『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編 1巻』のネタバレありの感想になります。
ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。
ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。
あらすじ
高度育成高校での2度目の春を迎えた綾小路達Dクラス。待ち受けるは試験だけではなく、個性的な新1年生達。中学時代龍園と悪名を二分した宝泉和臣、同じ中学出身を名乗り櫛田に接近する八神拓也、気分屋で綾小路を引っ張り回す天沢一夏。そして4月最初の特別試験は1、2年生がペアとなる筆記試験。ペアの合計点が基準を下回れば2年生のみ退学となる。
さらに南雲が各生徒の能力を表示する新アプリを実装。それが全生徒に公開されたため学力の高い生徒に人気が集中。2年Dクラスは苦境に陥る。またペアを組む必要上、綾小路もホワイトルーム出身の1年生を見抜けなければ即退学の状況となり――!?
ネタバレなしの感想
まちにまったよう実 二年生編の開幕です。
タイトルも2年生編1となり、ナンバリングも振りなおされています。
綾小路たちが2年生となったことからも分かる通り、1年生たちが入学したことで新キャラクターたちが追加されています。
この追加キャラクターの1年生たちが個性的というか、曲者揃いというか、個性が強い面々が多く物語の面白さを増してくれました。
今巻の特別試験は1年生と2年生がペアを組むということからも分かる通り、その個性的な1年生たちの紹介を兼ねたエピソードが中心となっています。
龍園と並び称されるほど恐れられていた不良であり、単純な暴力ではトップクラスである1年Dクラスの宝泉。
そんな宝泉に臆することなく自らの意見をぶつける同じく1年D組の七瀬。
綾小路たちに接近し、無理難題を突き付けてくる考えの読めない1年A組の天沢。
櫛田や堀北と同じ出身中学であり、櫛田を慕う八神など。
個性的な1年生たちが綾小路を始めとした主要キャラクターと絡むことで、これまでにはなかった先輩としての一面や、同学年だけではなく多学年との駆け引きがみえて本当に面白かったですよ。
こんかいは新入生である1年生との絡みが中心のエピソードとなりましたが、学校の教育方針を変えようとする南雲生徒会長の思惑からすると、3年生も含む全学年を巻き込んだ試験や、それとは逆に完全な個人戦も増えそうで、どんどん面白そうな特別試験が出てきそうです。
そして、忘れてはならないのは綾小路を退学に追い込もうとするホワイトルームからの刺客です。
前巻『ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5巻』で月城理事長代行が新入生としてホワイトルームから1名呼び寄せると綾小路につげていました。
単純に考えると今巻で名前ありで登場し1年生が候補となるのですが、果たして誰が刺客なのかとても気になります。
現時点での情報で当てることは困難であるかとは思いますが、果たして誰が刺客なのかという点に注目して読むと物語に面白さがきっと増すはずです。
読者の皆さんも物語の面白さに引き込まれて次々ページをめくってしまうとは思います。
でも、頭の片隅にもしかしてこの人物がホワイトルームからの刺客なのかなと推理しながら読むと別の面白さが味わえるはずです。
そうやって読んでいると誰がホワイトルームからの刺客だったのかが明らかにされた時、当たっても外れても興奮できるはずです。
ちなみに自分はだいたい予想が外れるのですが、外れたとしても自分の読みの上をいってくれたことに興奮して楽しさを感じてしまうというお得な人間です。
堀北兄の卒業を受けて、自らのスタンスを変えた綾小路の姿も今巻からの見どころであると思います。
自らの持つ能力を隠し、表では目立たぬように隠遁していた綾小路が徐々に表舞台に姿を現し始めています。
この綾小路の動きを受けて、綾小路の真価を知らずにいた同級生たちがどのように感じ、どのように反応するのかが本当に楽しみですよ!
