『りゅうおうのおしごと! 11巻』のネタバレありの感想になります。
公式発売日から3ヶ月以上経過していますのでネタバレを考慮していない感想になっています。。
全編ネタバレの感想ですので未読の方やネタバレを見たくない方はご注意ください。
今週金曜日、2020年2月14日金曜日に『りゅうおうのおしごと! 12巻』発売ですね。
新刊を読む前に『りゅうおうのおしごと! 11巻』の感想どう書いたっけかなって振り返ったら感想書いていなかったことに気づきました、、、
今更の感想で誰も見てくれない気は多分にしますが、私自身の感想の振り返りになりますので感想をアップさせていただきますね。
あらすじ
「私を殺して…」奨励会三段リーグで三連敗を喫し心が折れた銀子は、八一に懇願する。「俺が連れて行ってあげますよ。絶対に死ねる場所へ」こうして二人は将棋から逃げた。それは同時に、なぜ将棋を指すのか問い直す旅でもあり―なぜ、八一は銀子を『姉弟子』と呼ぶようになったのか?なぜ、銀子は女流タイトルを求めたのか?八一と銀子の出会いと修業時代の日々、そして“浪速の白雪姫”に隠された最大の秘密が遂に明かされる告白の第11巻!将棋の神が定めし残酷な運命は、誰に微笑むのか?
ネタバレありの感想
ここから下は『りゅうおうのおしごと! 11巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
姉弟子大勝利!!です。
将棋でも恋愛面でも姉弟子が決めてくれました。
アイちゃんや天衣ちゃんの猛攻を退け、見事にメインヒロインとしての貫禄を見せつけてくれましたよ。
ということで姉弟子のメイン回です。
前巻で苦境に陥っていた姉弟子の復活であり、八一との関係の前進と将棋でも殻を破り大躍進です。
これまで虐げられてきた姉弟子だけに、今巻での復活と活躍は本当に輝いていました!
姉弟子は虐げられると輝くキャラクターではありますが、前提として最終的には幸せになると信じているからこそ虐げられても輝いているのです。
だから、姉弟子が報われる結末が訪れそうで本当に良かった。大満足です。
という訳で、今巻は姉弟子こと空銀子メイン回であり、銀子と八一の関係の根幹が描かれる内容であります。
八一と銀子が清滝一門に入門して初めて出会う場面から、お互いを大切な存在と認識する過程と決定的にズレが生じてしまう場面が描かれています。
八一も銀子もお互いを大切に想い、その大切な相手に相応しい自分になるために重ねた努力が、結果的に距離を広げてしまっていました。
でも、幼少期からずっと隣にいた一番身近な存在が離れていってしまったら、離されない様に並び立つために努力することは決して間違ってはいないのですよ。
間違っていないはずの努力や選択のはずが、思いもよらぬズレでドンドンと距離が広がり離れていってしまうというのは悲劇であり喜劇でもありました。
そんな思いもよらず離れてしまった2人の距離が、今巻で一気に縮まったところ実に最高でした!
心が折れ苦境に陥った銀子を救ったのは八一の銀子への真っすぐな気持ちであり、銀子を大切に想う清滝一門の絆であるところは読んでいて胸が暖かくなりましたよ。
今巻で銀子の想いと八一の想い、そしてすれ違ってしまった2人の関係を過去回想として読んでいる訳ですよ。
だからこそ、八一が銀子に告白するシーンは感動的でしたし、関係を結びなおし一歩前に進んだ八一と銀子の姿に感動しましたし、温かい気持ちになれました。
大事な場面でしっかり気持ちを伝えた八一はカッコ良かったですし、それに答えた銀子の愛らしさが堪らなかったです。
告白への回答は銀子がプロになってから応えるとちょっとお預けになりましたが、もう恋人同士ですよ。
2人は幸せなキスをしたわけですし、これで結ばれないとかありえないです。
八一の告白への正式な回答は銀子がプロになってからとなりましたが、これは銀子の奨励会三段リーグ勝利フラグですね。
前までの苦境で輝く姉弟子ならこのフラグは敗北フラグなんじゃと思ってしまいましたが、今巻の仲睦まじげな姿を見たら敗北とか考えられませんわ。
