真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 1巻 感想 ネタバレ あらすじ

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 1巻』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

あらすじ

さぁ、スローライフを始めよう。元・最強の英雄による自由気ままな新生活!

「君は真の仲間ではない――」最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。「はぁ、あんときは辛かったなぁ」レッドが抜けた事で賢者達が大パニックになってるとは露知らず、当の本人は辺境の地で薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが……「私もこのお店で働いていいかな? 住み込みで!」突如かつての仲間であるお姫様が自宅まで訪ねてきて!? 追い出された英雄は第2の人生で報われる――。お姫様との幸せいっぱいな辺境スローライフ開幕!!

レッドとリットの出会い、そして二人の新たなスローライフを描いた大ボリューム45000字の【書き下ろしエピソード】を新規収録!「小説家になろう」四半期累計総合1位の超ヒット本命作が、大幅加筆にて遂に文庫化!!

ネタバレなしの感想

楽しく読むことが出来ました。

勇者パーティーのメンバーだったレッドが戦闘能力不足とパーティを戦力外され、心折れたレッドが辺境でスローライフするというお話です。

勇者パーティーを追放されたという事実を隠すため、辺境で別人として暮らすレッドを中心として描かれています。

辺境で目立たず生きていくために地道に生活基盤を作っていくところや、周辺住民と親しくなっていくところがスローライフと言えるのかなと思います。

押しかけ嫁としてヒロインのリットが加わってからが本作品の面白さの本番ですね。

レッドとリットの恋人関係を一足飛びで越えて新婚夫婦となったかのような距離を測りながらのイチャコラは可愛いし、初々しいし萌えましたわ。

一緒に暮らすにあたりベッドを買い足す必要がでたとき、シングルかダブルにするかのところ、リット側がぐいぐい来るところ好きです。

レッドもリットの好意に気づかず鈍いとかじゃなく、相手の好意を分かった上で受け入れるところが良いですね。

辺境でレッドが順調にスローライフを満喫しているのとは裏腹に、彼を追放した勇者パーティーが崩壊気味な描写もされていますので、追放されたストレスもさほど感じず逆に楽しく読めること間違いなしです。

レッドを追放した賢者は小物過ぎですし、やられるために出てきた悪役すぎて憎んだり、みかえしてやる必要もないでしょうね。

でも、レッドの妹であり勇者であるルーティの心境を知り、勇者という加護の異質さを知ると、単純に追放した側をみかえしたり、やり込めたりする内容にならないんじゃないかなと感じました。

本作品独特の設定である「加護」という存在が、単純な復讐モノやみかえしモノにしない設定になっているように感じます。

小悪党の賢者をやり込めるのではなく、勇者という祝福であり呪縛でもある加護からルーティを救うのが本作品のメイン要素になるんじゃないでしょうか。

今巻は物語の開始という事で、世界観の説明やメインキャラクターたちの顔見せ、スローライフを目指した理由、重要な設定の一端を示すというのがメインになっています。

長編シリーズの導入部という感じで大きく物語は動いていませんが、辺境に生活基盤をしっかり作るという意味では地に足がついていて好印象です。

今後も地道に成功を積み重ねていくレッドとリットの姿と、崩壊していく勇者パーティーの姿が対照的に描かれるのかな。

続刊も読んでレッドたちのスローライフ生活と、いずれはスローライフを捨てて勇者パーティーを救いに行く姿を楽しませてもらおうと思います。

ネタバレありの感想

ここから下は『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 1巻』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

レッドについて

戦闘能力こそ最前線で敵と戦うには不足しており賢者アレスの指摘に反論ができませんでした。

でも、レッドの本質は調整や補給、情報収集といった補佐面での働きです。

レッドが居たからこそ勇者パーティーが機能しており、ルーティが他の勇者パーティーの仲間と連携が取れていたように思えます。

そんな勇者パーティーのキーマンであるレッドが、自分自身の働きや役割を自覚していない訳が無いと思うのですよ。

賢者アレスの私欲によるレッド追放の流れは、レッドが反論したり、ルーティや他の仲間に話した瞬間に崩壊する理論でしかありません。

では、なぜそんな大きな穴の開いた追放の流れにレッドが従ったのかと考えた時、レッド自身が戦闘能力の不足に悩んでいた、コンプレックスを抱いていたのではないかなと思いました。

