『賢者の孫 9巻 驚天動地の魔人襲来』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
アニメ放映前までに既刊9冊の感想をあげるという目的を、何とか達成できました。
長かった。1冊読むのに気力と体力を奪われる感じは久しぶりです。
頭を柔軟にして読まないといけないとは分かっていても、心の中で突っ込みを入れたくなる恐ろしい誘い受けのラノベでしたよ。
でも、既刊はすべて読み終わりましたのでアニメ『賢者の孫』をネタバレを恐れず見ることが出来ます。
あらすじ
悪人を成敗する美少女戦士! 魔法少女キューティースリー参上!
シン達の盛大な誕生日パーティが催され、楽しい時間を過ごすアルティメットマジシャンズ。彼らが次の戦いに備えるために憩いの時間を過ごている一方で、アールスハイド王国中に「王都の治安を守る魔法少女キューティスリー参上!」と名乗る可愛い女の子三人組が現れるという噂が流れ始め……。美少女三人組の正体は!? さらにその目的とはいったい!? 小説も漫画も常識破りで破天荒な超人気異世界ファンタジーライフ、待望の第九巻登場!!
ネタバレなしの感想
クライマックスに向けて物語が動き出してくれました。
今巻の前半パートはコメディパートや日常回となっています。
シシリーと一線を超えたシンとシシリーが、アルティメット・マジシャンズの面々にからかわれたり、
アルティメット・マジシャンズの面々がすごす何気ない日常の一場面であったり、
あらすじにも書かれている魔法少女キューティスリーの起こす騒動が描かれています。
この前半パートはいつもの緩い雰囲気ですので、これまで『賢者の孫』を楽しんできた読者の方でしたら問題なく楽しめます。
私も心の中でちょいちょい突込みを入れながら楽しく読ませてもらいました。
何故、シンが賢者の息子ではなく孫とされているのかもこの前半パートで明らかにされています。
大凡の読者の方には予想の範疇であったと思いますが、ここで変に読者の意表をついても仕方ないので当然の流れであったと思います。
それにしても、スレインの死因は初めての魔人が関係するのかと思ったが、全くそんなことが無くて逆に驚いたよ。
後半はシリアスパートとなっており、ついに雑魚ではない魔人が前面に立って人類に襲い掛かります。
魔人の首魁であるシュトロームでも敵わない圧倒的強者であるシンをどうやって倒すんだろう?
と思うでしょうが、そこは安心してください。
ちゃんとシンを排除するための作戦を練ってくれています。
雑魚魔人と違って少しはアルティメット・マジシャンズを苦戦させてくれますので、読者の溜飲も多少は下げてくれること請け合いです。
ただ、気を付けてください。
当然ながら本作のストロングポイントはストレスフリーの展開です。
ですので、アルティメット・マジシャンズの苦戦はさほどでもありませんし、その苦戦も逆襲のための前振りにすぎません。
一応、次巻への引きとして魔人たちによる対アルティメット・マジシャンズ作戦が発動します。
アルティメット・マジシャンズへの対抗策としては正しい作戦であるといえますので、シンやアルティメット・マジシャンズの面々がどの様にこの作戦に対抗するのかちょっと楽しみです。
ネタバレありの感想
ここから下は『賢者の孫 9巻 驚天動地の魔人襲来』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
魔人たちの動きと狙い
雑魚魔人を蠢動させることで、アルティメット・マジシャンズの脅威を避けていた魔人たちが、今巻でついに戦いの前面にでてきました。
この魔人たちは、考えなしで無策無能の上に魔力頼りのごり押し一辺倒であった雑魚魔人と違い、シンたちの実力を考慮した上で作戦を練っている点では有能です。
シンたちと魔人たちの戦闘力の差は、簡単に書くと以下の序列であります。
シン>>シュトローム>>>>>魔人=マーリン=アルティメット・マジシャンズ>>>>>雑魚魔人>>>>>その他
最強のシンが居なければ、魔人たちとアルティメット・マジシャンズは戦力が拮抗します。
シュトロームが引き籠りを止めればシン不在のアルティメット・マジシャンズなら倒すことが可能です。
そこまで考えれば、魔人たちはシン不在の場面を用意して戦うのは当然です。
逆にアルティメット・マジシャンズの方はシン不在の場面を想定していないといけないはずなんですが、備え無だったんですかね?