奨励会三段リーグが終わり銀子がプロとなった時、どんな風に八一の告白に答えを返すのか本当に楽しみです。
上記の通り今巻では八一と銀子の根幹が描かれていますが、同時に清滝一門の成り立ちもえがかれています。
これまでも描かれていましたが今巻を読むと今まで以上に清滝師匠の大きさと暖かさ、そして保護者として見守る桂香さんの優しが伝わってきますね。
八一はもちろん銀子も清滝一門に入門できたことが大きなことであったと思います。
将棋の師匠としてはもちろん、苦難に負けない心の強さを教えてくれた清滝師匠は人間として大きな人物だなと感じられましたよ。
銀子と八一のために会長選に月光聖市九段を担ぎ出すところとか、行動力と人望を兼ね備えた立派な大人ですよね。
清滝師匠が八一にも銀子にも慕われるのが良く分かりますね。
連敗による絶望から折れてしまった銀子の心は、八一と八一の家族の暖かさによって救われました。
自分自身の弱さを認めたうえで再起した銀子が挑んだのは、奨励会三段リーグ最強格の椚創多です。
作中でも多くの棋士が実力を認める椚創多ですが、読んでいて銀子が負けるとは全く思いもしませんでしたね。
八一との告白シーンと封じ手の経緯を見ている以上、銀子がプロになれない展開とかありえないでしょうし。
銀子が勝つだろうと思いながらも読んでいても、椚創多戦の内容は迫力があり熱さを感じました。
特に銀子が殻を破り将棋星人として覚醒したところ、本当に興奮しました。
これまで自分は将棋星人じゃないからと劣等感を覚えていた場面を何度も見ていたからこそ、この時の覚醒に興奮したのだと思います。
強敵である椚創多を撃破しプロ昇格を崖っぷちで踏みとどまった銀子。
彼女がプロになるためには今後敗北は許されませんし、上位陣がつぶし合うことが必須です。
ますます厳しさを増す奨励会三段リーグの決着は次巻『りゅうおうのおしごと! 12巻』で着きます。
どのような結果になり、どの人物がプロになれずに去っていくのか。次巻も本当に興味深いです。
今週末には続きが読めるかと思うと本当に楽しみです。
空銀子について
何度も言いますが、姉弟子大勝利です。
今巻で昔の銀子と八一の姿が見られましたが、本当に昔からずっと八一のことが大好きだったんだなと改めて分かりました。
当初は清滝先生に勝つために将棋を勉強していたのでしょうが、八一と出会いともに時間を過ごすうちに八一と並び立つために将棋を勉強していたのでしょうね。
だからこそ八一が殻を破り一気に成長して置いて行かれそうになった時、焦ってしまい誤った決断をしてしまったのでしょう。
今巻のプロローグで描かれていた八一の喪失感、タイトルをとった銀子のことを名前で呼べなくなってしまったことは、
同時に銀子にとっても八一に名前を読んでもらえない喪失感になっていたのです。
この喪失感を埋めることができたのが今巻の田んぼ告白シーンと考えると、相当に長い期間、喪失感を抱えていたんだなと感じました。
そしてこの喪失感に一役買った供御飯万智の恐ろしさを改めて感じました。
銀子が供御飯万智を八一から遠ざけるために放った一手が恐ろしいくらい急所に届く逆襲になって返ってきている訳ですよ。
二度と八一と呼ぶなと告げた返しが、八一に銀子のことを名前ではなく姉弟子と呼ぶようにするとか恐ろしすぎますわ。
銀子が初見から供御飯万智を最大の敵として認識したのは、あながち間違いではなかったですね。
月夜見坂燎や祭神雷は脅威と捉えていないだけに、銀子の人を見る目は間違いではなかったとも言えますね。
でも、万智さんが銀子に難波の白雪姫という異名をつけたのはファインプレーだと思いますよ。
確かに銀子は異名の通り停滞していた(眠っていた)と言えますが、王子様(八一)のキスで目を覚ましたわけですから。
長い間の遠回りや、数々の苦境を乗り越えて幸せをつかみかけている銀子です。
私的にも銀子には幸せになってほしいと本当に願っているのですが、銀子にはまだ不穏な気配があることも描かれていました。
銀子と八一の姉であり母親ともいえる存在である桂香さんが抱えている懸念。「二人にとって、もっと残酷な現実」ってなんなんだ!?
