『領民0人スタートの辺境領主様 1巻 蒼角の乙女』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
戦争で活躍し孤児から救国の英雄となったディアス。
彼は、その報酬として国王陛下から最果ての地を拝領する。だが、自らの領地へと到着したディアスは、広大すぎる草原に領民がいない、住む家も無い、食料も無い状況で、呆然と立ち尽くすことになった。
その誰一人いないはずの草原で、ディアスは気の強い少女・アルナーに出会う。
彼女の額には、青く輝く“角”が生えていて! ?初めて見る角のある少女とともに歩いていくと、そこには角の生えた人々が住む集落が!
果たしてディアスは領主としてやっていけるのか?
何もない草原で、どうやって生活するのか?
生きていくことは出来るのか???前途多難な新米領主の日々を綴る剣と魔法の世界の物語が始まる!
ネタバレなしの感想
領民なし、建物なし、生産物なしという全くの0から始まる領地経営物語です。
0から始める領地経営、前世の知識や現代知識を活かしての内政では無いという点が、他作品との差別化で面白く読めました。
辺境にある草しかない広大な領地を授けられたディアスが、
持ち前の武勇と人柄の良さを活かして徐々に領地を開拓していくところが見どころです。
領地に隠れ住んでいた鬼人族の少女アルナーとの出会いが、前途多難であったディアスに光明となっています。
鬼人族たちとの交流、かつての仲間との再会、わずかながら増えていく領民たちと全くのなしの領地が発展していくところはワクワクしましたね。
まだ作品世界の説明や主要キャラクター紹介を兼ねたエピソード中心ですが、
今後の村が発展していくであろう姿が垣間見られて楽しみが膨らみますよ。
今巻では0人から始まった領地に人が徐々に集まり、村未満の大家族という感じになっています。
これからも増えていくであろう領民をどう受け入れていくのか、産業をどうするのかといった点が描かれるのが楽しみです。
広大な草原を領地としていることだし、放牧を基盤とした領地になるのかな。
ディアスたちが徐々に領地を開拓して良ければ発展しそうですが、周辺がきな臭いのが心配ですね。
王国内は対外戦争がやっと終わったと思ったら、王位継承権をかけて争いが始まりそうですし、
ディアスの領地に隣接する貴族は内乱を始めるしで物騒この上ないですよ。
争いの火が大きくなれば周りが救国の英雄であるディアスのことを放っておくことは考えにくいですし、否が応にもディアスも巻き込まれそうです。
戦争ともなればディアス個人の武勇だけでは太刀打ちできない状況もあるでしょうし、
領地を発展させて周辺勢力に蹂躙されない自力を作るための領地経営を優先かな。
でも内政って手をかけてから成果が出るまで時間がかかるものですし、その時間をどう稼ぐのか気になります。
次巻は大家族となったディアスたちが自給自足を行えるようにするための内政中心かな。
一つ一つ問題を解決し、ディアスたちの勢力が大きくなっていく姿をみていきたいです。
隣接する亜人の国との交流や王国の火種など、不穏な気配はありますがまずは内政物として物語を楽しんでいきたいです。
ネタバレありの感想
ここから下は『領民0人スタートの辺境領主様 1巻 蒼角の乙女』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
ディアスたち
領民0人からスタートした領地経営は、今巻のクライマックスでは大家族といえる人数まで発展しています。
最初の領民であり、ディアスの妻である鬼人族の少女アルナー
最初はつんけんしすぎてヒロインとして大丈夫か?と危惧していましたが、
ディアスに出れてからは本当に可愛くなりました。
やはり辺境では生活力のある強い男こそ魅力的なのでしょうね。男気大事!
ディアスに惚れてからの妻として夫を支えるアルナーは本当に好きです。
ディアスの方も暖かく優しい純朴な人でありながら、大事な人を守るためには一騎当千の武勇を発揮するというギャップがイイですね。
この二人の夫婦の仲睦まじい姿をみていると暖かい気持ちになって癒されますよ。
まだアルナーが幼いので先になるでしょうが、いずれは2人の子供の姿も見られそうで楽しみです。
このディアスとアルナーを中心として領地が発展していくわけですが、今巻ではまだ開拓らしい開拓は始まっていないです。
次巻はきっと内政メインになるでしょうし、なって欲しいなと期待しています。
王国の内乱という火種も気になりますが、そちらに対応するためにも領地が発展していないと何もできませんからね。
いずれは王国と袂を分かち独立を果たすのではと予想していますが、それも領地の発展という基礎があってのものです。
領地について
王国の辺境にあたる位置で草原しかない広大な領地です。
かつて王国が鬼人族と争い、奪い取った土地なのですがなんで全くの手つかずだったんだろうか。
領地として無価値なら争ってまで奪い取るのは無駄なはずです。
鬼人族を追い払いたかった or 殲滅したかったが理由なら、鬼人族の残党をもっと監視していておかしくないはずです。
争いから時間が経過したとはいえ、鬼人族が隠れながらも生活できていることから争いの理由は鬼人族の殲滅ではないと考えます。
となると草原しかない広大な領地には何か争ってまで奪い取るに値する理由があるはずです。
ですが、奪い取った王国側も遺棄したに等しい扱いですし、王国側でもこの領地の真の価値は伝えられていない様です。
この領地の真の価値が分かるのは、ディアスたちが開拓をつづけ領地が発展した時になると思います。
領地が発展し、様々な人々がこの領地に住まうことで領地に眠っている価値あるものの存在に気付くはずです。
貴重な金属が眠っているのか、魔法的な何かが存在するのか気になりますよ。
でも、こんだけ妄想して本当に何の価値もない領地だったら悲しいな。
どうでもいい引っ掛かり
キャラクターに個性を出すのが目的なのは十二分に理解できるのですよ。
それでもエルダンの台詞の語尾は正直受け入れがたかったです。
有能な貴族キャラという立ち位置なのに語尾にすべて「の」がついていて、言葉を頭に受け入れるのに手こずりました。
自分の頭が固く柔軟に受け入れられないのが原因とは理解できているのですが、本当にここだけ読んでいて辛い。
シリーズ感想の索引
お勧めの作品
今回のお勧めは『スローライフの鬼! エルフ嫁との開拓生活。あと骨』です。
小説家になろうで連載中の領地開拓ものの作品で、建国物語となっています。
『領民0人スタートの辺境領主様』と同様にほぼ何もないところから領地を拡張しています。
徐々に人々が集まるところや文明や文化レベルを一歩ずつ拡大していくところが本当に面白いです。
タイトルにもある骨がとても貴重な存在で村の拡張に一役も二役も買っています。
書籍かしたら間違いなく買おうと思えるほどに面白い作品ですので、内政モノや建国ものが読みたかったらお勧めです。