証ともいえますね。
名前自体とても酷いものですが、アルティメットマジシャンズ所属メンバーの強さも相当ひどいものがあります。
『賢者の孫 1巻』では、なりたての魔人に為す術もなかった学生たちがシンに数か月鍛えられただけで、逆に量産型魔人を鎧袖一触ですからね。
あまりにアッサリと量産型魔人を殺していきますので、アルティメットマジシャンズが強いのか敵が弱すぎるのかが分からなくなってくるほどでした。
シンがいれば魔人とかどうにでもなるよなって思っていたところに、アルティメットマジシャンズの面々も加わり強さのインフレも半端ないですね。
今後、是だけ強くなったシンとアルティメットマジシャンズの面々を活躍させられる場面ってあるのかなって心配になるレベルですよ。
急激に強くなったことに慢心してしまい失敗や苦戦をするというのがよくある展開でしょうが、ストレスフリーをウリにしている賢者の孫シリーズだとなさそうだし、展開が読めないです。
次は一体どんな予想外の展開が起こるのかと言った部分を楽しみにして次巻『賢者の孫 4巻』を読みたいと思います。
シンやり過ぎ問題
全編にわたってやり過ぎている主人公のシンですが、今巻のクライマックスでの活躍は流石にやり過ぎじゃないかなと思います。
回復役として活躍していたシシリーでしたが致命傷を負った人間を救えず、自身の無力さを痛感し涙している場面があったのですが、そこにシンが現れてアッサリ治療を成功させてしまったんですよね。
愛する恋人のシシリーの哀しみを解決するシンがカッコいい!って展開なのでしょうが、何でもシンが解決しちゃったら話の深みや面白みが欠けると思います。
折角、ヒロインのシシリーの見せ場であり成長描写でもあったのに、シンが何でも解決しちゃったら本当にもう全部あいつ(シン)一人でいいんじゃないかなってなってしまいシシリーの存在意義に疑問を覚えますよ。
主人公の活躍の為に引き立て役は必要だとは分かりますが、常に引き立て役でしか無いキャラクターに魅力は感じないです。
シンSUGEEというのが本作品の魅力だとは思いますが、ここぞという場面以外でも主人公一極ではウンザリしますね。
あと、アルティメットマジシャンズの面々など登場人物は多いのにそれぞれの活躍の場面を作らないのなら、別にそんなに人数ださなくてもいいんじゃないかな。
シリーズ感想の索引
賢者の孫 1巻 常識破りの新入生 感想
賢者の孫 2巻 破天荒な新英雄 感想
賢者の孫 3巻 史上最強の魔法師集団 感想
賢者の孫 4巻 天下無双の魔王降臨 感想
賢者の孫 5巻 狂瀾怒濤の三国会談 感想
賢者の孫 6巻 英姿颯爽の神使降誕 感想
賢者の孫 7巻 豪勇無双の英雄再臨 感想
賢者の孫 8巻 豪勇無双の英雄再臨 感想
賢者の孫 9巻 驚天動地の魔人襲来 感想
お勧めの作品
今回のお勧めは『賢者の孫 (10) (角川コミックス・エース)』です。
漫画版賢者の孫も遂に大台の10巻ですね。人気がある証です。
アニメ放映直前の発売なので、放映中にもう一冊くらい発売されそうですね。
KADOKAWA (2019-03-30)
売り上げランキング: 1,609