『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。3巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
可憐に成長し続けるうちの娘も遂に思春期へと突入!?
養い子である訳有り魔族少女ラティナを連れた長旅を終え、活動拠点であるクロイツへと戻ってきた凄腕冒険者の青年デイル。
ケニスやリタをはじめ、笑顔で出迎えてくれた面々にお土産を渡すラティナの姿にほっこりしたのも束の間、
デイルにとって浅からぬ縁を持つ美女ヘルミネが『踊る虎猫亭』を訪れたことにより、ラティナの様子にも明確な変化が現れて――「ラティナ……やっぱり、早くおとなになれたら良いのにな……」
悩みながらも成長し続ける娘に対し、保護者は親バカ通常運行中!?
大人気アットホームファンタジー、第3幕!
ネタバレなしの感想
今巻もラティナ可愛いが最大の魅力なんじゃないでしょうか。
前半はデイルの故郷から戻る旅路と戻ってから街の人々との触れ合いをほのぼのと楽しめました。
ラティナはデイルの故郷でも大事にされ愛されていたけど、地元ともいえる街に戻っても周りの人たちに大切にされていることが伝わってきます。
外見も性格も仕草も可愛いラティナですから、デイルならずとも大切にしたくなるのも当然ではありますね。
そんな周囲から愛され大切にされるラティナの前に現れたのが、かつてデイルと深い関係であったと思われるヘルミアです。
ヘルミアの存在に対して不機嫌になるラティナの姿は、これまでに見せた姿ではなかったので新鮮に感じましたよ。
これまでラティナは周囲から大切にされてきので不機嫌になる事がありませんでしたからね。
ラティナは自身が置かれた境遇がある故に、意識的に我儘や負の感情を抑えていた面があったかと思います。
大人から見て理想的な子供ともいえるラティナもいいのですが、年相応に我儘をいったり不機嫌になったりするラティナの姿も子供らしくて本当に良いものですね。
負の感情をぶつけられるというのも相手を信頼し、相手からの愛情を理解しているからこそともいえますから。
今後もラティナには鈍いデイルにどんどん負の感情をぶつけて欲しいものです。
ヘルミアの登場はラティナが見せてこなかった別の面を引き出すと同時に、デイルに対して寿命が違う者同士が結ばれることの難しさを伝えるという役割もありました。
ラティナとデイルが恋人関係になるにはいくつか障害がありますが、2人が恋人になる際に最も考えないといけないのが寿命の違いでしょうね。
種族的な寿命の違いから共に過ごせる時間が異なりますし、残す側と残される側が産まれてしまいます。
残される側のラティナはデイルが居ないという失意に耐える必要がありますし、残す側のデイルはラティナを残して逝ってしまうことに悔いが残ることが明白です。
そういった失意や悔いを意識せずに結ばれることが無いよう、ヘルミアがデイルに忠告をしてくれたのでしょう。
わざわざ忠告をしたのは、ヘルミアがデイルのことを大切にしている証ともいえますね。
デイルにとっては思い出したくない過去なのかもしれませんが、ヘルミアとの関係はデイルにとってプラスであります。
物語の後半、14歳に成長し子供ではなく少女となったラティナが描かれます。
ラティナも思春期に入り、デイルへの恋心が明確に描写され始めます。
祭りの日の夜、デイルに想いを告げようとしますが、果たしてその想いはデイルに届くのか?
14歳に成長したラティナも魅力的ですが、子供から女性に代わるのがちょっと早すぎて、私的には寂しさを覚えてしまいますよ。
デイルとラティナの疑似親子関係をもっと楽しみたかったという思いが強いです。
親子できな関係から恋愛に進むのも嫌いじゃないですが、恋愛に至るまでに積み重ねた親子関係やエピソードが多ければ多いほど、結ばれたときにカタルシスを味わえると思うんですよね。
まあ、ごちゃごちゃ言ってしまいましたが、何が言いたかったかと言えば幼女ラティナちゃんをもっと愛でていたかったし萌えていたかったなという不満です(笑)
ラティナ側が恋心を伝えようとしてきましたが、果たしてデイルはその想いを受け入れることが出来るのか?
二の魔王の存在、勇者としての適性など、ラティナとデイルの周りには物騒な問題も出てきています。
外的要因により二人の関係に変化が訪れるのか?
その辺を楽しみに続刊も読んでいきたいと思います。
ネタバレありの感想
ここから下は『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。3巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
ラティナの想い
クライマックスの告白が、溜めに溜めた告白シーンがコメディになってしまったラティナちゃん14歳です。
コメディになってしまった原因の大半はデイル側の反応にありましたが、ラティナ側にも問題がありますよ。
なんですかあの告白の言葉(笑)
「お父さんだと思っていない。」って伝えられたら、そりゃ親バカすぎるデイルとしたらラティナの反抗期かと思ってしまう訳ですよ。
お祭りの夜というシチュエーション、友人の協力により衣装やお化粧もバッチリ、そんな備えを行ったうえでの告白が全く届かなかったラティナちゃん可愛そうでしたね。
ただし、デイルに全く告白が届いていないという事は、また仕切り直して告白するチャンスもあります。
次は一体どんなシチュエーションでデイルへの告白をするのかとても楽しみだわ。
でも、ラティナとデイルが結ばれるための最大の障害は、デイルの親バカすぎるところでしょうね。
ラティナのことを最愛の娘と認識しているデイルにとって、ラティナを異性として意識するのは困難なんじゃないかしら?
何かしらの切っ掛けが無いと意識を変えるのは難しいでしょうし、読者視点としたら特に重大なイベントなしで急にラティナを異性として意識し始めたらデイルのこれまでのデイルの親として行いが薄っぺらく思えてしまいます。
2人の意識や関係を変えるためには外的要因が必要と考えると、魔王と云う本作品のタイトルにも含まれている強力な存在の介入が不可避なのかもしれませんね。
二の魔王
デイルとラティナの関係を変化させる存在なのではないかと思われる二の魔王です。
ラティナがたびたび二の魔王に恐怖する様子を見せていますし、ラティナが追放されるに至るきっかけの一つとして二の魔王の存在があるように思えます。
今巻で登場した二の魔王は、魔王と云う名が表す通りの強さと恐怖の片りんを見せてくれました。
また二の魔王が契約により従属させている紫髪の女性、この女性はおそらくラティナの実母であると考えて間違いないでしょう。
ラティナの肉親を従属させている事、魔王として人族の脅威となっている事を考えるに、いずれは勇者であるデイルと敵対することが考えられます。
二の魔王対デイル、二の魔王に従属させられている女性とラティナ、この因縁がある限り必ずどこかでデイルと二の魔王は対峙するときが来るはずです。
二の魔王と云う外的要因がラティナとデイルの関係に変化を生じさせるのであろうと考えています。
二の魔王が目の前に現れた時、ラティナの平穏な生活が終わってしまいそうにも思えますが、不謹慎ながらその変化が訪れるときがちょっと楽しみです。
次巻以降、二の魔王がどの様に動くのかも注目して読んでいきたいと思います。
シリーズ感想の索引
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 1巻 感想
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 2巻 感想
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 3巻 感想