『俺を好きなのはお前だけかよ 10巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
西木蔦の秋のビッグイベント『繚乱祭』が開催中止!? どうするジョーロ!
やばい……。マジでやばい!
季節は秋。年に一度のイベント『繚乱祭』に向けて、西木蔦高校生徒一丸となって準備をしているはずだったのに……、どうして開催中止なんてことになってんだよ!
事件の発端は、前夜祭で使われるイルミネーションの消失。
そしてその容疑がひまわり、コスモス、パンジーにかけられた。
なあ教えてくれ。とても大切な三人のうち、一人を必ず失ってしまうとしたら、キミなら誰を犠牲にする?
俺か? 俺なら――ここから、全員救い出す! 見てろ、大逆転する方法を必ず見つけ出してやる!!
ネタバレなしの感想
西木蔦の秋のビッグイベント『繚乱祭』の前夜祭に必要となるイルミネーションが消失し、生徒会長として責任を負わされるコスモス。
責められるコスモスを助けようとヒマワリとあすなろ、そしてジョロソン君が校内を探索します。
そして探索の過程でイルミネーションの消失が最大の問題だったのではなく、大きな困難に至る序章であることが分かります。
イルミネーション消失の容疑をかけられたコスモス、ひまわり、パンジーの全員を救う手だてはあるのか?
ジョーロがこのイルミネーション消失を解決に導いた結果、失ってしまった大切な絆はだれなのか?という内容です。
イルミネーションが消失した事情は思った以上に早い段階で判明します。
真の問題はイルミネーションが消失した事情ではなく、問題自体を穏便に納めることが困難であるということです。
その困難な問題をどうにかしようと奮闘するジョーロとあすなろが奮闘するところが今巻の見所になります。
大切な友人たちを守りたいという想いは皆同じなのですが、そのためにどう行動したのかという違いがジョーロとあすなろの前に別の問題として立ち塞がります。
特定の誰かが起こした問題であったのならば、ジョーロ達はここまで問題解決に苦戦しなかったでしょう。
ですが、特定の誰かの問題ではなく小さな問題が積み重なったことで発生した問題であるために、ジョーロすら穏便な解決に苦労したのです。
ここまでジョーロが苦慮しパンジーですら穏便に納める方法が思いつかない問題は、過去にもありませんでした。
そんな最大級の難問を相手にしたからこそ、ジョーロがみせた起死回生の秘策とその秘策を実現する原動力となった人物の奮闘が輝いていました。
問題の解決編となるクライマックスの展開は読者としても彼らの奮闘に喝采を叫びたくなりました。
重く苦しい展開が続いていたからこそ、このクライマックスにはカタルシスを覚えますね。
そして普段は残念な行動が目立つヒイラギですが、今巻ではジョーロ達にとって救いとなっています。
ヒイラギが居なかったとするとイルミネーション消失問題が解決する前に大切な絆が失われていたかもしれませんでした。
ジョーロ達がヒイラギの成長を支えたのは無駄じゃなかったですし、ヒイラギの存在が輝いていましたよ。
前巻でヒイラギのために行動したことが結果的に仲間たちを救うことに成ったのです。正に情けは人のためならずといえます。
モノローグで語られた「とても大切な三人のうち、一人を必ず失ってしまうとしたら、キミなら誰を犠牲にする?」
誰かを犠牲にせざるを得ないというそんな八方ふさがりの事態に追い込まれても、数々の問題を乗り越えて成長してきたジョーロなら九方目をぶち破り犠牲をださないという信頼感があります。
ですが、今回はその九方目をぶち破るに至るまでに一つの大切な絆が失われることは確定してしまいました。
これは誰かが悪い訳ではなく、いつか必ず訪れる辛い結末の一つがこのタイミングで訪れたということです。
覚悟を決め一つの決断を行ったこと、その決断を受け入れ見送ったこと。
それぞれの人の気持ちを想うと今巻の結末はハッピーエンドはありえず、ビターエンドが約束されいたのだと思います。
ジョーロは二学期のおしまいまでに一番大切な人以外とはこのような別れを繰り返すのでしょう。
続刊も引き続きビターなエンドとなることが多くなりそうですね。
私も覚悟をしたうえで続刊を読み進めていきます。
ネタバレありの感想
ここから下は『俺を好きなのはお前だけかよ 10巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
あすなろ
感想を書く上であすなろに触れない訳にはいかないでしょう。
イルミネーション消灯事件を解決する過程で、あすなろはジョーロにとっての一人だけ特別大好きな女の子が誰なのかに気付きました。
そして、一人だけ特別大好きな女の子が自分ではないと分かってしまったあすなろは、ジョーロとの別れを選んだのです。
相手に大切な花を贈れば気持ちが届くという『灯花式』のタイミングで、ジョーロに「別離」を意味するスイトピーを渡したのです。
その時、あすなろは同時にジョーロが特別に大好きな女の子とイコールになる花もジョーロに渡しています。
スイトピーともう一つの花を購入していた時のあすなろの気持ちを想うと切なくなりますよ。
好意を受け入れられないとジョーロが伝えた時のあすなろの慟哭は、イラストの効果もあり本当に読んでいて辛かったです。
あすなろ自身も自分の好意がジョーロに受け入れられないと気付いている中でそれでもジョーロに確認をしたのは、
あすなろのジョーロへの想いの強さと失恋を受け入れるためのケジメのように感じられました。
ジョーロの特別に大好きな相手が誰なのか気づいたときから、こうなることあすなろはを覚悟したのでしょうね。
