
平和な蜥蝪人の集落に、無慈悲な死の軍勢が迫る。種族を守るため、愛する雌と生きるため、立ち上がる蜥蝪人。一方、アインズの「実験」のため、出撃するアンデッドの大軍。不死者の王の命を受け、向かう指揮官はナザリック第五階層守護者である凍河の支配者、コキュートス。忠実なる彼の作戦とは。弱肉強食の容赦なき世界を目撃せよ。
『オーバーロード 4巻 蜥蜴人の勇者たち』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
2018年1月からアニメ版「オーバーロード」の2期開始
2期はこの『オーバーロード 4巻』からという事で再読をしましたので、合わせて感想をアップです。
読み返してみると確かにリザードマンたちメインですが合間合間にナザリック陣営のキャラクターやアインズ様も出番ありますね。
これなら序盤の数話がリザードマンだけの出番で終わるという心配はなさそうです(笑)
ネタバレなしの感想
リザードマンの村に強力なアンデットのメッセンジャから恐るべき布告が伝えられる。
侵略を伝えられたリザードマン達は、リザードマン種の存続をかけ戦いに挑むため、部落を超えた団結を行う。
リザードマン達は死の化身たるアンデットの軍勢に立ち向かい、種の存続を勝ち取ることは出来るのか?というお話です。
話の筋だけ見るとリザードマン達が主役のように見受けられますが、『アインズ様』やナザリック陣営の書くキャラの出番はあるのでご安心を(笑)
話の前半はリザードマンの勇者『ザリュース』視点になります。
『ザリュース』の立場からリザードマン達の団結の流れが描かれていきますので、読者視点として『ザリュース』や『クルシュ』、『ゼンベル』といったリザードマン達へ想い入れが生まれます。
ですからアンデットの軍勢に立ち向かうリザードマン達を応援する立場になり、苦戦の末アンデットの軍勢を退けた時のカタルシスを味わえます。
弱者であるリザードマン達が団結し、あと一歩までアンデットの軍勢を追い詰めたところから強大な個の力に苦しめられるというフラストレーションと、その強大な個をリザードマン達の力で退けたところは、本当に胸が熱くなるくらい感動します。
ですが、この作品はオーバーロードですからリザードマン達の勝利で大団円とはならず、圧倒的強者の蹂躙が生まれます。
読者視点でリザードマン達への想い入れが強くなっている分、その後のナザリック陣営による理不尽としか言えないリザードマンへの扱いに憤慨する読者もも出てきそうな内容です。
だからこそ、このオーバーロードという物語を読者として受け入れられるかの試金石としての役割を果たしているとも思えますね。
決して『アインズ様』はダークヒーローと言う訳ではなく、自身とナザリック陣営の為に周囲のモノを計算の上で蹂躙することも躊躇わないキャラクターであると描かれていると思います。
この立場、キャラクター像を楽しめない読者の方には、この展開は納得いかないでしょうね。
ただ、この展開こそがオーバーロードが他作品とは違う個性、魅力と思えます。ですから、私はこの路線で突き進んでほしいと思います。
それにしても、『アインズ様』が作中登場した時の安心感が凄いですね。『アインズ様』が出てくるシーンはコメディパートでも、シリアスパートでも安心して物語が楽しめる気がします。
『アインズ様』なら何とかなるだろうと何故か思えてしまう安心感、流石アインズ様です。
『アインズ様』の魅力ある限り、オーバーロードを楽しく読み続けていける気がします。
ネタバレありの感想
ここから下は『オーバーロード 4巻 蜥蜴人の勇者たち』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
リザードマン達視点
リザードマン達からすると、一方的に宣戦されて、蹂躙される不遇な立場ですよね。
それも、アンデットの作成の材料とするためとか、守護者、主に『コキュートス』を成長させるためと、リザードマン達からすると理不尽この上ない理由です。
これがナザリック陣営側の視点から描いていましたら、読者視点で感じる理不尽さは薄れて居たかもしれません。
でも、『ザリュース』視点でリザードマン達に想い入れがあったからこそ、『コキュートス』という圧倒的強者に挑むリザードマン達の覚悟や意地というものを感じ、その行為に感情を揺さぶられるのでしょうね。
本巻のクライマックスで『コキュートス』に挑むリザードマンの姿はまさに「蜥蜴人の勇者たち」という言葉に相応しかったと思います。
端から勝てないと理解している相手に挑む、その行為に意味はなくただ命を捨てる結果ととなりました。