坂柳や龍園は綾小路の真価を知っていましたが、一之瀬や堀北妹は真価までは知らずにいた訳ですよ。
ですが、綾小路が真価をみせ始めたことで、クラス間対決の戦略も綾小路込みで練られるのかなと考えるとワクワクしますね。
ただ、一方で真価を隠されていた側の気持ちを考えると、ちょっと心配になる面もあります。
綾小路が所属していた友人グループは果たしてどんな反応をみせていくのか、その点を心配にしつつ続刊の発売を楽しみにして待とうと思います。
ネタバレありの感想
ここから下は『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編 1巻』のネタバレありの感想になります。
未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。
ホワイトルームからの刺客
ネタバレなしの感想にも書きましたが、ホワイトルームからの刺客はいったい誰なのか!?
ということは、今巻では明らかにされませんでした。
刺客の正体が明らかにされなかったことで、今後も綾小路は1年生と交流するときに緊張感が友う事になります。
ただ、ホワイトルームからの刺客がどんだけ有能な人物だったとしても、我らがあこがれの綾小路さんが1年生ごときの刺客に負けるとはこれっぽっちも思ってはいませんけどね。
現状、正体を探る情報が全くないので難しいのですが、それでも自分の予想というか妄想をつらつら記載しておきます。
今回、綾小路とペアを組んだ宝泉は除外するということに皆さん異存はないと思います。
となると今巻で登場したネームド1年生で、かつ綾小路と絡みがあった人物とすると以下の3人が候補になります。
1年Dの七瀬、1年Aの天沢、1年Cの椿の3人の中にホワイトルームからの刺客がいるんじゃないかなと考えています。
綾小路と直接絡んだのはこの3名にプラスで宝泉と宇都宮ですが、宝泉はペアを組んだ試験で結果を残したので除外します。
宇都宮は悩みましたが、綾小路との接触前にパートナーが存在したことと男性キャラクターであることから除外しました。
男キャラクターで綾小路と対峙するキャラクターは龍園さんがいますし、私の好みで女の子と敵対した方が面白そうという理由にならない理由で除外しました!
じゃあ、候補の三人のうち誰がホワイトルームからの刺客に近しいのかなと考えると、全く情報の出ていない椿が本命かなと思います。
全く意味のないキャラクターをネームドで出したりしないだろうという、いつものメタメタ推理ですよ。
あのあからさまな接触で綾小路がコンビを組んでいたら、綾小路を見下げ果てた上で退学に追い込んだんじゃないでしょうか。
コンビが組めなかったとしても、今回の接触を切っ掛けとして綾小路に自然と接触する機会を増やし、綾小路を真価を探っていこうとしているんではと考えました。
だからこそ、一人で声をかけるという怪しさを消すために宇都宮という仲介役を混ぜたり、コンビを組むことに拘泥しなかったんじゃないでしょうか。
自身の印象や情報を与えなかった椿とは逆に、七瀬と天沢は自身の綾小路に対するスタンスをみせていることから、刺客ではないんじゃないかと予想しています。
七瀬の方は何度となく綾小路を気にするそぶりをみせていましたが、そんなあからさまな素振りをみせてしまう人物が刺客になりうるとは考えにくいです。
七瀬についていえば、刺客ではないでしょうが何故に綾小路に対する不信感が強いのかという点が気になります。
綾小路をこの学校に相応しくない人物と考え、綾小路を退学に追い込むという特別試験に消極的に同意したような印象を受けました。
ただ、そう考えるとなぜに七瀬は綾小路のことをこの学校に相応しくないと思い、邪悪で薄汚い人間と思っているかが気になります。
綾小路の擬態は完ぺきに近いものがあり、直接対決した龍園や過去を知っている坂柳以外では本性を知っている人間は少ないんですよね。
その綾小路の本性を何故に七瀬が知りえる立場にいたのかという点が本当に気になります。
今後、七瀬との交流が増えていく中で綾小路の本性を疑った理由は明らかになるでしょう。
でも、綾小路の本性を疑っているという点を本人に伝えたことで、綾小路は七瀬を警戒することになるのは確実です。
そう考えると七瀬はホワイトルームからの刺客から遠い位置にいるんじゃないかと思います。