勇者の導き手として初期は戦闘面では大活躍していたであろうレッド、勇者として未熟であったルーティを戦闘でも助けていたであろうレッド、若くして騎士団の団長となったレッド。

そう考えればレッド自身は自分の強さに自信を持っていたはずと考えられます。

そんなレッドが自信に思っていた戦闘能力が全く通用しない敵、かつては保護対象であったのに今では遙か上の強さの勇者ルーティ、自信があった分、自分の強さが通じなくなった事でレッドの心が折れてしまったんじゃないかなと思います。

補佐役、縁の下の力持ちとして輝く自分よりも、戦闘で活躍し妹を守る兄としての自分こそがレッドの望んだ自分の姿なのかもしれません。
レッドの心が折れてしまっていたからこそ、アレスによる追放の流れにこれ幸いと乗ってしまったんじゃないでしょうか。

心が折れてしまったレッドが自分の心を精神を保つために逃避したのが、対魔王最前線からほど遠い辺境でのゆったりとした暮らしだったのでしょう。

勇者を導く自分、世界のために戦う自分ではなく、自分の為にのんびりと毎日を大切に生きる暮らしに心の平穏を求めたのかなと。

でも、今巻でみせてくれたレッドの生活を見た限り、いつまでも子の辺境でのスローライフ、隠遁生活は続かないだろうと思います。

辺境でのスローライフで薬師を選んだこと、親しくした隣人を無私で助けたことを考えると、レッドは他者の窮地を見捨てられない人物であると思います。

薬師を選んだのも困った人を助けられるというのが理由の第一にあると思いますよ。

そんな性質のレッドが魔王軍のことを放っておけるわけがないでしょうし、妹を一人最前線で戦わせることを良しとするとも思えないのです。

今は自信を無くし辺境でのスローライフをおくっていますが、かつての仲間たちがレッドの元に辿りつき、勇者パーティーの内実を知った時にこそ、レッドが立ち上がるときなんでしょう。

辺境でのスローライフは第二の人生ではなく、レッドが自信を取り戻し再起するための準備なのだと思います。

レッドが再起した時のカタルシスを味わえる瞬間が今から楽しみです。

勇者パーティーのブラックさ

幕間で描かれた現在の勇者パーティーの状態、かつての勇者パーティーの活動をみると、完全にブラック環境じゃないですか嫌だ―

ルーティの勇者としての強さと、レッドの調整能力を両輪としてまとまっていた集団にしか見えません。

そりゃ要の一つであるレッドが抜けたら崩壊一直線なのも納得です。

というか崩壊一直線じゃなく、すでに崩壊しており破綻しているパーティーですね。

賢者アレスのせこく小悪党なところに不満が集まりやすいでしょうが、他のパーティーメンバーも大概ですよ。

言葉にはしてなかったがレッドを尊敬していたとか伝えていなかったら意味ないでしょ。

レッドが居ないと勇者と満足なコミュニケーションがとれないって、仲間じゃなくて単なる同行者、部下じゃないですか、、、

仲間とかいう以前に信頼関係が結ばれていませんよ。

勇者とその一行ではなく、ルーティとレッドの兄妹につきそう戦闘メンバーでしかないじゃないですか。

ルーティもレッドについてはブラコン一直線ですが、それでも大事な場面ではレッドを信頼して危険な役目を任せていましたからね。

危険を承知していてもレッドに役目を任せたところは、レッドの実力を信じていたし、レッドならできるという信頼があるのでしょう。

少なくともレッドとルーティには信頼関係、絆はあるといえます。

そんな自分のことを信頼してくれるルーティにも相談せずにレッドは勇者パーティーを抜けたわけですから。

脱退直前にはレッドの気持ち的にも勇者パーティーに居ることが苦痛だったのかもしれないです。

ブラックな勇者パーティーが崩壊して、真の仲間で勇者パーティーが再結成されて、魔王を倒してほしいですわ。

でも、きっとその勇者パーティーには賢者の席はないだろうな(笑)

シリーズ感想の索引

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 1巻 感想
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2巻 感想

お勧めの作品

最新刊『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 4巻』は5月1日発売ですね。

私も最新刊が出る前に既刊を全部読んで感想を挙げて、最新刊は発売日に読みたいと考えています。

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