
「私はあなたを師匠だなんて呼ばないから」
『竜王』九頭竜八一の前に現れた黒衣の少女は高飛車にそう言い放った。
夜叉神天衣。小学4年生。
弟子と同じ『あい』という名を持つJSの教育を将棋連盟会長より依頼された八一は密かに特訓を施す。
だがそれが弟子にバレた時――かつてない修羅場が訪れた!
「ししょう……? だれですか? その子……?」
はじめてのライバル、はじめての修羅場、そしてはじめての家出……
幼い師弟に訪れた危機を乗り越え、二人のあいを救うことができるか!?
悲しみの雨に閉ざされた少女達の心に、若き竜王の角が虹を描く!!
『りゅうおうのおしごと! 2巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
再読した『りゅうおうのおしごと! 1巻』が面白かったので引き続き『りゅうおうのおしごと!2巻』の感想になります。
流石、この「ライトノベルがすごい2018」でも覇権を取った『りゅうおうのおしごと!』ですね。2巻もとても楽しく読むことが出来ました。
他のブロガーさんの感想も読みたいので早く既刊分を全て読んで感想を上げたいところですね。
新刊の積み本が増えてきているので、感想をアップするペースも上げないと不味いことになりそうです(笑)
ネタバレなしの感想
押しかけ弟子志望だった『雛鶴あい』を正式に内弟子とした主人公『九頭竜 八一』
日本将棋連盟会長である『月光 聖市』から新たに1人の少女を弟子に取る様に依頼をされる。
その少女『夜叉神 天衣』が持つ才能の輝きに驚愕する『九頭竜 八一』
弟子を取る事の意味、師匠としての心の在り様、将棋で結ばれる絆といったものが描かれる『りゅうおうのおしごと! 2巻』というお話です。
いや、『りゅうおうのおしごと! 1巻』も熱いお話でしたが、この『りゅうおうのおしごと! 2巻』はそれを上回る熱量のある作品でした。
友達や一門と将棋を指すことの楽しさ、憧れの人『九頭竜 八一(以下、八一と略します)』に師事する喜びという将棋の持つ楽しさに捕らわれていた『雛鶴あい(以下、あいちゃんと略します)』が、競技としてのそして勝負としての将棋の持つ意味に目覚めることが、その熱量を増やしているのだと思います。
『あいちゃん』は類い稀な将棋の才能を持つ人物です。
『あいちゃん』は類い稀な将棋の才能を持ち将棋は真剣に指しています。また勝利目指し最善手を指してもいます。
ですが、その一戦に掛ける想いよりも将棋を指せることの喜びが前面に出ている人物だったと思います。
その『あいちゃん』が同年代かつ女性であり自身に匹敵する才能を持つ『夜叉神 天衣(以下、天衣と略します)』
『あいちゃん』と『天衣』が対峙するところが今回の一番の盛り上がりどころだったと思います。
共に類い稀な将棋の才能を持つ2人。
彼女たちが『八一』という存在を媒介として、切磋琢磨をすることで才能がより磨かれ、勝負にかける想いがつよくなるのでしょうね。
『あいちゃん』と『天衣』が今後どのような関係を結んでいくのかもとても気になりますし、続刊の楽しみとなりました。
弟子の2人を中心としたお話もとても面白く、とても熱いのですが主人公『八一』の対局も熱かったです。
タイトルがかかった試合という訳ではありませんでしたが、その試合に賭けたものは将棋界の未来と『八一』の覚悟でした。
そんな大事なものを賭けた試合がノンタイトル試合だからと言って熱くない訳がありません。
その勝負と決着の仕方の描かれ方はとても美しかったと思います。勝者にも敗者にも共に見せ場があり、才能の煌めきを見せてくれる内容でした!