「これから私は、ジョーロの友人ですから」と告げて、あすなろはジョーロの前から立ち去りました。
あすなろはジョーロの友人として図書室に参加するメンバーとして戻れるかと言えば、それは難しいと思います。
大好きだったジョーロに振られてしまった訳ですし、そう簡単に友人に戻れるほど軽い想いでも覚悟でもないはずです。
あすなろが図書室に参加するメンバーとして戻るとしたら、それはジョーロや図書室のメンバーを助ようとする時だと思います。
恋人にはなれませんでしたがジョーロの大切な友人ですし、今巻でもあすなろはヒロインたちを何とか助けようと奮闘していましたから。
あすなろが助けようと戻ってくるほどの問題となると、ジョーロだけでは解決できない問題の時でしょうね。
私の感想では何度も繰り返していますが、その問題はパンジーが抱えている事情に関係があるはずと考えています。
ジョーロの一人だけ特別大好きな女の子
サンちゃんとの会話の中でジョーロには一人だけ特別大好きな女の子がいることが明らかにされました。
では、その特別大好きな女の子とは誰なのかと推測するための情報も今巻で明らかになっています。
あすなろはジョーロの言葉から、特別大好きな女の子が誰なのか察し、その女の子が誰かという正しい答えに辿り着いています。
あすなろが気づくに至ったジョーロの言葉は、全ての真実を知った後にあなた(ジョーロ)が初めに発した言葉であると告げられています。
そして、ジョーロは事件を調査した時からただ一人傷つかない様に行動していたこともあすなろから指摘され認めています。。
私もあすなろの言葉が気になったので、事件の真実が判ったあたりの文章を読み返してみました。
確実にこの言葉であろうという言葉は見つかりませんでしたが、おそらくこの言葉じゃないかという推測はできました。
その言葉とは全校生徒に真実を伝えようと考えた時に、どのように真実を伝えるかをジョーロが選んだ時に発した内容です。
「やっぱり、素直に全部伝えた方がいいのかもな」という事実を伝えるためにコスモスを犠牲にすることを選んだ際の言葉です。
この言葉をジョーロが発した以上、コスモスとひまわりはジョーロの特別大好きな女の子の候補から外れます。
全校生徒に素直に真実を伝えた場合、イルミネーションが失われる指示を出してしまったコスモスは間違いなく糾弾されます。
そして、知らなかったとはいえイルミネーションを捨ててしまったひまわりも生徒から叩かれるはずです。
パンジーはただコスモスに頼まれヒマワリに伝えただけということで、彼女に瑕疵はほぼなく傷つくことはなくなります。
ひまわりを犠牲にした場合は、ヒマワリはパンジーからの指示で動いていたことになりパンジーも叩かれる可能性がでてきます。
唯一、コスモスを犠牲にした場合だけパンジーは安全圏にいることになりますので、ジョーロはパンジーを護ろうとしていたと考えるの妥当です。
あすなろとの別離後、ジョーロはパンジーたちに「灯花式」の花を渡しています。
このときジョーロが渡した花の名前は明らかにされていません。
ジョーロが皆に渡した花の花ことばは「誠実」を意味します。
花言葉から候補を探すと菫(スミレ)がでてくるんですよね。
パンジーの本名と結びつく菫の花を他のヒロイン達に贈るとかさすがに無いかなとは思いますが、何となく結びつけてしまいますよ。
本作品は色々と読者の想像や考えにゆだねる描写があるので、ついつい推測や考察をしてしまいますね。
その点こそが私が本作品に面白さを感じる部分なのですが、問題は私の推測や考察が外れているってことなんだよなあ。
シリーズ感想の索引
俺を好きなのはお前だけかよ 1巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 2巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 3巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 4巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 5巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 6巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 7巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 8巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 9巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 10巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 11巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 12巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 13巻 感想
俺を好きなのはお前だけかよ 14巻 感想
お勧めの作品
『俺を好きなのはお前だけかよ』シリーズ最新刊である『俺を好きなのはお前だけかよ 13巻』は、2019年12月10日 発売です。
アニメ放映中に売り出したいという思惑が見えますが、間に合うようきっちり作品を仕上げる姿勢はとても大好きです。
KADOKAWA (2019-12-10)
売り上げランキング: 7,470