私も姉弟子は苦境でこそ輝くと思っていましたが、それは先にハッピーエンドがあると思ってこそなんですよ。
これ以上、姉弟子に不幸は与えないでほしいですわ。
二人にとって、残酷な現実について
という訳で二人にとってもっと残酷な現実って何だろう?って考えてみました。
銀子が幼少時から抱えていた病気の悪化という可能性はつぶしてもいいと思うのですよ。
桂香さんのモノローグに「病気を治すという面において明石さんの治療方針は完璧だった」とありますから。
八一があいちゃんを内弟子に取った理由にも関わるという点から考えると、銀子が子供を産めない可能性に行きつくんですよね。
子供を望めない二人の代替として、あいちゃんを内弟子にすることで実の子供の様に繋がれると考えたのかなと。
清滝師匠が八一を内弟子に取ろうとした時の場面で「血は繋がっていないけれど……棋士は別の方法で親子になることができる」ともありましたし。
でも、流石にそんな安直な考えはないかなとも思うのです。
まあ絶対ないとは思いますが、そんな思惑だったとするとあいちゃんの意思はどうなるのかな?とも考えちゃいますしね。
八一と銀子、それにあいちゃんの3人の意思がその考えでそろっていたら美談かもしれません。
ですが、そんなことを意識していない三人にそんな結びつきを望んでしまうのは傲慢であると考えてしまいますよ。
それに子供が出来ないことが不幸であるとは言えないとも思いますしね。
とか考えていると結局のところ、二人にとってもっと残酷な現実ってなんだって推測がまとまらないですわ。
下手な考えは恥をかくだけですし、次巻で明らかになることを不安ではありますが待ちたいと思います。
苦境で輝く姉弟子の姿は見たいですが、結末がハッピーエンドであると考えているからこそ苦境でも輝くんですよ。
挽回できない苦境とか脱出できない不幸に陥らないでほしいんで、姉弟子ハッピールートで本当にお願いしますよ。
奨励会三段リーグの結果予想
今巻の内容をみたら姉弟子が奨励会三段リーグを勝ち抜け、プロになることは確定でしょ。
じゃあプロ合格枠二枠のうち、残りの一枠は誰が勝ち取るかというところが注目点ですよ。
候補は善人未聞の小学生プロを目指す椚創多、年齢制限で後のない鏡州飛馬、生石や明石と同期の辛香の3人が候補です。
本命は椚創多で対抗が鏡州飛馬かなと考えています。
椚創多くんは作中では天才と認められている人物ですが銀子に2敗しています。
更に負けてプロに昇格出来ないとなると、埋没してしまうんじゃないかなとメタ的に考えてしまいます。
そして奨励会の年齢制限により今回がラストチャンスの鏡州飛馬がプロに上がれず去っていくことで、三段リーグの厳しさを伝えようとするんじゃないかなとも思うのですよ。
鏡州飛馬さんは本当に人がいいというか優しい人として描かれているのです。
その優しさゆえに報われないというか負けてしまう未来がちょっと見えてしまった気がするのです。
でも、椚創多くんの格を落とさずにすむ手段があれば鏡州飛馬さんの昇格はワンチャンスあると思うので対抗に推しました。
例えば鏡州と椚の直接対決では椚が勝ったが、勝敗数では並んでいるために鏡州さんが昇格とか考えましたが可能性薄いな。
それに三敗している銀子が昇格するためには、一敗勢があと二つ負ける必要があります。
だから椚くんと鏡州さんは最終戦を前にしてつぶし合う必要がるしなあ。
銀子の昇格と鏡州さんの退場がクライマックスの盛り上がりとしてぴったりだし、そうなると椚くんが一歩リードのはず。
鏡州さん、銀子、椚くんの3人が3敗で並ぶとかの展開があれば、その時は鏡州さんと銀子は同時昇格なのかしら?
それがありえるなら鏡州さんもプロになれるかもですね。
今週金曜日には結果が分かるというのに、答えが出ない疑問を考え続けてしまいました。
早く死闘の結末を読みたいですし、結果を確かめたいですよ。
シリーズ感想の索引
りゅうおうのおしごと! 1巻 感想
りゅうおうのおしごと! 2巻 感想
りゅうおうのおしごと! 3巻 感想
りゅうおうのおしごと! 4巻 感想
りゅうおうのおしごと! 5巻 感想
りゅうおうのおしごと! 6巻 感想
りゅうおうのおしごと! 7巻 感想
りゅうおうのおしごと! 8巻 感想
りゅうおうのおしごと! 9巻 感想
りゅうおうのおしごと! 10巻 感想
りゅうおうのおしごと! 11巻 感想
お勧めの作品
当然、お勧めの作品は『りゅうおうのおしごと! 12巻』です。
この表紙を見て銀子が敗北するという結末は想像できませんよ。
銀子と八一の未来は輝いていますね!
でも、あいちゃんと天衣ちゃんは2人の関係が進展したと知った時に、どんな反応を示すのかドキドキです。
売り上げランキング: 50