天沢は今巻で綾小路を退学に追い込もうとする策謀を行った時点で候補外かなって気もします。
彼女がホワイトルームからの刺客だとしたら、宝泉任せの要素が多分にある策謀を行ってしまうことはマイナス点が多すぎるからです。
退学の成否を他者にゆだねる、失敗したら警戒感が強まると考えると刺客がやるべき手ではないはずです。
では、なぜに天沢が綾小路を退学に追い込もうとする策謀に手を貸したかと考えると、面白そうだったからじゃないかなと思います。
天沢にとって綾小路が退学するかどうかは重要ではなく、退学に追い込もうとする人物の動きと、それに応じる綾小路の動きを楽しんでいたんじゃないかなと感じました。
料理をさせたのも、ペディナイフを買わせるためというのはあるのでしょうが、それ以上に料理させるのが面白そうという考えたあった気がします。
そういう意味では、動きが読みにくい天沢は今後もトリックスターの立ち位置で物語をかき回しそうですね。
ただ、天沢の動きは綾小路には読まれていたので綾小路を窮地に追い込むには力不足にも思いました。
綾小路について
綾小路さんの趣味が料理になりそうで面白く感じています。
天沢の綾小路を退学に追い込もうとする策謀が、結果的に綾小路さんに人間味を与える結果になったと思うと面白いです。
ついに実力を発揮することを躊躇しなくなった綾小路さんの姿に大興奮ですよ。
真の実力者がその実力を遺憾なく発揮する場面って本当に大好きです。
数学の試験で満点を取ったことは周知の事実となりますし、南雲生徒会長もこれから綾小路に対する意識を変えそうです。
堀北妹との対決にも勝利したことで坂下妹の生徒会入りも確定路線となりましたし、次巻は南雲会長との絡みが増えそうですね。
でも、今巻ではちょっと同学年との絡みが少なかったので、南雲会長との話は次次巻でもいいかなって気もします。
特別試験や喧嘩では圧倒的な力をみせる綾小路さんですが、恋愛面では本当に未熟すぎますわ。
軽井沢と交際を始めたのに電話は業務連絡みたいな内容ですし、恋人である軽井沢を招く前に天沢を部屋に入れたことで揉めちゃいましたからね。
でも、軽井沢と付き合ったことは、綾小路にも軽井沢にも大きなプラスがあったと思います。
軽井沢は好きな綾小路とこれからも付き合っていくために、恋敵である佐藤さんの非難から逃げるのではなく、真っ向から向き合い綾小路への好意を告げることが出来ました。
以前までの軽井沢なら誤魔化していたり逃げていたりしていたでしょうが、大好きな綾小路のそばにいるために戦うことを選んだわけですよ。
前巻での告白シーンでの綾小路の挿絵をみたことで軽井沢のことを心配しましたが、彼女が前に向かう意思をみせてくれたので心配はやめました。
強くなった軽井沢なら、綾小路の本心を知ったとしても以前の様に心折れたりはしないと信じます。
そして、綾小路の方も軽井沢の真っすぐな好意に向き合うことで変わっていくと信じたいです。
でも、軽井沢の恋のライバルは佐藤さんではなく坂柳な気がしますね。
今巻でも綾小路に対する圧倒的な信頼感をみせていましたし、10巻で綾小路に告げた言葉「人は触れ合うことで~」を考えると綾小路への好意が強いのは坂柳な気がするんですよ。
綾小路と軽井沢が付き合ったことを知った坂柳が、軽井沢を狙って何かしないかちょっとだけ心配です。
どんな結末を迎えるにしても、軽井沢が幸せになれる、笑顔を浮かべられるエンディングが来てくれると信じてます。というかお願いします。
ちょっと気になった点
1年生のクラスポイントが800であり、綾小路たちの1年の頃に比べ200ポイント少ない。
この200ポイントの差の原因や理由は今巻では明らかにされませんでした。
この200ポイントの差、学年をたがえてポイントを動かせないとするとこの200ポイントの差は1年生にとってのみ意味があります。
この浮いた200ポイントの集まりが綾小路を退学に追い込んだ者に与えられるポイントの原資なんでしょうかね?
だとすると月を跨ぐと報酬が増えることになり、ますます綾小路を退学に追い込もうとする人物が増えるのかもしれないです。
シリーズ感想の索引
ようこそ実力至上主義の教室へ11 感想
ようこそ実力至上主義の教室へ11.5 感想
ようこそ実力至上主義の教室へ12 感想