ですが彼らの勇気ある行動があったからこそ、『コキュートス』は彼らに光を感じ、結果リザードマンという種に未来が残された訳ですから。
『アインズ様』に従い、ナザリック陣営に加われたことは長期的にはリザードマン種に繁栄をもたらすでしょう。
読者視点としてそう考えて、私は名もなき多数のリザードマン達の死を許容してしまっていますね。
本来、無為に失われて良い命ではないのですがそう考えてしまっています。
『ロロロ』が突撃した際に描かれた家族愛や信頼感に感動し、『ロロロ』が死なないことを願っていましたが、名もなきリザードマン達の死には動かされるものが無かったのです。
やはり、名前があり行動などが描写されることで想い入れが生まれた結果なのでしょうね。
だからこそエピローグで『ザリュース』が復活した時は嬉しさを感じましたよ。
無為に捨てられると哀しい位の想い入れが生まれましたから。だからこそ、この後に名有キャラのあの方やあの方が死んで復活しなかった時の損失感は大きかったですけどね。
それにしても『ザリュース』が復活の際に一度手を振り払った時、『アインズ様』は内心焦っていたんじゃないかなって思えますね(笑)
アインズ様とナザリック陣営
この巻では『アインズ様』の出番控えめでしたが、要所要所の活躍は流石アインズ様と言ったところでした。
常にナザリック陣営の戦力増強を考え、今の立ち位置に油断や甘えを見せないところは優秀な指導者に見えます。
『アインズ様』本人はそこまで深い考えや狙いがないところに、『アルべド』や『デミウルゴス』が本人以上に高い評価をしているところは相変わらずディスコミュニケーションコメディとして楽しめました。
『アルべド』に教えてあげなさいと言って自分にも説明してもらったり、意図しない行動で流石アインズ様と『デミウルゴス』に言われている姿は笑えますね。
このコメディ部分と蹂躙を行うシリアス部分の塩梅がちょうどいいので、シリアス部分の陰惨な部分が中和されているように思えますね。
この巻で『アインズ様』が行った行為は、ヒーローともダークヒーローともいえない一方的で理不尽な行為です。
ナザリック陣営の戦力拡充を目的として、他者を蹴散らしています。
結果的に『アインズ様』のその行動から、リザードマンという種の団結と繁栄がもたらされました。
ですが、だからといって一方的な蹂躙が許されるわけではないですからね。
オーバーロードは勧善懲悪の物語ではありません。『アインズ様』とナザリック陣営の活躍を勢力拡張を楽しむ物語ですが、このリザードマン達への蹂躙でそれが更に明らかになったと思います。
ナザリック陣営を強化するためなら、今後も『アインズ様』はメリットがデメリットを上回る限り蹂躙は続けていくでしょうね。
でも、読者としての私はそういった物語をこのオーバーロードという作品に求めていますので、そちらの路線でどんどん進んでほしいなと思います。
早く『オーバーロード 13巻』が読みたいですね。新刊の発売を早めにお願いしたいところです。
シリーズ感想
オーバーロード 4巻 感想
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お勧めの作品
今回のお勧めは『オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下』です。
遂に発売日とあらすじが公開されて、Amazonにも商品ページが出来ていました!
『オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下』の発売日は2018年4月27日です。
G.W直前の金曜日とか次の日が休みだから夜更かしも出来て助かることこの上なしですね
『オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下』のあらすじはコチラです。
アインズ・ウール・ゴウン死す。
四万の亜人連合の軍勢に包囲された聖王国。
聖王国最強の聖騎士レメディオスの指揮のもと、防衛作戦が実行されるも疲弊した人間軍は亜人の蹂躙を止められない。
王としての約束を果たすため、
魔導王アインズは魔皇ヤルダバオトとその配下メイド悪魔にたった一人で立ち向かう。
そして――紅蓮の炎につつまれた聖王国は救済されるのか――正義に導かれる13巻
アインズ様、本当に死んでしまうのか!?
どんなマッチポンプがみられるのかとても楽しみです(笑)
KADOKAWA (2018-04-27)
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