自らの名をモモンガからアインズ・ウール・ゴウンに変えたアインズ様
ナザリックに住まうNPCの忠誠心をより確かなものにするため、彼らに対して困ったことや欲しいものが無いかの聞き取り調査を行うこととする。
「ナザリックを決してブラック企業にはしない」
「NPCたちをヘロヘロさんのようには決してしない」という強い決意の元、
階層守護者たちの下へ聞き取りを行う使者を派遣するのであった。
『オーバーロード 王の使者』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
今回はアニメ版オーバーロード 1巻 初回盤に特典として付属していました中編小説王の使者の感想になります。
初回盤の特典小説のため現状では中古でしか入手できないレアな作品となっています。
今の価格が気になりましたのでヤフオクの落札価格を確認してきましたが、「王の使者」と「オーバーロード プロローグ上下巻」のセットで20000円超もするのですね。
特典小説に20000円超も出せるかといえば悩みますが、オーバーロードのファンからすれば読めないエピソードがあることに耐えられないですし、手を出してしまうのも納得ではあります。
オーバーロード本編には直接影響が無い話になっているとはいえ、作品に深みを与えるエピソードとなっていますから余計に気になるでしょう。
いずれは多くの読者が読めるように再録されるといいなとは思いますが、すでに持っている自分からすればそれも複雑に思ってしまうジレンマですよ。
現状の結論としましては、オーバーロードの特典小説を正式入手できる機会があれば逃さないようにしようという、当たり前な教訓になってしまいました。
ネタバレなしの感想
「王の使者」の作品時系列は、原作小説1巻から2巻の間の話です。
名前をモモンガからアインズ・ウール・ゴウンに改名した後、アインズ様が信頼され好かれる上司となることとホワイト企業ナザリックを目指して、まずは階層守護者に聞き取りを行う一連のお話になります。
階層守護者の下に赴く過程で各階層の様子や守護者たちの住居についても描写されているため、ナザリックの設定が垣間見えました。
守護者たちへの聞き取りで彼ら守護者たちの感情の持ちようや、アインズ様への思慕や普段の暮らしぶりをみることもできました。
これらオーバーロード本編では描かれるであろうことが無い設定を見られたことが、「王の使者」の面白だと思います。
オーバーロード本編でも大分匂わされていますアルベドの不穏さの原因がクライマックスではっきりと描かれていることが、王の使者のサプライズなのかなと思いますね。
そして階層守護者たちへの聞き取りへ赴かせた使者である「デスナイト」ですが、「王の使者」を読むとこのキャラクターが結構愛着が湧いてしまいました。
コキュートスとデスナイトの間に武人の絆が芽生えて握手するくだりや、雄たけびを上げないように国を抑えながら疾走する姿や、一般メイドに注意されて恐縮する姿など見せ場が十二分にありましたね。
台詞としては一言もしゃべっていないのですが各守護者たちと意思疎通をする中でデスナイトの中にキャラクターが確立されてきて楽しめましたよ。
カルネ村で騎士たちを虐殺していた姿とお使いに出かけたときの姿のギャップがすご過ぎてそこも笑えましたね。
このデスナイトの存在があったからこそ、「王の使者」がコメディとして面白かったのだと思います。
使い捨てのキャラクターですが、今後デスナイトが出るたびに彼の姿を重ねて笑みがこぼれてしまいそうですよ。
そしてわれ等がアインズ様は守護者たちと直接会話する姿が少なかったため、「流石、アインズ様」のシーンはありませんでしたが、好かれる上司とホワイト名職場環境を目指し空回りする姿が楽しめましたよ。
ホワイト企業を目指そうと思う根底には、最終日に会えたヘロヘロさんがブラック企業勤務でボロボロになっていた姿が脳裏に残っているからなんでしょうね。
ヘロヘロさんが社蓄生活で疲労困憊ではなかったのならば、アインズ様が一人NPCに囲まれて無理して支配者生活することはなかったでしょうからね。
ナザリックが双頭体制となることによる問題は生じたかもしれませんが、アインズ様が常々感じている異世界での孤独感は幾分か軽くなったと思うと、まじブラック企業死すべしですね。
若干の空回りではありましたがNPC達にとっては創造主であり、自分達の身になって色々と考えてくれるアインズ様は理想の支配者といえるんじゃないでしょうかね。
創造主の一員であるからという根本理由こそありますが、その先を越えた忠義を尽くすべき存在とNPC達も認識していると思いますよ。
若干1名、忠義というか愛情が暴走しているんじゃと思えるNPCもいますけどね。
作品全体としてはコメディ調の「ナザリックの日常」ともいえるのですが、クライマックスのアルベドのくだりで一気に不穏な雰囲気を覚えてしまいますね。
オーバーロード本編でアルベドの不穏さが増し暴走しないかが気になるところです。
ネタバレありの感想
ここから下は『オーバーロード 王の使者』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
アルべドの不穏さ
「王の使者」のクライマックスでアルベドが述べた「わたしたちを捨てた”アインズ・ウール・ゴウン”」という衝撃的な言葉
この言葉が発せられたということから、アルベドは他のNPCと一線を画しているといえます。
デミウルゴスはウルベルトへ敬愛の気持ちを抱いていますし、アウラやマーレもぶくぶく茶釜さんに対する深い愛情を持っています。
ですがら他のNPCたちはアルベドが口にしたような「捨てられた」という認識はありません。
アルベドだけがどうして「捨てられた」という認識を持っているのか?
