幼女戦記 9巻 感想 ネタバレ あらすじ

療養・再装備のため、帝都へ帰還したレルゲン戦闘団。
そこで目にしたのは、死という非日常に慣れてしまった祖国の日常だった。
激烈に損耗し、閉塞感に囚われた帝国の世論は
あまりにも『勝利』を渇望してやまない。

そして新たにターニャに与えられた「無理」な仕事は、
潜水艦による敵戦隊の捜索撃滅。
秘密兵器はMAD手製の大型魚雷。

死力を燃やし尽くしてなお、その先にも暗闇が横たわる。
己に平穏を――。
ターニャのささやかな願望さえも、あまりに遠い。
出口のない戦争は激化の一途をたどる。

『幼女戦記 9巻 Omnes una manet nox』のネタバレありの感想になります。

ネタバレありの感想になりますが、ネタバレありの感想になる前に注意書きをおいてあります。

ですので、未読の方やネタバレを見たくない方でも、そこまでは読んでいただいても大丈夫なはずです。

新刊の帯に記載されていましたが『幼女戦記』劇場版新作アニメ決定だそうです。

新作アニメという事は総集編ではなく新エピソードということなのでしょうかね?

個人的には総集編より新作の方が嬉しいので、その路線であることを望んでおります。

ネタバレなしの感想

幼女戦記 9巻』のサブタイトルとなっている「Omnes una manet nox」は、ラテン語で「すべてのものが一つの夜を待っている。」という意味だそうです。

ここでいう「夜」は死の暗示であり、すべてのものは必ず死を迎えるという意味であり、不死はソンザしないという事でしょう。

この死の暗示は「帝国」にかかっていると考えるのが妥当かもしれないですね。

和平の好機を自ら逃し、慢性的な消耗の前に息も絶え絶えの帝国の状態は今巻でも続いています。

優秀な参謀本部の面々もその事には当然気付いてはいますが、軍人という立場があり政策決定組織である「最高統帥会議」の決定には逆らうことが出来ません。

軍人と言う立場を守り「最高統帥会議」の愚策に従い敗北に向かうか、軍人の立場を捨て「最高統帥会議」に対し何らかの手法をとるかという悩みが全編を通じて描かれています。

いよいよ主要キャラが決断するのではと言う所まで描いて次巻に続きますので、先の展開が気になりますね。

ただ、好きなシリーズなのでこんな事は言いたくはないのですが、話の展開速度が遅延気味に思えてしまいますね。

帝国が世界を敵に回し、国力の限界が訪れて劣勢になってから結構な巻数を費やしていますが話が進んでいない気がします。

劣勢になっていく様や帝国や各国の情勢を丁寧に描いているからだとは思うのですが、シリーズ序盤は疾走感を感じる戦局の移り変わりが楽しかっただけに、ちょっときになってしまいます。

次巻『幼女戦記 10巻』でこそ、政策を一変させる手を打つか、戦局が一気に動く場面が見たいなと思います。

東部の『ゼートゥーア』が切っ掛けになるのか、帝都にいる『ルーデルドルフ』が決断するのかな?

主人公である『ターニャ・デグレチャフ(以下、デグさんと略)』は戦場での有能さはありますが階級はまだ中佐ですから、戦略や政局を動かすには至らないという所がもどかしいですね。

