【トレース~科捜研の男~原作】トレース 科捜研法医研究員の追想 5巻 感想 ネタバレ あらすじ

トレース 科捜研法医研究員の追想 5巻』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

2019年1月9日現在の新刊である『トレース 科捜研法医研究員の追想 5巻』まで読みえることが出来ました。

2019年1月17日には最新刊『トレース 科捜研法医研究員の追想 6巻』が発売ですからね。

本当最新刊の発売までに既刊を読み終えて良かったです。

これで、『トレース 科捜研法医研究員の追想 6巻』を発売日に購入して読むことが出来ますよ。

あらすじ

科学捜査研究所研究員、真野礼二。
誰よりも真摯に真実に向き合う彼の元へ、また新たな鑑定資料がやってきた。
身元不明の腐乱死体。混合する2つのDNA型の謎。
女児死体遺棄事件。凶器に残るわずかな血痕、不自然に汚れた衣服に隠された本当の死因。
そして最後の容疑者・壇浩輝の口腔内細胞のDNA型鑑定。23年前、真野の家族を奪った「練馬一家殺人事件」に新たな新事実が明らかに!

ネタバレなしの感想

科学捜査研究所(科捜研)の法医研究員を主役にした事件捜査物のミステリー作品の第5巻です。

ついに直接対峙した真野礼二と壇浩輝!

交わした言葉は少ないのですが、真野礼二の感情と敵意が強く出ていたと思います。

逆に壇浩輝側はその狙いや感情が分かりにくく、とても不気味な存在として描かれていました。

彼が真野との交流の後に発した笑いは、自分に司法の手が届くわけないという余裕から出てくるものだったのか?

自分に比べて無力な真野礼二に対して発せられた嘲笑なのか?

その笑いの意図が気になります。

壇浩輝がどの様な意図をもっているか分かりませんでしたが、壇浩輝が不気味な存在であり、打倒すべき悪意ある敵であることは明白だったと思います。

たとえ23年前の事件の真犯人が壇浩輝ではなかったとしても、23年前に彼が行った所業とそれ以降も行ったであろう悪行に対する報いを受けさせてほしいと、読者目線で願います。

巨悪を前にして手が出せなかった無力感は、巨悪を打倒した際に得られるカタルシスを増やしてくれますから、期待したいところです。

23年前の事件の方は進展こそありましたが、解決に向けては一歩進んでは2歩下がるという状況です。

ですが、真相を解明するための情報は一歩一歩着実に積み重ねているといえます。

真野礼二たちの仮定が外れた部分はありますが、仮定が外れたという客観的事実は新たな道のりを探す道しるべといえますからね。

そして新たな道のりを探すための道しるべとして大きな材料を真野礼二は法医科長より入手しました。

この大きな材料を得たところのエピソードは私の胸にも大きく響きました!

科捜研としての誇り、法医科長の意地といったものを感じさせてくれる良エピソードでありました。

そして個々の事件のエピソードも面白かったです。

タイム イズ マニー」が口癖の強烈な女社長 大久保ゆかりが登場するエピソードはコミカルな内容ながらも、DNA検査について詳しくなれますし、結末を知ると胸があたたかくなれるはずです。

もう一つの事件は、幼い女児が被害者ということもあり痛ましくやるせない気持ちになりました、

被害者と被疑者の事件当時の想いを考えると本当に救われず後味の悪い事件といえますね。

そんな後味の悪い事件での救いは被害者側の目線で憤り悲しむことが出来る沢口ノンナの存在といえます。

彼女は本筋である23年前の事件に直接絡んではいませんが、今後は本筋にも絡んでくるのかと思わせる描写もありましたので、今後に期待です。

今回もメインストーリーといえる23年前の事件解決はなりませんでした。

私はてっきり今月発売される新刊で事件は解決し、物語が締められるか第一部完結という形になるかと思っていたのですが、このペースだと次巻でも解決しなさそうですね。

となるとドラマ版の『トレース -科捜研の男-』はどのエピソードまで放送するのかが気になりますよ。

人気が出たら続編が放映できるようにエピソード途中で終わるのか、それともドラマ版独自のエンディングになるのか。

できたら、メインストーリーの完結までドラマ版でも放映してもらいたいですね。

こんなこと言っといて、次巻『トレース 科捜研法医研究員の追想 6巻』で完結していたら私の感想はお笑いものですね。

次巻『トレース 科捜研法医研究員の追想 6巻』の発売日は2019年1月17日と間も無くの発売ですので、発売されたら一刻も早く読んで確認と感想をあげようと思います。

ネタバレありの感想

ここから下は『トレース 科捜研法医研究員の追想 5巻』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

続々続々23年前の事件

予想はしてはいましたが、やはり壇浩輝と仁美の胎内にいた胎児のDNAの型は一致しませんでした。

私の犯人予想が当たりそうな喜びもありますが、それ以上に23年前の事件が解決から遠のいたことへの落胆と、壇浩輝の過去の所業が裁かれない失望があります。

今巻で取り上げられていたDNA型鑑定の進歩の話や、大久保ゆかりのDNAがキメラ(異なるDNAが混ざった状態)だったという事件のエピソードを読んでたことで、壇浩輝が何らかの工作をしてDNA検査を逃れられるようにしたと可能性も少ないと考えられます。

