女性騎士率いるバラバラの隊は魔物を討伐できるのか? ライエルはアーツを無事に継承できるのか?
アラムサースを出てセントラルに到着したライエル一行。
ミランダとシャノンの実家であるサークライ家に招待された。
屋敷で当主――二人の父親であるラルフ・サークライと面会する。
だが、ライエルが言われたのは娘を置いていって欲しいという願いだった。
父親として、ライエルのような男に娘を預けておけないというラルフ。
それを認めないミランダと喧嘩になりそうな中、現れたのは――【リオネル・ウォルト】。
宮廷貴族ウォルト家――同じ一族の男子だった。
初代バジル・ウォルトが独立してから伯爵家にまで上り詰めた領主貴族であるウォルト家は、
元を辿れば宮廷貴族の出身である。
当然、王都セントラルには宮廷貴族であるウォルト家が残っている。
サークライ家の次女と恋仲であるリオネル。
ミランダとシャノンを抱えてしまったライエル。
年齢も近く、そして同じ青髪青目と似ている二人なのだが―――。
『セブンス 6巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
私が小説家になろうで読んだ作品の中でトップクラスに好きな作品『セブンス』の最新刊の感想になります。
この作品の何が好きかといえば主人公ライエルの成長譚、成り上がりぶりが好きなんですよね。
そして作者である三嶋 与夢先生の描くヒロインたちが魅力的なんですよ。それぞれ個性ありますし、ライエルを巡って女の争いをするところとか大好物です。
Web版の各章を1巻ずつのペースですし、オリジナルエピソード分も追加されているのでで完結まで20巻くらいいきそうなんですよね。
完結まで見たいので皆さん、是非買ってください!
主人公の成長譚なので序盤は主人公の性格や態度にいらいらすると思いますが、おそらく7巻で大目標が定まってからは加速的に面白くなることは間違いないですよ。
ネタバレなしの感想
物語の大筋はあらすじに書かれていますとおり、Web版セブンスの第5章の内容となります。
ただしまったく同一のストーリーというわけではなく、ミランダの妹の数が1人減り、その妹の婚約者も1人なっています。
読者からのヘイトを集める婚約者が一人になったため、その婚約者のキャラクターがWeb版より立っているなと思いますね。
この婚約者はリオネル・ウォルトといい、名前が示すとおり主人公ライエル・ウォルトと祖先が同じであり、アリアに対する執着心をもつようになっているため、今後も出番がありそうな感じで楽しみです。
前巻『セブンス 5巻』ではパーティー内の役割分担と責任に焦点が当たっていましたが、今巻『セブンス 6巻』では、優秀ではない人間を率いて戦うことの難しさにスポットが当たっていると思います。
ライエルの周りのヒロインたちは基本的に優秀な人たちの集まりなので、意識して指示を出せば成果をあげられるのですが、優秀ではない人間を率いる場合は動かすまでがまず大変ですね。
育ちゆえに人の気持ちの動きに鈍いライエルにとって、人を動かすことの大変さを知る良い機会になり更なる成長を遂げることができたと思います。
それぞれの時代で、それぞれ人を動かす苦労を経験しそれを乗り越えてきたご先祖様たちの助言あっての成果といえますが、助言を下にして乗り越えたライエルの姿にこれまでの経験でたくましくなってきたのだなと実感できます。
人を動かす手段がお金とサクラという実利的で即物的なところが正統派主人公らしくなく、セブンスらしくてGoodですよ。
ただライエルの成長に伴い、ご先祖様が役目を果たしたと去っていく姿には哀愁を感じます。
成長したライエルの姿を見られたこと、過去におきた痛切な事故を繰り返さずにすんだことから去っていったご先祖様には心残りは少ないと思えることが救いでした。
物語最初は7人いたご先祖様たちもこの巻のクライマックスでは2人減り5人になります。
残っている人数のほうが多いのに寂しく感じるのは豪快で賑やかで個性あるキャラクターの損失感が大きいからなんでしょうね。
ご先祖様たちの人数は減っていきますが、代わりに増えていくヒロインたちの華やかさと女の争いの激しさで補っていくしかないかな(笑)
この巻でも一人ヒロインが増えましたし、ますますハーレムパーティになっていくライエル一行ですが、あまりうらやましく思わないのは、その女の争いの激しさの性ですね。
今巻『セブンス 6巻』時点でヒロインの数が8人いるのに、それぞれ覚えられているのはWeb版を読んでいたからなのか?ヒロインたちの個性が強いからなのか?
たぶん後者なんでしょうね。魅力的な部分とだめなときの部分のギャップ差で個性付けられているので覚えやすいんだろうなあ。
ヒロインたちの成長時のやらかしっぷりが今巻では削られていたので、次巻ではその部分が描かれているといいなと思います。他人の痛々しい言動を見るのって面白いですからね!