魔人警戒網を作って備えるのは理解できるのですが、魔人を検知した時は毎回シンに出張ってもらうつもりだったとしたら間抜けすぎますよ。
流石にそこまで個人の戦闘力に依存しないと信じたいけど、備えて無さそう。
魔人たちは今巻の引きでシンとアルティメット・マジシャンズを旧帝国領に引付けたうえで周辺各国に魔人を発生させるという作戦を実施した訳です。
この作戦への対応として、アルティメット・マジシャンズが発生現場に分散して向かうとか場当たり的なことをしないといいな。
魔人の方は頭を使って動いてきたわけだし、シンやオーグも頭を使って対処してくれると嬉しいです。
作中の人物たちにアルティメット・マジシャンズさん超Suggeeeeeと言わせるだけじゃなくて、読者にもシンさん流石だわと言わせてくれる展開を期待です。
雑魚魔人じゃなく真の魔人たちが動き出してくれて物語が動き出したのは嬉しいです。
でも、なんでこのタイミングで本格的に魔人が動き出したんでしょうね?
シュトロームさんが何らかの理由でモチベーションを取り戻したのか?
それともシンたちの実力が把握できたので魔人たちが本気を出したのか?
もしくは、自滅願望や破壊願望からの衝動なのかしら?
魔人たちが動いた理由は現状まだ分かりませんが、ミリアの行っていた実験の結果が魔人が動き出した原因なのだと推測されます。
魔人が警戒網を襲撃する前の場面でミリアの実験の結果が出たことが描写されながらも、その結果自体は読者に開示されませんでした。
情報の出し方から考えるミリアの実験の結果は重要なものであり、魔人たちが動き出すに足る理由であると考えられます。
この実験の結果次第で、魔人たちの存亡の行方と作品の締め方が変わる気がしますね。
私の現状の予想は、魔人が子孫を残せるかどうか?という実験ではないかなと考えています。
魔人が子孫を残せるのならアルティメット・マジシャンズを始めとした人類と戦うが必要なかったのでしょうが、子孫を残せないとなると魔人は一代限りの生物であり、思いや記憶を託す存在のない生物になります。
魔人が子孫を残せないのならば種族としての滅亡一直線です。
そのことが魔人たちのとっての絶望になり、自暴自棄や世界への憎しみに変わって戦う道を選んだのじゃないかと予想しています。
でも、魔人たちって元々帝国を滅亡させること以外の目的が全くなかったし、子孫残せないからって絶望するのかしら?という疑問が自分の中にもあるんですよね。
子孫を残せないことへの絶望を世界にぶつけることを選んだとか、世界に絶望した自分を倒してもらうために動き出したとか、そんなありきたりな理由ではないはずです。
世界や自分に絶望して死にたいとか、そんな自分勝手な理由だったら失笑しちゃいそうですわ。
きっと、私の浅はかな予想など外れており、思いもよらない理由が隠されていることでしょう!
魔人の狙いはいったい何なのか?
シンたちは魔人たちの作戦をどのように打ち崩すのか?
次巻『賢者の孫 10巻』の内容を期待したいと思います。
もしかしたら次か次の次くらいで作品終わるのかなあ。
もし終わっちゃうのなら、シン自体は結局自ら主導的に動かず、作品の流れに沿って動くだけだったなあ。
教皇さんの事件について
暗殺されかかっちゃったけど、刃物持たせたまま面会させる護衛は無能だよなあ。
刺した刃に塗られていた毒で死にかけてたけどシンが作った異物排除のアクセサリーで毒殺予防できてたよなあ。
暗殺事件を起こすためには異物排除のアクセサリーは邪魔な存在になるのは分かるが、作品として整合性は取ってそのアイテムが使えなかった理由を書いてほしい。
シンが自作できて効果絶大なアイテムを大国の指導者であり、自分の祖父祖母と親しい重要な人間に便利なアイテム渡さない理由が無いよね。
まあ異物排除とかいうガバガバな効果のアイテムを出しちゃったから扱い難しいってのは理解できるけどね。
シリーズ感想の索引
賢者の孫 1巻 常識破りの新入生 感想
賢者の孫 2巻 破天荒な新英雄 感想
賢者の孫 3巻 史上最強の魔法師集団 感想
賢者の孫 4巻 天下無双の魔王降臨 感想
賢者の孫 5巻 狂瀾怒濤の三国会談 感想
賢者の孫 6巻 英姿颯爽の神使降誕 感想
賢者の孫 7巻 豪勇無双の英雄再臨 感想
賢者の孫 8巻 豪勇無双の英雄再臨 感想
賢者の孫 9巻 驚天動地の魔人襲来 感想
お勧めの作品
今回のお勧めは『賢者の孫 (10) (角川コミックス・エース)』です。
漫画版賢者の孫も遂に大台の10巻ですね。人気がある証です。
アニメ放映直前の発売なので、放映中にもう一冊くらい発売されそうですね。
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