『デグさん』の影響力は戦場限定ですから、政局や戦略の大きな流れに巻き込まれて流されて苦悩する『デグさん』の姿を愛でるのが正しい姿なのでしょうね。

戦場で無双する『デグさん』すら、帝都では苦悩の顔芸をするくらいしかできないところが哀愁を感じますし、ディスコミュニケーションコメディとして笑う所なのでしょうね。

それにしても、表紙の『デグさん』の顔は凄すぎます。

最初は何だこれは?と思っていましたが、『幼女戦記 9巻』を読み終わった時には、そりゃこんな表情にもなる訳だと納得しましたよ。

次巻では晴れやかな笑顔の『デグさん』を愛でられることを祈りつつ、『幼女戦記 10巻』の発売を待ちたいと思います。

ネタバレありの感想

ここから下は『幼女戦記 9巻 Omnes una manet nox』のネタバレありの感想になります。

未読の方やネタバレを見たくない方は、ここで引き返すことを推奨いたします。

帝国の状況

ネタバレなしの感想にも書きましたが引き続きのジリ貧状態変わらずです。

「帝国」は出血を強いられ、回復も出来ず衰弱死に向かっています。

これまでも何度も兵力の欠乏、補給の不足が描かれていましたが、遂に帝都でも資源不足が起こっていることと、健康的な男性が不足していることが描かれてしまいました。

どう考えても「帝国」の敗北は必須、滅亡が迫っている状態ですが、国内のプロパガンダでは帝国優位としているため、民意が敗北を、降伏を認めることが出来ない状況です。

帝国国民も表面上は耐え忍んでいますが、その奥底には激情が眠っているように描かれていますので、帝国軍が大敗した際に噴出しはしないか不穏な空気があります。

帝国劣勢の原因は作中の登場人物が幾度も触れている通り、政策決定機関の無能さ故です。

『レルゲン大佐』をして武力での政策変更を願ってしまう程に「最高統帥会議」の無為無策以下の愚行は目に余るものがありますよ。
「戦争は始めることより終わらせることが難しい」訳ですが、「最高統帥会議」は勝利の結果で何とかしたいと主従逆転しています。

更にこれまでの損失に見合う利益を得ようと、イルドアという同盟国をつかっての和平と言う損切ができず、戦争継続という損失を積み重ねている無能っぷりです。

勝利を活かすすべを知らない「最高統帥会議」に対し、現実を知る参謀本部の面々が行動を起こす時が近づいている気がしますね。

軍の「予備計画」

『レルゲン大佐』によるイルドア工作という和平案がとん挫した時に備えて用意された計画、それが「予備計画」です。

イルドア工作が本命である以上、「予備計画」も戦争を終わらせるための次善の計画なのでしょう。

仲介国を交えての和平がとん挫した時、考えられる戦争停止策は相手を滅ぼすか、降伏かだと思います。(不利な条件での和平案もあるかな)

現実が分かる参謀本部の面々が相手を滅ぼす大勝利を挙げられると考えるわけがなく、そうなると降伏に向けての準備と言う路線が推察されます。

政策決定権を持たない参謀本部が降伏を実現するために取る手は、軍部による政権奪取ということになるでしょう。

『ロメール将軍』のもとに参謀本部の意を受けて『デグさん』が説明に訪れたという事自体が政治的な意味を持つように思います。

果たして私の想像通りに、他の読者の方の想像の通りに、『デグさん』はルビコンを渡り引き返せない道へ、愛国者としての生き方をする羽目になるのか?

『幼女戦記 10巻』を読んで確認したいと思います。

デグさんの活躍

慢性的な帝国劣勢とい展開でフラストレーションがたまる中、唯一爽快感を感じるのが『デグさん』の戦場での活躍ですね!

幼女戦記 9巻』では203魔導大隊の力戦により連合王国の戦艦と空母を沈めるという大戦果をあげます。

結果だけ見ますと『デグさん』大活躍なのですが、その戦果を挙げる流れが相当なブラックジョークでしたね。

自身が提案した人間魚雷の操作役が回りまわってやって来る訳ですから自業自得とはいえ乾いた笑いがでたことでしょうね。

ドクトルと『デグさん』が生み出した子供であるV2が大活躍したわけですが、あんなロケット打ちっぱなし兵器で最精鋭の魔導師をすりつぶすリスクを冒すとは流石帝国軍ですわ。

ますます人間兵器っぷりが磨きがかかる『デグさん』ですが、人の心を理解することはできのか?

夢の不労収益、印税生活を送るために奮闘する『デグさん』を応援していこうと思います。

シリーズ感想

幼女戦記 8巻 感想
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幼女戦記 10巻 感想

お勧め作品

今回のお勧めはマンガ版『幼女戦記 7巻』です。

このコミカライズは大成功ですね。

東條 チカ先生による可憐で天使なデグさんに出会うことが出来ましたし、表情がつくことやアクションで心理描写が分かり易くなっています。

また原作からの取捨選択も上手く、説明が分かり易いですし冗長なところが削られていて読みやすいです。

原作入門にもお勧めですし原作既読組にもお勧めのマンガです。

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