あと、地味に副官の名前が変わっていました。
クラーラがいるのに副官の名前がクラークだったから地味に名前認識を間違えそうなポイントだったので、すごく助かりました。
ネタバレありの感想
ここから下は『セブンス 6巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
Web版からのの変更点
大きな変更点が3箇所ありましたね。
①エヴァが仲間になるタイミングが早まる
②ミランダの妹の婚約者が1人になり、その婚約者はライエルの祖先と同じウォルト家の人間となっている。
③ルカが六代目の子孫になっている
エヴァが仲間になる時期が早まったのはWeb版でセレスに狙われてからライエルパーティー加入が唐突だったからという部分があったからでしょうかね。
知り合いのエルフを守るために命を張るより、パーティーメンバーを守るために命を張るほうが説得力があるからかなという気もします。
エヴァが早めに仲間になったことで、ノウェム派閥の人間が一人増えて、ミランダ派閥との争いに均衡をもたらすというところもあるのかな?
ヒロイン陣に派閥がありその派閥が争うというところこそ、この『セブンス』という作品の魅力かもしれないですが、独自路線いっているなあ。
まあ派閥争いといっても基本口喧嘩レベルであり、滅多に殴り合いや斬り合いにならないので安心ですが。
でも、宝玉内で発生したキャットファイトは掘り下げて書いてほしいな(笑)
婚約者が2人から1人になったのは納得ですね。
元々Web版で出ていた婚約者のうちの1人であるマーカスはまったく目だって無かったですし、最終決戦でモブの一人としてあっさり死んでいましたからね。
ブレッドの方は出自の違い、能力の違いからライエルを憎しみ因縁を作っていましたが、その因縁が弱くライバルとするには薄かったです。
薄かった因縁を強くするため、ライエルと元は同族なの全く立場も才能も違うということと、恋愛感情を向けたアリアが自分を意識せずライエルに従うことへの妬み。
その二つの個人的かつ理不尽な恨みと憎しみからリオネル・ウォルトは、ライエルに対して執着するキャラクター、ライバルというか中ボスになるのかなと思えます。
ただ、ライエルと雰囲気が似ているといわれているリオネル・ウォルトが、セレスに殺されてしまう可能性もあるんで、意外とすぐ退場してしまうかもですね。
リオネル・ウォルト自体には魅力を感じていないので、今後同ライエルに挑むのかだけが気になります。
このまま負の感情を抑えることができなかったら、ブレッドのように惨めな最期を遂げるんだろうな。
ルカの設定変更もまあ納得できますね。
二代目がルカのことを自身が失った息子デューイと重ねて見てしまった理由が、血縁であるから似ているということで説得力がつきましたからね。
二代目が生きていた時の痛切な事件を、ライエルを通してやり直しすることができ結末を変えることができたのですから、二代目が役目を果たしたと退場することも必然でしょうね。
地味だ地味だと自虐していた二代目でしたが、その別れは決して派手ではないですが地味でもありませんでしたよ。私の心に暖かいものを残しての退場であり、印象に残りました。
セブンスの魅力のひとつに、ご先祖が過去に残した悔やみを知り、ライエルを通してその悔やみを軽くして去っていくところにあると思います。
ヒロインたちに負けないくらい魅力的なご先祖様であるからこその、作品の魅力なんだと思いますよ。
次巻『セブンス 7巻』はいよいよ王都編ですね!
ついにライエルの前に姿を現すセレス、そして自分自身の目標を決め動き出すライエルと、いよいよ物語のプロローグが終わり本編が始まります。
きっと9月か10月には出ると思いますので、そのときは購入して感想を書こうと思います。
シリーズ感想
セブンス 6巻 感想
セブンス 7巻 感想
セブンス 8巻 感想
お勧めの作品
今回のお勧めはヒーロー文庫繋がりで『転生者の私に挑んでくる無謀で有望な少女の話 1 (ヒーロー文庫)』です。
主人公は転生者です。
そのため前世の知識を用いてアドバンテージを得ていますが、そのアドバンテージをも覆す天才を相手に奮闘し心通わせる物語となっています。
剣や魔法、戦闘といったファンタジーのお約束要素なしに転生要素をうまく使った交流物かなと思います。
主人公のもつヒロインに対する屈折した想いが報われる展開はとても心に来るものがありました。
web版は短編でしたが、書籍化に伴い大幅に追加されています。
ですがWeb版で描かれていた芯の部分は損なわれておりませんので、Web版を読んで面白いと思った方にならお勧めできる一作です。
主婦の友社
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