以前は鑑定できなかったDNAも今の技術なら鑑定可能になったという話から、今の技術で一致しなかった壇浩輝が胎児の父親の可能性は低くなります。

また、大久保ゆかりのキメラDNAのエピソードを知った上で真野礼二が再検査や調査しなかったことからも壇浩輝が胎児の父親の可能性は低いといえます。

23年前の事件の犯人=胎児の父親=義一を虐めていた3人の内の誰か という真野礼二たちが前提としていたものが崩れてしまいました。

ただ、この3項目をすべてイコールで結びつける必要もなく、23年前の事件の犯人=胎児の父親という仮説はまだ成り立つんじゃないかと私は思っています。

胎児の父親=義一を虐めていた3人の内の誰かという図式が崩れた以上、胎児の父親の可能性を3人と告げていた仁美の話にも疑問符がつきます。

仁美が胎児の父親を隠したいとしていたのなら、隠さねばならない人物こそ、一家を惨殺してでも事実を隠したいという動機が成り立ちますからね。

ですから、23年前の事件の解決のためには、胎児の父親を見つけ出すことが必要なのかと思います。

ですが、現状の最有力被疑者であった義一を虐めていた3人以外の被疑者を洗い出すことは可能なのでしょうか。

ただでさえ23年前の事件と時間が経過してしまっているうえに、当時の捜査資料が意図して残されていないのですから。

そんな厳しい状況ですが、事件解決に向けての光明はまだあります。

その光明とは当時事件の鑑定を行っていた法医科長が書き残していた当時の資料です。

警察上層部(おそらく壇浩輝の父親であり、当時の警視総監)からの命令により、事件の調査資料の全提出を命じられた科捜研が誇りをかけて守った当時の捜査資料の写しが残っていたのです。

科捜研としての誇りを賭けた行動と言葉にはしびれました!

私も組織に所属するものとして自分の上位者、それもはるかに上位の人間より出された命令に抗うことの怖さは理解しています。

その大きな恐怖を前にしても、自分の仕事に誇りを持ち「真実こそが科捜研の世紀である」と断言して意にそぐわない命令に抗った法医科長に一流の仕事人の魂を見せられたと思います。

法医科長の残した資料を受け継いだ真野礼二が、新たなアプローチで真実を見つけ出すことを期待します。

「事件の真実が明かされなければ、なぜ、どうしてと問い続けることになる。決して報われない暗闇のままだ」

という真野礼二の言葉は彼が法医科研究員になった根源なのでしょうし、いまだ事件の呪縛から逃れることが出来ていない証といえます。

彼が真実をつきとめ闇から抜け出す時を願っています。

沢口ノンナについて

事件の方の進展は目立ってはありませんでしたが、真野礼二にとっての光明は近くにありましたね!

それはヒロイン 沢口ノンナの存在です。

彼女の真野礼二の傍にいたからこそ、真野礼二も感情を若干表に出すようになったのでしょう。

沢口ノンナの法医科研究員というより一般人目線から生じる事件や悲劇への憤りが、23年前の事件の遺族であり事件に囚われている真野礼二にとって救いになっているんじゃないかと思えました。

自分が表に出せない事件に対する憤懣を、別の事件のことですが表に出してくれる沢口ノンナが出してくれるからガス抜きが出来るのじゃないでしょうか。

これまでは、23年前の事件について沢口ノンナが絡んでくることはありませんでした。

ですが、沢口ノンナが真野礼二に興味を持ったことから、もしかすると23年前の事件について沢口ノンナが知るようになり絡んでくるようになるんじゃないかと思えてきました。

彼女の天真爛漫な性格が真野礼二の闇を振り払い、彼女の研修医としての成長が23年前の事件の解決の一助になるといいですね。

シリーズ感想の索引

トレース 科捜研法医研究員の追想 1巻 感想
トレース 科捜研法医研究員の追想 2巻 感想
トレース 科捜研法医研究員の追想 3巻 感想
トレース 科捜研法医研究員の追想 4巻 感想
トレース 科捜研法医研究員の追想 5巻 感想
トレース 科捜研法医研究員の追想 6巻 感想

2019年冬ドラマ関連作品

ゆうべはお楽しみでしたね 1巻
ゆうべはお楽しみでしたね 2巻
ゆうべはお楽しみでしたね 3巻
ゆうべはお楽しみでしたね 4巻
ゆうべはお楽しみでしたね 5巻
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お勧めの作品

今回のお勧めは『トレース 科捜研法医研究員の追想 6巻』です。

シリーズ最新刊は当然ドラマ放映開始時期に合わせて発売です。

ドラマの方で人気が出たらきっと原作の売れ行きと知名度も上がるんでしょうね。

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