推測される原因としては転移直前にアインズ様が行ったアルベドの設定分の変更にあると考えています。
NPCは設定されていない部分では親である製作者に似るという要素があります。
デミウルゴスとセバスの相性が良くない点こそ、NPCは製作者に似るという要素の一端をあらわしていると思います。
アインズ様はギルドアインズ・ウール・ゴウンをとても大切にしており黄金時代として記憶しています。
ですが、その追う今時代の輝きを知っているからこそギルドメンバーが抜けていったことに寂寥感を感じています。
その寂寥感の裏側に皆に置いていかれた自分、捨てられてしまった悲しみと恨みがあるのではないかと思います。
アインズ様自身も無意識に持つ恨みの部分が、アルベドの設定を書き換えた際に製作者の想いの一端として移ってしまったではないかと考えています。
ただしアインズ様の想いの一端が受け継がれたのだとしたら、アインズ・ウール・ゴウンへの愛着も当然引き継がれるはずなのです。
アインズ・ウール・ゴウンへの愛着が受け継がれなかった理由は、もしかしたらアルベドの元々の製作者であるタブラ・スマラグディナが関係あるのかもしれません。
NPC達は異世界に転移させられる前の記憶を持っております。タブラ・スマラグディナがゲームを去る間際やアルベドを作った後に何らかの言葉を発していたのかもしれませんね。
ですが、やっぱりアインズ様の心に秘めた思いが強くあふれた先にアルベドがいたと考えるほうがいいかなって思えます。これからタブラ・スマラグディナについて大きく掘り下げることは無いんじゃないかなっていうのが理由ですね。
きっと本編クライマックスに向けてアルベドがアインズ・ウール・ゴウンを憎むことになった理由が明らかになることを期待しています。
守護者の中でアルベドだけが専用住居を支給されなかったということが、アインズ・ウール・ゴウンを憎んだ理由なのかもしれないですがね。
それにしてもタブラ・スマラグディナさんって、着替えの服や下着は用意してあるのに部屋は用意していないって一体。。。
守護者たち
デスナイトが聞き取りをした際に各守護者の特徴がコメディ風にでていて面白かったです。
シャルティアは、アインズ様がシャルティアを一番重視していたとの言葉で興奮する姿が面白かったですね。
欲しいものでアインズ様の寵愛がほしいと欲望ストレートなところも良かったです。
シャルティアのこのぶれない所が大好きですよ。アルベドはたまに思慕が報われる描写がありますが、シャルティアには少ないように感じますので、どこかでちょっとご褒美がもらえる日がくればいいなあ。
コキュートスもまたブレないですね。
欲しいものでアインズ様の跡継ぎを願うところは真面目な様でもあり、シャルティアと同レベルなようであります。
欲しいものを告げた後にアインズ様のご子息を守り大奮闘する自分を妄想している姿からはシャルティアと同レベルにしか思えませんでしたが。
アウラとマーレは姉弟なのでセットでしたが、この二人はアインズ様にとっての常識枠であり癒し枠ですね。
デミウルゴスも常識があり暴走することもありませんが、デミウルゴスが良かれと思った結果でアインズ様を悩ませてしまいますからまた別枠です。
一番普通の受け答えとなっていましたが、アウラの姉っぷりとマーレの引きこもりっぷりを楽しむことができました。
アウラの新しいモンスターがほしいとの願いは本編でホワイトドラゴンを手に入れたことでかなっていますし、マーレの植物モンスターがほしいとの願いもドラマCDや本編で適っていますね。
流石は約束を守る偉大な支配者アインズ様ですわ。
デミウルゴスは質問の内容から最善の回答をしてくれるので、曖昧な指示で動いていたデスナイトにとっては助かる相手でしたね。
欲しいもので空と答えたのは、アインズ様とともに空を飛んだことからのものなのか、領土欲などもっておらず忠義の心をアピールしたのかという感じですね。
アインズ様がデミウルゴスのことをロマンティックと認識したことを考えると、後者の理由があたりっぽい気がします。
ウルベルトへの敬愛はアルベドと間逆の感情に見えましたので、この二人がぶつかることがあるんじゃないかなとちょっと心配になりますね。
デミウルゴスが管理する12宮を守護するはずの悪魔が7体しかおらず5体足りない理由は、きっと作成途中に飽きちゃったんだろうなあ。
ウルベルトさんはデミウルゴスに謝ったほうがいいと思いますね。。
主演 デスナイト
「王の使者」メインキャラクターといえるデスナイトさんですが、役目終わったらあっさり消されました。
本当にアインズ様にとってNPCは子供だけど、自身が召喚したモンスターは消耗品なんだなあ。
デスナイトに愛着わいていた自分にもちょっとダメージ来ましたよ(笑)
シリーズ感想
オーバーロード 4巻 感想
オーバーロード 5巻 感想
オーバーロード 6巻 感想
オーバーロード 7巻 感想
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オーバーロード 9巻 感想
オーバーロード 10巻 感想
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オーバーロード 王の使者 感想
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オーバーロード 亡国の吸血姫 感想
お勧めの作品
今回のお勧めは『オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下』です。
遂に発売日とあらすじが公開されて、Amazonにも商品ページが出来ていました!
『オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下』の発売日は2018年4月27日です。
G.W直前の金曜日とか次の日が休みだから夜更かしも出来て助かることこの上なしですね
あらすじはコチラです。
アインズ・ウール・ゴウン死す。
四万の亜人連合の軍勢に包囲された聖王国。
聖王国最強の聖騎士レメディオスの指揮のもと、防衛作戦が実行されるも疲弊した人間軍は亜人の蹂躙を止められない。
王としての約束を果たすため、
魔導王アインズは魔皇ヤルダバオトとその配下メイド悪魔にたった一人で立ち向かう。
そして――紅蓮の炎につつまれた聖王国は救済されるのか――正義に導かれる13巻
アインズ様、本当に死んでしまうのか!?
どんなマッチポンプがみられるのかとても楽しみです(笑)
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