これからの『りゅうおうのおしごと!』は面白くなる要素満載ですね。
『あいちゃん』と『天衣』という才能の塊である内弟子のお話。
師匠である『八一』と内弟子二人についてのお話。
棋士としての『八一』のお話とぱっと思いつくだけでもたくさん楽しめる要素がありますからね。
これに恋愛面での話も加われば、それは人気が出るのも分かる気がします。
ただ、『八一』は恋愛面での鈍さが半端ないですからね。
『八一』は将棋での鋭さと、反比例するように女心に弱いからなあ。これはいずれ周囲の女性関係で血の雨が降るんじゃないかと心配ですよ。
可愛さでは『あいちゃん』ですが、『空 銀子』にも報われてほしいなと思わせてくれますし、恋愛面での結末も気になります。
次巻『りゅうおうのおしごと! 3巻』も読み終わりましたら感想を上げたいと思います。
ネタバレありの感想
ここから下は『りゅうおうのおしごと! 2巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
あいと天衣、それと八一
今巻から登場した『あいちゃん』のライバル、『天衣』
彼女の存在があるからこそ『あいちゃん』は、将棋を楽しむだけではなく勝敗についても必死さが出たのだと思います。
2巻の物語導入部からして、『あいちゃん』にとってライバル不在なことによる危うさを描かれています。
棋力が格上の相手であり『八一』を巡る恋愛面でもライバルとなり得る『空 銀子』がいますが、彼女の方からは『あいちゃん』のことをライバルとして意識することはないため、『あいちゃん』のライバルたりえません。
※『空 銀子』にとってライバルと認識できる存在は『八一』のみでしょう。たとえ『あいちゃん』の実力が迫ってきたとしても意識はすれど、ライバルにはならないと思います。
共に実力を認め合い、互いを高みに導ける関係こそが『あいちゃん』と『天衣』の関係になるんじゃないかなと思います。
同年代、同姓、同名(読み方がですが)、棋力も同等と意識せずにはいられない共通点が多い上に、『あいちゃん』は攻め将棋で『天衣』は受け将棋と将棋上のタイプは対象とまさに好敵手となるのが運命づけられています。
クライマックス前の『あいちゃん』対『天衣』の対局は、これから数多く戦っていく両者の初対局としてとても価値ある一曲であったと思います。
勝負こそ『天衣』が勝ちましたが、その実力伯仲しており『アイちゃん』が勝つ筋も存在しておりました。
この時の敗着となった筋がとても良かったですね。ライバルとして登場した『天衣』の格を上に置きつつも、負けた『あいちゃん』の格を下げることもなかったですからね。
しかも、この時の敗着を後の『八一』対『月光 聖市』戦の際の決着の要因としていましたし、そもそも『天衣』が『八一』の弟子となった理由に結び付けられていましたからね。
この見逃した敗着という点でこの『りゅうおうのおしごと! 2巻』を一本の線で繋げている様な美しさを感じました。
そして、この『あいちゃん』対『天衣』の一戦の白眉なところは負けた側の『あいちゃん』の泣き顔のイラストにあったと思います。
将棋のもつ楽しさだけではなく、将棋のもつ勝負の一面の厳しさを表していましたし、『あいちゃん』の棋士としての覚悟を感じさせるのに十分なイラストでした。
イラスト自体のもつ力も凄いのですが、この巻の盛り上がる大事なシーンに相応しいイラストだったと個人的に思います。
これは作者の『白鳥先生』とイラストの『しらび先生』が共に真摯に作品に向き合って作品を作っているからなのでしょうね。
どの作品とは言いませんが、何故このシーンにイラストがないんだ?というや作品や、なんでイメージと違うイラストなんだ?という作品を見た後だとなおさら感じますね。
それにしても『天衣』を弟子として迎えたいという想いを本人に伝えた『八一』はメチャクチャカッコ良かったです。
『天衣』の表面上の強がりの底にある両親を失った孤独感を感じ取る感受性と、過去の約束や才能など関係なく『天衣』の孤独を将棋を通して薄くしたいという強い決意は、『八一』のことを1人の大人として尊敬できました。
これなら周囲の女性陣が『八一』に好意をもつのも当然だと思いましたよ。
無自覚に包容力と優しさを見せ、将棋の才能も天才と言える『八一』を中心とした女性陣の争いにワクワクドキドキしてきますね。
『八一』本人は女性関係の鈍さは半端ないので、引き続き正妻戦争は『あいちゃん』が確実にリードですね。
姉弟子である『空 銀子』は行為の表し方が回りくどいにもほどがあるからな。あれは気づかない『八一』だけを責めることはできないですよ(笑)
『八一』と親しくした女性棋士たちの方に同情の念を捧げます。
次巻『りゅうおうのおしごと! 3巻』で新たに正妻戦争に参戦する女性キャラは出てくるのか?
『あいちゃん』一強時代を止めることができるのかも楽しみに読みたいと思います。
シリーズ感想
りゅうおうのおしごと! 1巻 感想
りゅうおうのおしごと! 2巻 感想
りゅうおうのおしごと! 3巻 感想
りゅうおうのおしごと! 4巻 感想
りゅうおうのおしごと! 5巻 感想
りゅうおうのおしごと! 6巻 感想
りゅうおうのおしごと! 7巻 感想
りゅうおうのおしごと! 8巻 感想
りゅうおうのおしごと! 9巻 感想
りゅうおうのおしごと! 10巻 感想
りゅうおうのおしごと! 11巻 感想